あー展開困りマン。
次のターゲットはこの子。
管吹美咲、中卒のアルバイター。
早くに親を失って、親戚もおらず、アルバイトをして食いつないでいるそうだ。
通信制高校に通いつつ働くが、ある日、悪魔召喚プログラムを手に入れて、金のために裏社会に首を突っ込んだ、と。
そして、今、俺の目の前で死にかけている訳だ。うわー、凄え、外傷で死にかけてる人間ってこんな風に痙攣するのか。ぐちゃぐちゃじゃん。あと五分以内に死ぬな。
まあ、悪魔を舐めたらそらそうなるわな。
ソーマを飲ませる。
顎が取れてるけど、喉に入ればOKだろどうせ。
「んっ、あ……?」
お、復活した。
可愛い女の子じゃん。
茶髪のセミロングと薄いメイク、何というか……、アイドルアニメの主人公、センターの女の子みたいな、元気で可愛いのが取り柄だが特徴は特にないタイプの女の子って感じだな。
いや、可愛いんだけどね?
「あ、あの……、助けて、くれたんですか?」
「ああ、助けてやった」
「あ、ありがとうございます!わ、私、このままだと死んでしまうところで」
「お礼の言葉は要らないな。対価に何をくれる?」
「あ、えと、私、お金とかあんまり……」
「そう言われてもね。君に使った回復アイテムは、最低でも五億円の価値はあるものなんだが」
「ごっ……?!そ、そんな!」
真っ青になる美咲。
「どうする?一生かけて返す?身体でも売ってみる?上手くやればギリギリ返せるかもよ?まあ、ブサイクな金持ちのおっさんのチンポを何本しゃぶる羽目になるのかは俺には分からんがね」
「あ、う、えっと……」
さて、いじめるのはこの辺にして、と。
「けど、俺の言うことを聞けば、借金をチャラにしてやるよ」
「ひっ……!じゃ、じゃあ……!」
美咲は、泣きながらスカートをたくし上げた。
「わ、分かりました……、何でもします……。で、でも、私、初めてなんです。どうか優しく……」
おっ、白!安物!
「それも良いが、そうじゃない。お前の一生を寄越せ、と言うことだ」
「へ?」
「お前は、俺の会社で永遠に働く。裏切らない、秘密を守る、俺に逆らわない。分かったか?」
「会社?えっちなお店ですか……?」
「えっちなお店のスカウトマンが異界にいる訳ねーだろボケ!デビルサマナー関係だわ!」
美咲はアホだが、スペック自体は高い。
中卒アルバイターなので、お金の大切さを理解して、他人に頼り過ぎない自立っぷりを見せる女だ。
美咲と同じ年頃の女は、女子高生だから、などと言って、親元でぬくぬくと暮らしているだろう。
そんな中、美咲は、この歳でアルバイトと言えどもしっかりと働いて生活費を稼ぎ、三食食事を作り、掃除洗濯をして、余った時間で趣味のテレビゲームをするという、一人で完結した生活を送っている。
俺も、大学生の頃に親が事故で死んだから、奨学金を増額して、バイトを掛け持ちして卒業まで苦労した経験がある。
一人で生きていくのは大変なんだよ。
17歳にして独り立ちしているこの美咲は、頭の良し悪しはさておいて、凄い女であることは確かだ。
「……あ、あの、これ、お給料のところ、桁が一つ間違ってますよ?」
「いや、合ってる」
「あ、そっか!その、年で二百万円ですよね?」
「いや、月で基本給が二百万円、それとは別にボーナスと、戦えば危険手当をを出す」
「????」
お、貧乏人の美咲の顔が面白いことになっている。
「にひゃっ、ひにゃっ?!にゅあ……、二百万円?二百万円?!!私の一年分のお給料より多い?!!!」
「とりあえず支度金として五百万円を支給する。指定のマンションに早急に引っ越してくれ」
「ほへあ」
そう言って、惚ける美咲にマンションの資料を渡す。
「……家賃十五万八千円?!!!」
「ああ、東京のしっかりとしたマンションだ。お前の家賃三万円の安アパートと違って、監視カメラ、オートロック、警備員がいるちゃんとしたマンションだな」
「あわわ……、こ、これ、詐欺ってやつじゃないですか?!わ、私を騙して、外国に売り飛ばしたりとか……?!」
五百万円の札束ブロックを渡す。
「ほら、これで新しい部屋の家具と、仕事用のCOMPを揃えろ。余った金で好きなテレビゲームを買っていいぞ」
「……しゃ、社長!私、一生頑張って働きますっ!!これからよろしくお願いします!!!」
「いや、俺は社長じゃない」
「え?でも、一番偉いんですよね?」
「そうだな」
「ええと、じゃあ、ボスって呼びますね!よろしくお願いします、ボス!」
『Lv27:人間(異能者):管吹美咲
HP:178
MP:210
耐性:なし
力:10
技:18
魔:23
体:20
速:19
運:15
アギ
マハラギ
プリンパ』
次のスカウト。
速水透という、バックパッカーをやりながら各地でデビルサマナーとして活躍する女だ。
有能であり、その有能さを同業者から妬まれて……。
「おい、お前!そのアイテムを寄越せ!」
「前々から気に食わなかったんだよ!」
「女のくせに俺達より稼ぎやがって!」
今、これから、なぶりものにされるところだ。
「や、やめろ!僕は何も……!」
暴れている透。
短めの髪はカラスの羽のように黒く、凛とした表情は大和撫子と言うよりは銀幕女優、スレンダーで背の高い、綺麗な女だ。
とりあえず、レイプ魔達を斬り刻む。
人を殺したのは初めてだが、こちとら既に人間じゃないんでね。なんの感慨もなかった。
「あ……、助けてくれたのかな?」
「ああ、助けてやった」
「お礼はいくらくらい欲しい?」
デビルサマナー業界で、ただで助けるなんてことはまずない。
対価を支払うことは当然だ。
「金じゃなくて、お前が欲しい」
「え?その、プロポーズかな?」
「ある意味ではそうかもな。いいか、俺はDDSnetだ」
すると、透は驚愕する。
クールな顔が歪む。
「君が、DDSnet……?!」
「そうだ、DDSnetの社員として、幹部待遇で雇おう」
「まさか……!そんなうまい話がある訳……!」
「信じないならそれで良い。他の候補者を探すだけだ。なあ、速水透?」
俺が語りかけると、透は……。
「名前まで割れてるんだね。他の情報も抜かれてる、かな?」
こちらを睨んできた。
「さあ、どうだろうかね?だが、俺の顔を知ったからにはタダでは帰せないな」
「実質、仲間にならないと殺すって脅しじゃないか」
「殺しはしない、記憶を消すだけだ。そして、お前には二度とチャンスが来なくなる。ただそれだけの話だ」
俺は、透の顎を撫でながら、こちらを向かせる。
「いいか透?チャンスは一度きりなんだよ。ミリオネアクイズって言う番組は見たことあるか?今、お前の目の前に、司会者が、膨大な額の書き込まれた小切手を見せつけているんだ。お前はそれを破って、次のクイズに挑戦しても良いし、ここで終わっても良い」
俺は、一拍おいて言う。
「……ただし、次の人生という名のクイズに正解できるかどうかは、俺は知らんがな。デビルサマナーの世界にライフラインはないとだけ伝えておこうか」
「……成る程、ここでドロップアウトするか、答えのないクイズに立ち向かう日々に戻るかの二択って事かな」
さあ、どうする?
「……うん、それなら、僕はDDSnetの傘下に入るよ」
「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー」
俺は謎の溜めを作る。
「………………正解!!!」
「何が?!」
透を本社ビルに招き入れて、契約内容を煮詰める。
「……月二百万って貰いすぎじゃないかな」
「そんなもんだろ。既に今月だけで百億円分の注文があったんだぞ」
「異界のアイテムを作れるとか、どう考えても反則なんだよなあ」
『Lv30:人間(達人):速水透
HP:284
MP:131
耐性:なし
力:21
技:12
魔:7
体:20
速:25
運:13
突撃
ヒートウェーブ
デカジャ
マカジャマ』
美咲
中学の頃は吹奏楽部で、『トランペット』が得意。
透
女にしては珍しく『バイク』が趣味。
よく考えたら、これ、時代設定は二十一世紀初頭くらいしか考えてないんだけど、ギリギリ十八代目ゲイリン生きてる可能性あるな。90代にして未だ現役のデビルサマナー凪おばあちゃんとかどうよ?