ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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某スレと被る展開なんだよなあ。


15話 ガイアーズ会合 前編

定義の問題だ。

 

いきなり何の話かって?

 

まあ聞けよ。

 

メシアンは、かの十字教を崇拝する者を指すだろう?

 

だが、ガイアーズは?

 

ガイアーズは土着の神を信仰する者とされるが、神を信仰していなければガイアーズではないのか?

 

メシアンもだ。

 

メシアン系列の組織にいるからってメシアンとは限らないだろう?

 

何が言いたいのか?

 

つまり、俺達DDSnetは、どちらかと言うとガイアーズ、混沌の勢力に位置すると言うことだ。

 

誤解がないように言っておくが、別に俺にガイアーズであると言う意識はない。

 

基本的にはガイアーズは「個」の寄せ集めであるからして、ガイアーズと言う大組織があるのではなく、ガイアーズ系列の組織が同盟を組んでガイアーズと名乗るのだ。

 

広義ってか、ある意味では、DDSnetもガイアーズになるのかもしれなくもない。

 

ので。

 

「招待状、ガイアーズ会合……、か」

 

こんなん来ちゃいました。

 

 

 

『(旦那様、どうでしょうか?)』

 

「(良好だ)」

 

りんごの会社の時計型ウェアラブルコンピュータにコロンゾンを宿らせて、小さな音で話し合う。

 

コロンゾンを宿らせ、マグネタイトによる駆動式に切り替えた改造品で、コロンゾンを含めてに八体の悪魔を仕込めるCOMPとしても使える。

 

これにセイテンタイセイのソーンと、ギリメカラのメイ、モトのトロン、イシュタルのルル、ヴィシュヌのヴィヴィアン、そして控えにコロンゾンと、モーショボーのミナ、サトリの沙都子の八体の悪魔を入れてある。

 

拡張性は高いようなので、まだアップデートの可能性はあるな。

 

理想的にはアタッシュケース型の大型ストレージデバイスにMAGバッテリー詰め込んで百体くらいの悪魔を一斉召喚!とか考えてるんだが……。

 

普通の、今時のデビルサマナーはスマホに入れてるらしいな。

 

スマホなら十二体くらい入るかな?

 

GUMPみたいな専用端末ならもっと入るな。

 

そんなことを考えつつ、手首につけた改造COMPにいるコロンゾンと色々と相談しながら、ここ、ガイアーズ同盟会合に出席する。

 

場所は新宿の某レストラン。

 

ざっと見て五十人から百人くらいが集まって、立食パーティーをやっている。

 

「(これ、全部ガイアーズの関係者なのか?)」

 

『(いえ、オブザーバー的な立場でヤタガラスから出向している人間もいるそうですし、メシアンではないですがLAW側の組織もいるようです)』

 

「(ソースは?)」

 

『(普通にその辺のガイアーズが話しているのを聞きました)』

 

なるほど。

 

さて、俺は怖いから料理に手を付けずに、頭に麻袋を被ってパーティ会場を巡る。

 

『サラディンのシャムシール』、『ヤタガラス』、『生体エナジー協会』、『阿修羅会』、『星の智慧派』、『ファントムソサエティ』、『応龍會』辺りかな、デカいところは。

 

ヤタガラスは日本の国防組織。ガイアーズではない。

 

サラディンのシャムシールは中東やアフリカ系の旧約聖書を崇拝する組織。テンプル騎士団の天敵だそうだ。だが、立場的には唯一神を信仰するLAW側の組織だ。

 

生体エナジー協会はマグネタイトを売買する組織で、噂によるとアメリカ資本らしい。中立の組織だな。

 

阿修羅会は日本のヤクザ。力こそ全てという典型的なガイアーズ的思想の組織だな。

 

応龍會はいわゆるチャイナマフィアって奴だ。朝鮮系の人間も多く、まあ、要するに、日本人以外のアジア系ヤクザだな。

 

星の智慧派は……、よく分からん。邪神:アザトースを崇める組織だ。世界中に支部がある。こちらもトップが邪神故にLAW側の組織だ。

 

ファントムソサエティは、こちらも世界中に支部のある歴史のある秘密結社で……、まあ、何というか……、基本的には、人類を裏から操ろうとしている怪しい組織だ。暗殺者の信条のゲームの悪の秘密結社とおんなじようなノリだろうな。表向きにはアルゴン社という巨大企業を名乗っている。

 

んー……、まあ、規模のデカさやガイアーズ同盟全体への発言力なんかは、ファントムソサエティが一番大きい。

 

資本は生体エナジー協会かな?生体エナジー協会はデビルサマナーに必須のマグネタイトを売買してるから、必然的に、この業界でデカい顔できるよな。

 

星の智慧派はまるで分からん。怖い。

 

阿修羅会と応龍會は雑魚チンピラだけど数が多い。

 

サラディンのシャムシールは中東イスラーム特有の覚悟ガンギマリでな……。命を的にしてくるやつはマジで何するか分からんと言う怖さがある。

 

まあ、そんな奴らに声をかけて回らなきゃならん俺も……、何つーか、焼きが回ったっつーかさ。

 

まあいいや、行こう。

 

 

 

アレイスター・クロウリーが召喚した集合悪意の悪魔、コロンゾンは、アレイスターに憑依し、『その姿を自在に変えて』、アレイスターの弟子を誘惑したと言う。

 

つまり、コロンゾンに憑依された俺の姿は……。

 

罪の歯車の医者って感じだ。

 

つまり麻袋被ってます。

 

 

 

俺の普段の身長は185cmだ。

 

しかし今は、それよりも15cmも高い目線からものを見下ろしている。

 

「何だあいつ……?」

 

「頭がイかれてるんじゃねえか?」

 

「でけえ……」

 

俺は筋肉質な体型だが、今は枯れ枝のようなスラリとした体型をしている。

 

「んー、ンンッンー!あー、アーアーアー」

 

声も、俺は結構低い声だが、今は高い声をしている。

 

「あー、アーアアー、ミス!それともミセス?何でもいいからスミマセーン!振り向いてギブミー!」

 

ウザったい口調で話しかけた相手は……。

 

「は、はい……?」

 

ガイアーズ同盟、オブザーバーのヤタガラスの女だ。

 

「シッツレーシマース?アナータ、ヤタガラスの人ですよねェー?」

 

「は、はい……、ヤタガラスの宗方薫です……」

 

宗方と名乗ったその女は、飾り気のない、ババアみたいなベージュのセーターを着た若い女だ。黒髪でおっとりとした糸目は、巫女服なんかが似合いそうだな。

 

「オゥ!これはご丁寧に!ワテクシ、こーゆーモンでございマース!」

 

名刺を渡す。

 

「あっ、ええと……?!!!」

 

名刺を手にした宗方の顔色が変わる。

 

「DDSnet営業部長、顔無しさん、ですか……」

 

その瞬間、パーティー会場の人間が皆こちらを注目する。

 

「DDSnet……?!」

 

「DDSnetだとよ……」

 

「あれがDDSnetか……!」

 

そりゃそうだ。

 

この業界に、半年前に彗星のように現れた謎の巨大組織、DDSnetが、初めて公の場(?)に出てきたんだからな。

 

「はい、顔無しでございます!ジブリのような可愛い見た目じゃなくってソーリーでーす!で、す、が!今回はヤタガラスさんだけじゃなく、ガイアーズ全ての皆さんに『オイシイ話』を持ってきました!」

 

「は、はあ……」

 

「皆様のおかげ様で、我々DDSnetはたくさんたくさんたーくさん稼がせてもらっちゃいました!でーすーがー!ですがですよ?富は一点に集中させ過ぎてはなりませェん!」

 

俺は、わざとらしいジェスチャーをしながら話す。

 

「なーのーでー!我々は、デビルサマナーにお金を払う代わりに、仕事をさせる……、いわゆる、短期派遣アルバイトを依頼するシステムを作ろうと思いマース!」

 

「短期派遣、ですか?」

 

「はい!ワテクシ、今まで色々見てきました!このデビルサマナー業界を!」

 

俺は仰々しく腕を開く。

 

「デモっ!でもでも、無駄が多いんです!ネットの裏掲示板で依頼を出して!誰にも聞いてもらえない塩漬け依頼がたーくさん!そして、依頼を受けたら受けたで『騙して悪いが死んでもらおう』、なーんてことに!依頼料未払いもザラ!駄目っ、ダメダメですよっ、この業界!」

 

「は、はあ、すいません……?」

 

「デスカラっ!宗方さん、我々はですね、デビルサマナーの派遣業を始めるのです!」

 

「……成る程。DDSnetの責任下で、偽装依頼や依頼料の未払いのない、適正な仕事を斡旋、その代わりにマージン料を徴収する……、ってところですか」

 

少し考え込むような仕草を見せる宗方。

 

どうだ……?

 




次は一般人の視点から見たDDSnetについて見ていきたいと思います。

槻賀多村という京都の北のほうにある村出身の女の子が、ひょんな事から偶然悪魔に出会い、たまたま、槻賀多村で隠居していたデビルサマナーである凪おばあちゃんから修行をつけてもらい、実戦経験を積むために『デビルサマナー募集依頼』を出しているDDSnetに出向いてみる……、みたいな話になりそうです。


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