VRゲームの開発とジンダイナヌコさんのロボットゲームの開発。
っつっても、これはそんなにやることないんだよな。
まず、VRゲームは、スクエアウェニックスさんとの共同開発になる。
スクエアウェニックスさんの誇る大作RPG、ファイナルファンタズマのVR化だそうだ。
それも、既存作のVR化ではなく、完全新作のオンラインゲームという形式で。
カブコンさんにも、デーモンハンターの最新作をVRで作ってもらう。
そして、ハコ……、ゲーム機側はSONEYと亜人国家企業の共同開発だ。
こちらは、販売はどんなに早くても来年とかになるだろう。
何せ、亜人側の技術を人間側に吸収してもらわなければならないからだ。
と、思っていたのだが。
「学習装置?!使います!!!」
とのことで、音速で学習を終わらせた人間側。
亜人国家には、学習装置というものがある。
それはSFなどでよく見る、怪しげなヘルメットを被ってビリビリ〜っとすれば勉強をしたことになる装置だ。
これは、この世界の人間にまだ使ったことのない装置である。
もちろん、理論上は使っても問題がないとされているのだが、治験というか実験はまだ済ませていない装置の一つだった。
それを、人間のゲーム会社の職員達は、躊躇いもなく使ったのだ。
お陰で、亜人国家の道具の使い方を即座に覚えて、すぐに仕事に取りかかった。
怖いものなしだな……。
一方で、ジンダイナヌコさんが提言した『スペシャルロボット大戦』は、結局VRでやることとした。
リアルにロボットを作るのも一応やるが、安全面からやはり、仮想現実じゃないとダメってことになったらしい。
開発期間の半年を経て、無事にリリースされた魔法を使ったアミューズメント製品。
いやぁ……、もう本当に各方面で洒落にならないくらい売れちゃっててどうしようこれ……、ってなってる。
VRゲームはね、何かこう、ずっとやっていると肉体が衰えて……、みたいに考える人も多いかもしれない。
けど、亜人国家がそれを予想してない訳がないんだよなあ。
VRゲームは、ゲーム内で動くと、動いた分だけ肉体にも運動の成果がある程度フィードバックされるのだ。
いやぁ、もちろん、ゲームだから瞬間移動みたいな速さで動くから、百パーセントのフィードバックをすれば、全身の筋繊維がズタズタになって骨がブチ折れるけどね?
ある程度常識的なフィードバックがされるんだよ。
Q:つまり?
A:VRゲームの世界で運動すればガンガン痩せて筋肉もつくよ!
と、そう言う訳だ。
ついでに言えば、寝たきりになろうが、五感を失おうが、手足を失おうが……。
VRゲームの世界には、それが全てあるぞ。
VRゲームの世界なら、かつて失った光を、生まれつき見えなかった色を、麻痺した味覚を。
そういうの全部復活するぞ。
ついでに言えば事故で肉体が麻痺した人のリハビリにも使えるぞ。
まーあそんなもん、売れない訳がないんだよな。
SONEYさんは、全世界でバカ売れしたフレイステーション5の倍の量を初期ロットとして生産した。
この生産量は、もしも売れなかったら会社が傾くレベルだが、SONEYさんは売れると確信していたそうだ。
結果は……、それらは全て、予約販売フォームの開放から二分で完売したそうだ。
ついでに、魔法による処理を施してあり、手に入れた人の名義以外では起動できないようになっているので、転売は不可能である。
それなのに、この速度で予約が埋まったのは、転売屋が忠告を聞いていなかったのか、それとも、本当に大人気なのかの二択だろう。
開発に携わった一人として、できれば後者であって欲しいとは思うがね。
開発されたハード名は、『フレイステーションMagic』……。
ローンチタイトルは。
『ファイナルファンタズマ19VR』
世界に誇るスクエアウェニックス製のRPGゲームのVRMMO。
あらすじは、クリスタルに導かれた使徒達が、アルディリアの大地に訪れる『災厄』を止める話。まあ、いつものファイナルファンタズマだ。
いつものように豪華声優陣とスペシャルなキャラデザでぶん殴る、スクウェニの常套手段をVRゲームでやるだけの話。
『VRスポーツ』
新天堂製の、新しいゲームハードであるフレステMの習熟訓練に使えるゲーム。
ゲーム内容は、ゲーム内で剣道や空手、サッカーなどができる以外にも、魔法を擬似的に使えるようになることを活かしての的当てゲームなどがある。
『デーモンハンターVR』
カブコンの大人気アクションゲームのVR版。
魔法を使っているので、実質容量無限であることを活かして、今までに登場したデーモンを全て再登場させ、更には新デーモンも山ほど追加した。
『戦極無双VR』
ソウエイテクモの大人気アクションゲームのVR版。
オンラインにも対応していて、一武士として戦場に参加できるのが見どころらしい。確かに、フレステMは圧倒的な演算力と魔法によるネットワークがあるから、ゲーム内で数千から数万人のプレイヤーが同じ場所で好き勝手に動いても問題ない。
『アイアンギアVR』
オオナミの大人気FPSのVR版。
オンライン対応。
アイアンギアの監督が気難しい人で、本社と折り合いがつかなかったのだが、そこを俺が金の力で無理矢理どうにかした結果がこれだ。
『ツェンムーVR』
SEIGAの大人気オープンワールドゲームのVR版。
オンラインには対応していない。
フレステMの演算力にものを言わせて、数多くの人間をエミュレートしたバカみたいなやり込み度を誇るゲーム。
ランダムで変化する人間関係から、一度たりとて同じエンディングにはならないであろうプレミアムな体験が売り。
『ダークネスソウルズVR』
クロムソフトウェアの大人気(?)ダークファンタジーのVR版。
オンライン対応。
難易度がクソ高い。
難易度がクソ高い。
『ポキモンVR』
全世界で大人気のポキットモンスターのVR版。
ストーリーはいつものように、ポキモンを使ってなんか悪いことをしようとしている組織を懲らしめる話になる。
しかし凄いのは、フレステMの演算力を活かして、ポキモン一匹一匹に心を搭載し、それと触れ合えることだ。
『スペシャルロボット大戦VR』
ジンダイナヌコさんの大人気ストラテジーゲームのVR版……、だったはずなのに、今作は何故かロボットアクションゲームになっていた。
ルールは簡単。ロボットに乗れ!戦え!それだけ。
頑張って戦っていれば、新しいロボットを開発したりスキルを得たりできるぞ!
しかも、オンライン対応のMMOゲームである。
うーーーん、まあね。
バカ売れだよね。
初期ロットで1000万台が一瞬で売れて、その後は販売を求める声でSONEYのお問い合わせフォームがパンクした。
その一週間後、二次ロットとして2000万台が出荷されたが、それも二分で完売。
更にそれから三次四次五次ロットとして5000万台ずつが出荷され、それも一日ずつで完売。
この時点で、世界で一番売れたゲーム機の称号を得たフレステMだが、快進撃はこれに留まらず、結局、この半年で全世界で四億台売れたそうだ。
もちろん、反亜人国家を掲げる国家は表向きには購入していない。
表向きには。
ネットの反応を見ると、老いも若いもテンションマックスで遊んでいるようだった。
ちゃんとシステム側で、数時間おきに休憩しなきゃ強制終了するとかのセーフティもあるが、ネトゲ廃人になってしまう人はしょうがないと割り切る。
いや、だってさ、ネトゲ廃人になるのはゲームが悪いんじゃなくって本人の環境が悪いんでしょ?
逆に聞くが、廃人になるほどのめり込むゲームを作るメーカーが悪いってのか?って話だ。
ゲームを買った人達は、仕事や勉強やらをぶっちぎって、VRの世界にのめり込んでいた。
更に、医療分野でもVRは楽しまれており、事故で身体が動かなくなった人や、生まれつき動かなかった人も、VRの世界ならなんでもできるってことで福祉にもなっていた。
そんな訳で、最高に面白いゲームができてしまった訳だな。
そして、海外のゲーム会社が、ウチでもフレステMでゲームソフトを出させてくださいと土下座ラッシュだ。
箱メガネかけて虚空に向かって話しかけるのじゃなくって、脳波で操作するVRゲームがやりたいんじゃ。
俺が死ぬまでにできるかなあ?