ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ワシはベイブレードもビーダマンもアホほどやったんじゃ。


153話 玩具革命

そして次に玩具。

 

「はぁ〜い、来たわよ〜!」

 

魔人族、テレジアだ。

 

俺の嫁で、現在は富裕層向けのリビングドールの販売を請け負っている。

 

リビングドールってのはそのまんま、生きている人形のことだな。

 

現在は、介護や接客などの分野で活動を始めているらしい。

 

まあ、最低額でも新車より高いから、完全に富裕層向けだがな。

 

金持ちの変態は、自分好みのリビングドールを買い取って可愛がっているらしいぞ。

 

因みに、会社名は『メイデンハーツ』と言うらしい。

 

「で、やることは劣化版のリビングドール製作でOKかしら?」

 

とテレジア。

 

実際そうだ。

 

生命ある人形のことをリビングドールと言い、プログラムに沿って動く人形をゴーレムと言う。

 

因みに、リビングドールの進化系というか、デザインされた生命のことをホムンクルスと呼ぶ。

 

その辺の境界については曖昧だからなんとも言えんが、少なくとも今回作るのはリビングドールであることは間違いない。

 

リビング『ドール』だからね?

 

大きくても小さくても、人型でも四つ足でも、それはドールなんだよな。

 

「そもそも、チカラトミイさんは何がしたいんですか?」

 

俺が、チカラトミイ側のプロデューサーに訊ねる。

 

「そうですねえ……、うちの玩具の特徴として、この三つが挙げられます」

 

即ちこう。

 

・安全に対戦でき、場合によっては子供自身がルールを作れるような応用性がある

 

・同シリーズの別商品との互換性があり、カスタマイズができる

 

・子供や外国人でも簡単に遊べる直感的な操作が可能なヒューマンインタフェースを持つ

 

なるほど、そう言われるとそうかもしれない。

 

俺は幼い頃にあまり玩具などに興味はなかったが、他の子供達が遊んでいる姿を見たことはある。

 

「うーむ、それだけじゃよく分かんないっすね」

 

俺がプロデューサーにそう言った。

 

すると……。

 

「例えば、こちらは我が社の製品になります」

 

何々?

 

「……『爆熱回転コマンダンテ』?」

 

どうやら、コマの玩具みたいだ。

 

「はい!我が社の製品は、広い世代に親しんでいただくために、古いゲームを進化させたのです!」

 

なるほどな。

 

ベーゴマってのは、昔から使われてきた玩具だ。

 

それを使いやすくして、しかも組み合わせでカスタムできる知育玩具ともしている訳か。

 

これなら、子供だけじゃなく、子供の頃ベーゴマにハマっていた年寄りにも刺さる訳だ。

 

なるほど、考えられているな……。

 

「そうだ!亜人国家の方では、子供達にどんな遊びが流行っていましたか?」

 

とプロデューサー。

 

「え?そうねえ、人形繰りとかかしら?」

 

「人形遊びですか?」

 

「いいえ、こうやって……」

 

テレジアはマネキンのような人形を創造して、動力術をかけて動かした。

 

「なるほど……。これは、オートで動かせたり?」

 

「できるわ」

 

「音声認識で指示を出せたりは?」

 

「できる」

 

プロデューサーが考え込む……。

 

そして、口を開いた。

 

「小型のロボットに指示をして戦わせるゲーム、というのは可能でしょうか?」

 

ふむ。

 

「できるな」「できるわ」

 

 

 

トントン拍子で話がデカくなり、こんな感じになる。

 

・20cmほどのロボットに、武器や装甲を着せてカスタマイズ!

 

・カスタマイズしたロボットに指示をしてバトル!身体のどこかにあるコアを破壊されたら負け!

 

・ロボットの攻撃は派手だが、周囲のものは壊さない安全なもの!

 

・メディアミックス展開!

 

とのこと。

 

まあぶっちゃけた話……。

 

「そんな程度で良いんですか?」

 

って感じだ。

 

「えっ?!私、相当無理を言っていると思うのですが?」

 

プロデューサーはそう言って首を傾げる。

 

そうなのか?

 

「いや、そんなん、この20cmのサイズの人形に惑星を砕くパワーを与えろ!って言われたらコストとか色んな意味で無理ですって言うけど、子供の玩具レベルなら行けますよ」

 

「は、はあ……」

 

そんな感じでプロトタイプを作って送りつける。

 

そして、幾日かのテストプレイを経て……。

 

『極限武装ブシドール』シリーズの発売が始まった。

 

 

 

極限武装ブシドールは、20cmほどのロボットに装甲や武装を自由に取り付けて戦わせる玩具である。

 

初期ロットとして、六種類のブシドールを販売開始。

 

『ブシドラゴ』

赤色の武将風装甲に日本刀大小一組を持つパワー型のブシドール。手甲部のドラゴン型の装甲から火炎放射を出せる。AIはござる口調のサムライ風。コミックでは主人公の愛機となる。

 

『ナイトラン』

白色の騎士風装甲にランス、ヒーターシールド、ロングソードを持つガード型のブシドール。ある程度の魔法攻撃も可能。AIはデスマス調の丁寧な騎士風。コミックではライバルキャラの愛機となる。

 

『カンフーロウ』

橙色の中華風装甲に棒と双剣を持つスピード型のブシドール。なんか気弾みたいのを撃てる。AIはアルアル中華風。コミックでは仲間キャラの愛機。

 

『ガンペガサス』

青色のアメリカンな軽装にリボルバーを二丁とナイフを持つテクニック型のブシドール。遠距離攻撃が溜めなしで連射できるのが強い。AIは時々英単語が出るアメリカ風。コミックでは仲間キャラの愛機。

 

『ゴルドレオン』

金色の荘厳な装甲に、大剣だけを持つパワー型のブシドール。鈍重だがパワーが強く、胸のライオンの顔のようなパーツからごんぶとビームを放つ。AIは王者風。コミックでは謎の強キャラの愛機。

 

『グラシャチス』

黒色の装甲にボウイナイフを二本、投げナイフを六本、隠しナイフを二本持つテクニック型のブシドール。暗殺者のような動きが可能で、攻撃を当てると相手が麻痺する。AIはクール。コミックでは敵の幹部キャラの愛機。

 

そして、バトルのステージに、半径30mくらいの異空間発生装置を同梱(なお、買った本体によって異空間のステージは風景が違う)して販売開始。

 

 

 

結果から言おう。

 

空前絶後のバカ売れだ。

 




Q:むしろこれはメダロットじゃないスか?

A:まあそうね。

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