早速、モーショボーを呼び出す。
「こんにちは、モーショボーちゃーん」
「ひいっ!!や、やだ、やだ、ごめんなさい!助けて!痛くしないで!!!」
人聞きの悪いこと言うなよ。
「モーショボーちゃーん、良い子だから俺の実験に協力してくれるかなー?」
「いや、やだ、駄目、助けて、お願いします!」
「成功したら強くなれるよ」
「ほ、本当に?」
「失敗しても消滅するだけだし、軽い気持ちでやってみよ?ね?」
「やだーーーーー!!!!」
あらかじめモーショボーちゃんには、俺に逆らえないように隷属のプログラムを組み込んである。
かわいそう……。
さて、張り切ってやろう。
「えーと、ここ多分流入量だから数値減らして、ここが濾過プログラムだと思うんだけど、さて、どうだ?」
「あ、凄い!綺麗なマグネタイトどんどん入ってくる!気持ち良い!」
あ、あっさり成功したわ。
よかった、泣き叫ぶモーショボーちゃんはいないんだね。
「ふ、ふふふ、強くなったわ!だから、貴方を殺して逃げてやる!『マハザン』!!!」
「モーショボーちゃん」
「あ、あれ?あれ?なんでぇ?!なんで魔法が使えないの?!」
俺へのプロテクトがあるからな。
モーショボーは俺に危害を加えられない。
「残念だよモーショボーちゃん」
「あ、ああ……!あ、あのね、これは違うの、ほんの冗談のつもりで……!」
「そっか!じゃあ、次はどこを吹っ飛ばす?お腹とかおすすめだよ!」
俺が笑顔を見せる。
「は、ひ、ご、ごめんなさい!何でもします!二度と逆らいません!!!」
「よし、じゃあ吹っ飛べ」
「いぎゃあああああああ?!!!!」
瀕死のモーショボーを、バックアップデータを上書きして元に戻す。
「おはよう、気分はどうかな?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ふむ。
正直な話、見た目は結構好みだ。
真っ赤な服と紫の髪はあれだが、顔はいい。
「モーショボー、改めて俺と契約しろ」
「ひぅ……?」
「お前は俺の下僕になれ。その代わり、強くしてやるし、マグネタイトも吸わせてやる。飯も食わせてやるし、ちょっとしたおもちゃくらいなら買ってやる。生活を保障するから、傘下に加われ」
「え、と、うん、分かったわ」
おや、あっさり。
「その、私は貴方に逆らえないのよね?」
「ああ、俺に危害を加えられないように弄ったな」
「マグネタイトをくれるなら、ちゃんと言うこと聞くわ。だ、だから、お仕置きはやめて?痛いのはもう嫌なの」
「よしよし、じゃあ、今日からお前はミナと名乗れ。俺は真上天津だ」
「よ、よろしく、天津おじさん」
よし、取り敢えず、マグネタイトを増やすか。
ギュンギュンマグネタイトを吸って、休憩。
ミナで実験したところ、レベルが一日に三つも上がれば、マグネタイトの過剰供給で具合が悪くなるようだ。
なので、一日二つのペースでガンガンレベルを上げる。
さて、俺のレベルが三十、ミナが二十五くらいになった頃……。
「おいで、ミナ」
「天津ー❤︎」
ミナは、すっかり俺に懐いた。
最初のビビリっぷりはなんだったのか。
「ねえ、天津?モーショボーの伝説って知ってる?」
「あー?愛を知らない女の子が化けたんだっけか?」
「そうよ。でも、天津は私のこと、たくさん愛してくれたから、私、満たされちゃった❤︎」
んー?
まあ、逆らえないのをいいことに、抱いたんだが……。
まさに悪魔的な気持ち良さだった。
だから、風俗でヘタクソなブス地雷女を引かないようにデリヘルガチャするくらいなら、と思って、最近は頻繁にミナを抱いてるんだが……、なんか、こいつは愛されてると思ってるのか。
うーん。
そう言われると、ミナは、他の女みたいに、俺の地位やら金やらに釣られている訳じゃない分、純真で可愛らしいのかもしれねえな。
まさに夢見る少女、か?
「私ね、エッチは初めてだったけど、とっても優しくしてもらっちゃった!」
「良かったな」
さて、エッチは初めてだと?
そんな訳ねーだろ。
仮に今までデビルサマナーがいたとして、こんな可愛くて抱き心地が良い女の子を抱かない訳がない。
どういうことかコロンゾンに聞いてみる。
『悪魔には、本体と分霊というものがあります。本体は、実に数百レベルに達する強力な存在で、サーバである魔界に存在します。分霊は、本体の劣化コピーで、この世界に存在します』
ふむ?
「えっと、本体はこの世界に来れないのか?」
『マグネタイトの濃度が薄過ぎて、存在を保てませんな』
「じゃあ、このモーショボーであるミナは分霊?」
『いえ、弱い悪魔なら、消費するマグネタイトの量が少ないので、本体で顕現できます。それに、モーショボは一種族一体の魔王のような存在ではなく、ありふれた、本体が多数存在する悪魔でございますから、このミナも本体で、男性に抱かれたことがないというのも真実でしょう』
成る程、成る程。
『そして、名前をつけたことにより存在の根底が変質し、ミナという一種族一体の悪魔に変じてますね』
OK、わかってきた。
さて、一ヶ月ぶりに外に出る。
とりあえず、実戦をこなしてみない限りなんとも言えんからな。
探せば、未管理の異界も見つかるものだ。
デビルサマナーの裏掲示板があり、そこの情報を漁れば、未管理の小さな異界がいくつも見つかる。
大きい、もしくは立地がいい異界は、ガイアとメシアに占拠され、そこに入るには金を払わなきゃならないようになっているらしいが。
よし、じゃあ、行くか。
俺は召喚した悪魔から奪ったアイテムファイル『無銘の日本刀』をロードして、手元に呼び出す。
そして、サバイバルベストとレザーブーツを装備。
異界に入ると、ぞわりとする。
言葉にはできないが、ここが異界であることがなぜか分かるのだ。
そして、異界は小さな廃ビルだった癖に、中は広い。
どうなっているのやら。
現れた悪魔は……、ポルターガイスト、レベル2のカスだ。
「テキだ!喰らえっ、『ザン』!」
ポルターガイストが攻撃してくる。
あえて受けてみる。
「うおっ」
ザンは衝撃の魔法だったな。
俺の胸に成人男性の全力パンチ並の衝撃が走る。
しかし、俺のレベルは三十。これくらい、大したダメージじゃないらしい。
耐久力は大体分かった。
次ば攻撃力だ。
俺は、無銘の日本刀でポルターガイストを袈裟斬りにする。
「ピギ」
俺の踏み込みは、自分で言うのもなんだが恐ろしく速く、斬撃も鋭かった。
剣筋も全くブレず、斬撃はあまりの威力で、その余波で、ポルターガイストの後ろにある廃ビル異界の壁まで切り裂いてしまった。
「うりゃあ!」
異界廃ビルの壁を殴ると、コンクリートの壁にヒビが入る。
成る程、身体能力は化け物だな。
異界のボスを殺すと、異界が消滅してしまうので、適当に雑魚悪魔を蹴散らして、身体能力のテストが終わると、帰宅する。
身体能力については、男塾並だと分かった。
うーん、暫くは、この悪魔召喚プログラムに使われている言語の研究の為に、悪魔関係者のネットワーク上に残っている悪魔のデータを集めて、色々な悪魔の分霊を召喚して解析するか。
さて……、とりあえず、メガテンは第一章までは書きたいな。
今一応、ガイアーズ同盟の会合に出席して、各組織にデビルサマナーの派遣業を始めると通達したところまで書きました。
ここから何か事件が起きて、それを解決して第一章としたいのですが……、どんな事件が起こるのか考えてません。
イベント案として、ガイアーズ過激派の悪魔人間、メシアン過激派の天使人間の改造人間編。ヤタガラスの一部が暴走する超力兵団復活編。イスラーム系ガイアーズ組織による神霊シャダイの召喚編。星の智慧派による邪神アザトース召喚未遂、ナイ神父こと邪神ニャルラトホテプとの対決編。メシアンの人工メシア計画編。メシアンの聖女にされた女の子編。世界崩壊時の時を考えて労働力を作るデモノイド作成編。こんな感じのイベントをふわっと考えています。
いっそ、第一章は組織立ち上げ編ってことにしてボスとか要らんかもしれんな……。
そしたら、第二章でなんか軽い事件を主人公が解決する話とかでどうだろうか?
そう、そうだな。オーバーロードの冒険者モモンみたいなノリで、本当はDDSnetの総帥だが、普通のデビルサマナーとして、わざと雑魚悪魔を連れて、一般的なデビルサマナーの生活を体験することにより、市場の調査などをする話なんてどうだろうか?
第二章、自分のことを一般通過デビルサマナーと思い込んだ精神異常DDSnet総帥編。
ってか、一番迷ってるのは、世界が崩壊するかどうかなんですよね。崩壊したらしたで、崩壊世界で逞しく生きるデビルサマナー達と、復興の指揮を執るDDSnetの姿を書けるし、崩壊しなけりゃ、DDSnetが頑張っている証になるし……。
あー、困った!