ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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こんなん発売されたら、全てを捨てて遊ぶんだよなあ。


154話 極限武装ブシドール!と子供

俺は山田勇。

 

息子の名前は翔太。

 

妻は佐世子。

 

妻と二人で居酒屋を経営している。

 

店の名前は、居酒屋ヤマヒデ。

 

ヤマヒデってのは、先代店主である俺の親父が山田秀樹って名前だったからだ。

 

親父は腰を痛めて半分引退して、今じゃ裏方をやってくれている。

 

おすすめのメニューは特製のもつ煮込み。

 

最近は、なんだかよく分からないが亜人の人達がよく来るな。

 

まあ、ここは東京で、空港の近くだからだろう。それと、日本の食べ物を少しずつたくさんの種類が食べられるのがウケてるらしいな。

 

 

 

それはさておき……、息子がチラシを持って休日で寝ている俺に突っ込んできた。

 

「ぐおおっ?!ど、どうした翔太?!」

 

「パパ!これ買って!」

 

んー?

 

何々……?

 

「『極限武装ブシドール』だと?」

 

なんだこれ?

 

ヒーローもののフィギュアってやつか?

 

俺も若い頃はガンドールのプラモデル作りに凝っていたんだよな。

 

息子も、こう言うのに興味が出る年頃か。

 

値段は……、一つにつき三千四百円(税別)か。

 

そんな高くもないし、一つくらい買ってやるか。

 

「ちゃんと勉強頑張れるか?」

 

「頑張る!頑張るから〜!」

 

「よし!じゃあ、玩具屋さん行くか!」

 

「あ、ネット注文の方が良いって。クラスの祐太郎君が言ってた」

 

「ん?そうなのか?」

 

「ほら、ここ!」

 

えーと、『転売対策に受注生産も受け付けております』か。

 

それに、『受注から二日後までには全世界のどこへでもお届けします』だと?

 

どうなってるんだこれは?

 

なんかの詐欺……、いや、このチラシはちゃんとした、ヨコバシカメラのものだな。

 

じゃあなんで、受注から二日後までには届くんだ?

 

ネットで調べてみるか。

 

えーと、何々……?

 

チカラトミイ×メイデンハーツだと?

 

メイデンハーツ……、ああ!あの、亜人さんのアンドロイド人形の会社か!

 

俺も従業員に魔法ロボットを導入したら良いんじゃないか?と思ったんだが、あれって新車並みに高いからなあ。

 

諦めてたんだが……、そうか、玩具業界に手を出してくるのか。

 

つまり、魔法で作ってるから、すぐにできてすぐに届くってことか?すげぇなあ。

 

そもそも、これってなんの玩具なんだ?

 

プラモデルとは違うのか?

 

お、プロモーション動画がある。

 

再生してみるか。

 

『チカラトミイ×メイデンハーツ!』

 

『『『『戦え!ブシドール!』』』』

 

『魔法AIによって全身が自動的に駆動!』

 

『相手に攻撃してアーマーをブレイク!』

 

『アーマーの内側のコアを破壊しよう!』

 

『空間拡張装置でどこでも対戦!』

 

『『『『極限武装ブシドール!』』』』

 

『君も魔法の玩具で遊ぼう!』

 

あー……?

 

あ、保護者向けの案内ページだ。

 

ええと……、『極限武装ブシドールは、魔法によってある程度の知能を持ち、完全に自律駆動する小型のロボット戦わせるホビーです。ロボットの攻撃は全て、仮想現実などを交えたものなので、物を壊したりすることはありません』か。

 

つまり、小さなロボットを戦わせて遊ぶってことか?

 

これはすごいな……。

 

でも、細かいこととかちゃんと見ておこうか。

 

ええと、『ロボットは犯罪行為には一切手を貸さない』のか。すごいな。

 

それに、『ロボットはコミュニケーションを重ねると成長する』のか。いや、すごいな?!

 

うーん、確かに、こんなものがあれば世の中の子供達はみんな買うわなあ……。

 

それに、買ってやらなきゃうちの子が仲間外れにされちまうレベルだ。

 

よし、買ってやろう。

 

「どれが欲しいんだ?この赤いのか?」

 

「んーん!僕はこの白いやつ……、『ナイトラン』が良い!白色が好きなんだ!」

 

「そうかそうか!じゃあ、注文っと!その代わり、勉強も頑張れよ!」

 

 

 

そして届いた玩具。

 

「わぁ……!」

 

『マスター登録をお願いします』

 

「僕!山田翔太!」

 

『マスター、ショウタですね。私はナイトランです。よろしくお願いします』

 

「うん!よろしく!」

 

すげー……。

 

その後も、翔太と会話をするけど、人間並みの受け答えだ。

 

スマホの人工知能みたいに、聞かれたことだけを答えるとかじゃなくって、話題を振ってきたりするんだよ。

 

人間と変わらないんだ。

 

これで三千四百円ってのはすげぇなあ……。

 

それにこの、『空間拡張装置』ってのもすげえ。

 

その名の通り、ちょっとした庭くらいの空間がいきなりできあがるんだ。

 

ワープゲートみたいなのができて、そこから先がミニチュアのヨーロッパ風の城になっていた。

 

でも、ワープゲートは平らで、ワープゲートの裏側は普通の空間だ。つまり、入り口方向のワープゲートから入った時だけ、別空間ができてるんだよ。

 

こりゃすげえなあ。

 

すげえとしか言えねぇ……。

 

 

 

……にしても、これ、めちゃくちゃ便利だな?!

 

このナイトランとか言うのは、宿題を終わらせるまで遊んでくれないとか、おやつを食べすぎないように見張ってるとかは序の口で、翔太が具合が悪そうな時は電話をかけてきてくれるとか、本当に助かることをしてくれるんだよ。

 

翔太の面倒を見てくれてるから、親もちゃんと休めるし、それどころか、俺達親にも子供とコミュニケーションをとらせようと気を遣う素振りまで見せる。

 

もうほぼ、小さいお手伝いさんだよこれ!

 

……うーん、ナイトランの友達用に、もう一体くらい買っても良いかなあ。

 

最近は、新型装備パーツとか、新型空間拡張装置とか、新しいのが出てるらしいし。

 

玩具屋の、もっと新しいのを買わせようとする戦術なんだろうけど、悔しいが買っちまうなあ。

 

よく考えられてるもんだ。

 

いやー、ほんとに、すげえよ!

 




俺も欲しい。

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