ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

568 / 1724
連打終わり。


151話 ホビーの国日本

先日の魔法大学の生徒達による発表会は、ほぼ全世界で放送された。

 

圧倒的な力を持ちながらも、一個人で運用できてしまう魔法を目にした国家らは、まず一番初めに安全保障について考えることから始めた。

 

事実上、魔法使いを倒す方法が存在しないからだ。

 

超長距離からの狙撃や爆撃、物量で攻め立てるくらいしか、地球人の文明では対処法が思い浮かばなかった。

 

しかし、そんな中でも、早期から魔法教育について取り組んでいた日本は、現段階でも自衛隊員のうち二割から三割が魔法使いになっていた。

 

魔法とはまさに学問と同じで、何となくかじった程度でも使えることは使えるが、極めるとなると人の一生をかけてもなお足りない……、といったものだ。

 

故に、非常にインスタントな魔法使いとも言えぬモドキが、自衛隊員に大量に配備されていた。

 

とは言え、モドキでも、普通の人間と比べれば倍以上のスペックを持つので、完全に使えない存在な訳ではない。

 

オーレス式と呼ばれる簡易な術式のみしか扱えないが、それでも、生身で銃器で武装したテロリストに対処できる程度の戦闘能力はある。

 

最初に俺が帰還した頃や、亜人国家が転移してきた頃は、まだ魔法は『亜人のみが使う技術体系』くらいにしか思われていなかった。

 

だが、現在、人間が魔法を使えるようになり、『夢の新技術』という扱いになってきた。

 

どの分野でも新技術はまず、軍事や工業に応用されるのは歴史が証明しているよな?実際、現在は世界中が魔法の軍事利用や工業的な利用法を模索している。

 

しかし、この日本は、新技術を見つけると、まずそれでどうやって遊ぶかを考える頭のいいアホが必ず湧いて出る……。

 

 

 

つまりこうだ。

 

俺は、合同会社『phantasia』のオフィスを新宿やらニューヨークやらに持っていて、基本的には六本木にいるのだが……。

 

「はぁ?新天堂って……、あの新天堂か?」

 

「そうだよ!」

 

秘書にしている銀狼族の嫁、ルシアが言った。

 

なんでも、日本の老舗にして最大級のホビーメーカー、新天堂の社長がうちに面会を求めているらしい。

 

「それと、SAGAに西映、ジンダイナヌコ、KADOOKA、チカラトミイ、SONEY、柳英社、スクエア・ウェニックス、カブコンとかも来てるみたいだね」

 

「そりゃあ……」

 

日本のホビー、アミューズメント関係の大企業じゃねえか。

 

一体、うちに何の用だ?

 

俺は、とりあえず分身して、それぞれの社長から話を聞き出すこととした。

 

 

 

「鎧さん、ですか?」

 

「はい、ジンダイナヌコ様ですか?」

 

「はい!私は社長の笹森岩太郎です!」

 

あ、名刺交換とかはだるいんでやらないぞ。意味がないからなあんなの。

 

「本日は何用で?」

 

「ガンドールをご存知ですか?」

 

ガンドール……?

 

ああ、確か、今年で四十周年を迎えるロボットアニメだとか?

 

俺も全シリーズは観てないが、割と面白かったな。

 

版権はこのジンダイナヌコさんにあるはずだ。

 

それがどうかしたんだろうか?

 

「ガンドールを、歩かせたいんです!!!」

 

はあ?

 

「あー、横浜にあるやつですか?」

 

「いえ!あれでは本当に歩っているとは言いません!支えなしで本当に動くガンドールを作りたいのです!」

 

あー……。

 

うん、はい。

 

「技術的には可能ですが、倫理的に無理では?」

 

「いやそこは、魔法で別の空間を作り出して……、待てよ?じゃあ、安全にガンドールでバトルができるのか?!」

 

その後も、頭がおかしくなった奴らがガンガン来る。

 

SEIGA……。

 

「VRで対戦格闘ゲームとか作れないですか?!バーチャルファイターみたいな!」

 

西映……。

 

「次の覆面ライダーのスーツの製作を依頼したいのですが!それと、魔法を使った超リアルな変身ベルトを!!!」

 

新天堂……。

 

「我が社からの提案は二つありまして、まずは魔法の知育玩具やゲーム、そしてARによるスポーツ復興ゲームです!」

 

スクエアウェニックス……。

 

「次のファイナルファンタズマはVRMMORPGにしたいのです!!!!」

 

SONEY……。

 

「完全なVRゲーム機を作りましょう!!!」

 

チカラトミイ……。

 

「人工知能を搭載していて自分で動くおもちゃとか作れませんか?!!!」

 

KADOOKA……。

 

「鎧さんの半生をラノベにしたいのですが!他にも、亜人国家の歴史や人物についての本を書きたいのです!」

 

カブコン……。

 

「デーモンハンターのVR版をどうしても出したいです!何でもするので協力してください!!!」

 

 

 

うんまあ……。

 

何なんだこいつら……?って感じだよね。

 

いや、気持ちは分かるよ?

 

けど、魔法大学のお披露目会から一番最初にアポ取ってきた企業がこいつらなんだよね……。

 

でも、全員、問題あることは言ってないんだよな。

 

それに、俺もオタクってほどじゃないが、日本のこういった漫画やらゲームやらはそこそこやっているし、何より嫁が大ファンだ。

 

ルシアに限らず、嫁達は全員、日本のサブカルチャーに熱を上げているし、亜人達にも熱狂的なファンがいる。

 

多分、俺が一声かけたらめちゃくちゃ有能なアホが挙って集まると思うぞ。

 

えー……?

 

やるの?

 

まあ良いけどさあ……。

 




もー中弛みですね。

多分、なろうに転載するとしたらこの辺は削除します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。