あのロボットの玩具、やべーくらいに売れてるんだけど。
販売から半年で一億五千万台売れたらしいよ。
一つ三千四百円だから……、五千億円くらい?
チカラトミイの年商は大体二千億円くらいだから……、メイデンハーツと利益を折半したと考えて、二千五百億円を半年で稼いだの?
半年で年商分稼いだの?
しかもこれ、デザインやコミカライズ関係はチカラトミイだけど、生産はメイデンハーツでしょ。
となると、純利益は相当なことに……。
メイデンハーツ側は金に困ってる訳じゃないし、そんな暴利は取らない契約だったもんな。
これ、相当だぞ。
ちょっと話を聞いてみるか。
うちの社員に、チカラトミイに出向してる奴がいたな。
そいつに電話してみよう。
「もしもし?」
『はい!なんですか社長!』
「チカラトミイの方、問題はないか?」
『ないです!めちゃくちゃ歓迎されてます!チカラトミイは会社が傾くくらいブシドールに力を入れてるみたいです!』
あっ、ふーん。
『ところで社長』
「何だ?」
『他のフィギュア会社が同じようなシステムのフィギュアを動かすホビーを作りたいと連絡してきたんですけど、どうします?』
ふむ?
「具体的にどこ?」
『カトブキヤって会社です』
カトブキヤ?
検索っと。
えーと、何々……?
『メタルアーミーズ』と『メタルアーミーズ・ガールズサイド』ねえ。
ふーん……。
ふむ。
ふむふむ。
……いいじゃん!
俺もデモンズギアとか言う巨大ロボットを保有しているだけあって、機械は好きだ。
車も高級車を何台も買ったし、ゴーレム作りなんかも嗜む。
そもそも、異名の『鋼の勇者』も、魔法によって機械兵団の類を創り出すから『鋼』なんだよな。
ロボを作りたいと言われたら否とは言えない。
このメタルアーミーズは、大人向けのオリジナルロボットフィギュアのシリーズらしい。
俺も買うわ。
ブシドールは原色の玩具っぽいデザインが好きじゃないんだけど、こっちのメタルアーミーズはデザインが大人向けで好ましい。
いや、もちろん、ブシドールも買ってはあるが。
で、このメタルアーミーズだっけ?設定資料もいくつか覗いたが、硬派で大変に良い。
まあ、所詮はフィギュア会社のオリジナルロボットシリーズであるからして、緻密な設定はなく、ざっくりと軍隊と敵!くらいのものだったが。
こっちのガールズサイドは……、すまんが俺はよくわからん。
美少女フィギュアってやつか?
俺は現実世界で好きなだけ美少女を抱けるから、美少女フィギュアの良さはよくわからんのだ。
だが、好きな人は好きなんだろうなと思うし、その情熱も伝わる出来だ。
よし、じゃあやろうか。
「カトブキヤの人呼んできてくれ。やるぞ」
『はい!』
「ありがとうございます!!!!」
「いや、ちょっと……、やめてくださいよ」
いきなり土下座された。
なんなのこの人。
怖……。
「夢でした……、我々のデザインしたロボットを動かすことは!!!!」
声デカッ……。
そんなイキ顔で言われましても。
面妖な……、変態技術者が……!
「こちらからの要求をしても?」
そして、挨拶が終わると、スッと商売人の顔になり、商談が始まる。
「はい、どうぞ」
まあ、こういうタイプの変態とはよく会っていたからな。俺はうろたえない。
「では……」
で、要求されたのはこんな感じ。
・ロボットは、高速飛行と高速戦闘を行う。装甲の破損描写も、リアリティを高くする
・AIをより高度に設計し、所有者は戦術AIを口頭指示ではなく、プログラミングのような形で事前に設定できる
・空間拡張装置の範囲を広げて、ステージ内にNPCを配置して、その内部で戦う個人用のゲームとする
・メタルアーミーズとメタルアーミーズ・ガールズサイドを共通規格とする
なるほど、大体分かった。
「まず、リアリティ増加ってのは理解できるんですが、このプログラムで戦術AIを設定するとは?」
「例えば、『敵をロックオンした場合、かつ100cm以上離れている場合、射撃する』と言った命令を設定して、それを組み合わせて戦わせるんです」
なるほどね、そりゃ面白そうだ。
「この、個人用のゲームとするってのは?」
「やはりターゲットは子供ではなく成人となりますので、個人で遊べる方が何かと良いんですよ。公式がステージのデータを販売したり、個人が配布したりもして欲しいですねえ」
ふむ……?
「ですが、御社はフィギュアの制作会社で、ゲームの作成は門外漢なのでは?」
「そこは、我々と懇意にしていただいている、クロムソフトウェアという会社がゲームデザインの方を引き受けてくださいました」
クロムソフトウェア?
「アーミーズコアの?」
「ご存知でしたか?そうです、あのクロムソフトウェアがです」
「なるほど、それは素晴らしい」
なるほどね、あそこか。
硬派なゲームを作ることで有名なゲーム会社だ。
クロムソフトウェアと連携するなら、ゲーム面の心配はないな。
「じゃあ、このガールズサイドの方と共通規格にするってのは?」
「美少女の隣にメカ!滾るではありませんか!!!」
チョットヨクワカラナイ。
まあ良いや。
「まあ、全部可能なので、やりますか」
タァーンェイグヮンダム。デデッデデッデデデデ!デデッデデッデデデデ!
アーマードコアの続編は現実やったってことやね。