ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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連打四話目。


150話 日本の成果

最後は日本。

 

藤原美津留とか言ったか?

 

うちの嫁の教え子だ。

 

顔立ちは……、まあ、そこまで悪くない。俺のように手放しで褒められる誰もが認めるイケメン!とかではないが、子供受けしそうな優しげな青年って感じだ。

 

黒髪を短めに切り揃えて逆立てた、まさに特撮のヒーローっぽい見た目。

 

身長は平均より少し高めで、身体は、素人にしてはよく鍛えられている。

 

恐らくは、武道の心得があるのだろうと察せられる身のこなし。

 

そして服装は……。

 

なんかよく分からんが、自作の魔装だなありゃ。

 

馬鹿みたいに真っ赤なズボンにブーツ、更に白いコート。よく分からん紋章……、なんだろうかあれは、リボルバー?が刻まれている。そして指抜きグローブという意味不明な……。

 

いや、あれは……、変則的だが魂白城派か?

 

魂白城派ってのは、東方の築城を家業とする鉱人族や単眼族の一派だ。

 

時代を遡れば、初期の頃は主に築城をしていたが、時代が降れば武具や乗り物なんかも作るようになっていったという工学者集団だな。

 

ベスティエの王城である『レオス城』を建てたので有名。

 

だがまあ……、完全に、戦う流派ではないんだよなあ。

 

それを、戦闘用にチューンしてるのか。

 

よく分からんことするな……。

 

 

 

えー、では。

 

『魔法工学による強化外骨格』だったか?

 

つまりは、駆動鎧だな。

 

さて、見せてもらおうか。

 

えーと……。

 

………………。

 

何だありゃ?

 

ベルト?

 

『Pull the Trigger!』

 

うわ、ベルトが喋った!

 

そして、ベルトにリボルバーのようなものを差し込んで……。

 

トリガーらしき部分を引く。

 

すると……。

 

「変身!!!!」

 

『ガッチーン!RE!RE!RE!REVOLVER!!!』

 

その瞬間、撃鉄っぽいのがリボルバーの側面を叩くと、なんかよく分からん怪しい光に身を包み……。

 

『Nativity……!Messiah!!!!』

 

メサイア降臨、だと?

 

何だアレ……?

 

いや本当に何だアレ……?!

 

どういうこと?

 

何かこう……、日曜日の朝のやつ?

 

え?怖い、何あれ?

 

変身……、うん、変身ね。

 

着ぐるみ型の鎧。

 

白を基調としたボディアーマーに、赤いラインが引かれ、金色の仮面に二本の光るV字ライン、所々に金色の飾りのついた……。

 

うん、覆面ライダーだこれ。

 

俺もあまり見たことはないので詳しくはないのだが、嫁の一人が特撮ファンでたまに一緒に見るから知らない訳ではない。

 

但し、この覆面ライダーはオリジナルだな。

 

『ガッチーン!El Shaddai!!!!』

 

再び引き金を引くと、ガンブレード……、リボルバー拳銃と直刀が融合したような形の武器が召喚された。

 

『シャダイブレード!セイッ!やああっ!!!』

 

……まあ、覆面ライダーらしいな。

 

一跳び30mくらい、100mを3秒ほどで駆け抜けて、素手でビルを崩し、重機関銃を耐え切る。

 

何よりヤバいのは、これが個人の才能による変幻の魔法ではなく、魔法工学的に作り出された定量的な『製品』であることだ。

 

どういうことか?

 

先程のイギリス人の変幻魔法は、魔法を覚えている本人しか使えないが、この覆面ライダー変身セットは誰にでも扱えるってことだな。

 

それと……。

 

『ガッチーン!Acceleration!』

 

おお、時空加速か。

 

自分の肉体の表面に加速結界を張り、高速で移動する感じだ。

 

速度は五倍速ってところか?

 

『10……9……8……』

 

十秒間だけ五倍速で動けるのが特徴ってことか。

 

それで?

 

『ガッチーン!SACRED-SMASH!!!!』

 

『はああああっ!!!!』

 

必殺技ってやつか。

 

ふむ、術式的には、攻撃と同時にその攻撃の多次元屈折現象を起こして、別の次元で行われた自分の攻撃を重ね合わせて威力を高めている……、ってところか。

 

要するに、攻撃の時空間をコピーアンドペーストして一つに重ね合わせて、『同タイミング』『同意力』『同方向』の攻撃を『若干ぶらせて』一度にぶつける技みたいだ。

 

あー……、ほら、アレだよ。よく、漫画とかで、剣の道の境地に達しちゃった剣士とかが、全く同じタイミングで別方向から斬撃を放つ!みたいなのあるだろ?アレだな。

 

 

 

ふむ……。

 

良いんじゃない?

 

「よろしいですか?」

 

おっと、日本の首相。

 

「はい、なんでしょう?」

 

「こちらは、その、誰でも変身できるのでしょうか?」

 

「はい、できますよ」

 

そんな訳で、この場に来ていた警備のスタッフ……、恐らくは警察官の人に、変身ベルトを手渡す美津留。

 

そして、変身した警察官も、同じようなことができた。

 

「……つまり、これは工業的な製品だと?」

 

「そうですね。マジックアイテムです」

 

「あー……、例えば、これは、パワードスーツの形以外では作れないのですか?」

 

「いえ、材料があれば、車や飛行機、ロボットなんかにもできると思いますよ」

 

「ロボット……、ですか?専門外なので恐縮なのですが、現在の科学では二足歩行ロボットは人間並みに動かすのは難しいそうですが……?」

 

あーはいはい。

 

その辺ね。

 

まあほら、日本は技術大国を気取ってるし、その辺は気になるよね。

 

うん、魔法ならできます。

 

いやそりゃあ、亜人達も相当頑張ったから言えることだが、亜人は相当に積み上げてるぞ?

 

人間の歴史なんて一万年くらいのもんだが、亜人の歴史は何十万年とある訳だ。

 

その間に積み上げてきたデータは、人間の科学なんてものは完全に超えている。

 

人型機械を人間より滑らかに動かす程度、訳ない。

 

どうも、魔法=ファンタジー=中世みたいな思考回路の奴が多いようだが、ぶっちゃけると亜人はSF側の存在だぞ?

 

「魔法ならできます」

 

「なるほど……」

 

「魔法という学問は、科学より遥か先を行っています。今、二足歩行ロボットは、科学では試行錯誤を重ねてデータを集めている段階だと思います。ですが、魔法では、それをとっくに終えています」

 

と美津留。

 

「魔法と言うと、何となく古めかしいイメージがありますが、その実、魔法文明は素晴らしく先進的です」

 

「そうなのですか……」

 

「僕も正直、このスーツを作るのに、数多の論文や文献を参考にしています。分かりますか?その辺の大学生が一年頑張った程度でここまでできるほどに、魔法という学問は整理され、体系化されているんですよ」

 

んー……。

 

これはどうだろうな?

 

ここにいる生徒達は、人間の上澄みだろうし、どこにでもいる普通の大学生ではないことは確かだ。

 

だがまあ、魔法が、大学の学部生のレベルでもここまでできるほどに洗練された学問であることもまた確かなんだよな。

 

 

 

さて、こんなもんか。

 

あとは立食パーティーやってから解散だな。

 


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