魔法を使った娯楽の進化は、正に凄まじいの一言だった。
HENTAIと名高い日本人は、エロスにかける情熱だけでなく、娯楽方面への情熱もまた大きい。
世界中の国々が、魔法は兵器だと認識している中、「魔法で娯楽品を作れないか?」などと頭のおかしいことを考える国は他にないだろう。
魔法は核爆弾より危険だ!とか、地球の人間でも訓練すれば使えるようになってしまう!とか、そういう話が出てきて、世界的に議論が始まっている最中に、「じゃあ玩具にしようぜ!」と言えるのは、どういう神経しているのかちょっと分からんと言わざるを得ない。
だが、その狂気の行動で生まれた魔法娯楽が全世界で人気になっているのだから、世の中ってよく分からんな。
賢いつもりではあるが、世界ってもんは本当によく分からん。複雑怪奇だ。
さて。
これらの魔法娯楽だが。
亜人国家でも馬鹿売れしていた。
実は、亜人国家にはそんなに娯楽が多くないんだよ。
種族にもよるが、やることといえば大抵はスポーツや演劇、ダンスに演奏とかだからな。
後は、各種族の伝統芸能とかな。
亜人国家の民は、あくせくと働かずとも生きていけるし、異性が欲しけりゃリビングドールやホムンクルスを並べれば良いしで、特に娯楽に重要性がないんだよ。
そういう国民性ということもある。
ドラマくらいはあるのだが……、それらも、伝記物や歴史物、それと少しの恋愛物くらいで、日本のように多種多様なジャンルの娯楽はないのだ。
規制とかは日本よりも緩いくらいなのに、何故こんなに娯楽がないのか……。
それは、魔法があまりにも万能だからだ。
ファンタジーゲームやファンタジー小説!それなら、魔法訓練を受けてダンジョンにでも行けばいいだろ?
SF!個人で宇宙船が作れる社会で何をするんだ?
恋愛やエロ!ホムンクルスでも買えば?
と、こうなってしまう。
なので、地球の「存在しない創作物を描く」というのは、亜人にはあまりなかったものなのだ。
よって、サブカルチャーが発達している日本に、多くの亜人達が注目している訳だな。
VRもめちゃくちゃ購入されたようだ。
これを機に、旧作のゲーム機やソフトも馬鹿売れしている様子だな。
うちでも、嫁達がゲーム機にかじりついている……。
『自分に忠を尽くせ……』
『ボスぅーッ!!!』
「ボスーーーっ!!!!」
居間で叫んでいるアホは、九尾族のカエデだ。
「うああ……、ボスは……、ボスは……!あんまりなのじゃ!CIAめぇ!」
何ぞか言ってるな。
よく分からないが、アイアンギアとかいうFPSものが推しらしい。
感動できる演出があるらしく、マジ泣きしながらコントローラーを握っている……。
その隣では。
『心しておけ、お前たちの惰弱な発想が……、人類を壊死させるのだと……』
『人類など、どこにもいないさ……』
「うおおおおっ!そうなのか?!揺籠の中で生きるようなものは人類ではないという解釈で良いのかな?!それともまさか……?!」
鉱人族のエスメラルダが興奮していた。
クロム脳?考察?がどうとか?
よく分からんが楽しそうでよかったな。
魔人族のテレジアは……。
「良いわねぇ、日本人のエロスって、何でこんなに多様なのかしら?何々……?ふたなり?男の娘?女装男子?……良いじゃない!興味深いわね!」
……見なかったことにしよう。
『行けっ!ビカチュウ!アイアンテールだ!』
『ビカー!』
「「おおー!」」
レイラとベータは精神的に幼いので、対象年齢が低めのアニメにご執心だな。
ポキモンやスタジオシブリなどを見せたらどハマりしていた。
『だから……、見ててください!俺の……、変身!』
「「わあっ!」」
アニエスとルシアも意外と趣味がガキなので、特撮ものや、ジャプンなどの漫画を好んでいる。
最近は鬼殺の刃?とか言うのが面白いとか?よく分からんな。
「うおおっ!秘剣、無明逆流れ!」
グロリアは……、なんかこう……、武道ものをよく読んでいるようだな。
オリヴィエとアウレーリアは純文学やらを好む。
角馬族のエリーゼは……。
『オレ様を2度振ったら、もう絶対許さねぇ!』
「キャー!こ、これは!なんと大胆な!」
うん……。
何かこう……、こいつは見た目は、キリッとした女騎士なんだがな。
中身は、少女漫画でドキドキしちゃう「女の子」なんだよ。
可愛いから別に良いけどさ。
『要するに私の希望は、たかだかこのさき何十年かの平和なんだ。だがそれでも、その十分ノ一の期間の戦乱に勝ること幾万倍だと思う……』
「なるほど……」
イルル?こいつはね、SF好きなんだよ。
うーん……。
大分弛んでいるようだが……。
まあ、サブカルチャーは楽しいから仕方ないな。
書けな過ぎて頭おかしなるで。
厄介女に惚れられるフィジカル主人公というノリがあまりにも好きなんだよなあ俺は。
厄介女のスパダリみたいな主人公がええんや。
例えばさ、恵まれた家庭で育ち、見た目も美人で才能に溢れる女の子がいたとするじゃん?
当然、そんな女の子は周りから嫉妬されまくるじゃん?
そうして嫉妬されて虐められていつしか、人格が歪んで「仲間や友達を作るのは弱い奴がすること!私みたいな天才に仲間なんていらない!」みたいな態度になる女の子がいたとするよ。
それに対して、あらゆる道理を腕力でぶっ飛ばすマッチョイケメンと出会わせる!!!
マッチョはマッチョなので、単に天才な程度のメスガキは簡単に潰せる訳じゃん。天才少女が天才だとしても、マッチョイケメンは筋肉一点突破で天才少女の総合ステータスをぶっちぎる理外のマッチョだからね。
そして、天才少女は、初めて自分より「スゴい」と明確に言える男と出会い、今までの人生を肯定されて、たくさん可愛がってもらえる訳だよ。
そういう尖った女のスパダリみたいな主人公を私は書きたい。