「大変だボス!」
「まただよォー!!!」
休日、ウイスキー片手に映画を見ていると、デイブから急な連絡が。
しかも夜中だよ?俺この映画見たら寝るつもりだったんだけど?
安眠妨害、趣味の時間を奪われる。最悪だ。
「畜生!!!休日だぞ今日は!!!何だ、何が起きた?!」
「盛岡支部のホテル業魔殿がガイアーズの過激派組織に占拠された」
「なんだとぉ……」
それは……、不味いな。
だが、それくらいなら世界滅亡案件じゃないな。
セーフ、セーフよ。
「占拠した組織名は『絶殺の顎』という中小ガイアーズだが……」
ん?おかしいな?
「中小組織が平均レベル20のDDSnet職員複数人を追い出して、ホテル業魔殿を占拠しただと?あり得るのか?」
「恐らくは大組織からのバックアップがあるな。もしくは、強い悪魔か……」
「あー……、クソクソクソクソ!!!何でこんなことになるかなあ!!!」
裏ありの怪しいお話ですか。
畜生、クソが、やってらんねーよ!
「ミナ、盛岡支部にトラポートよろしく」
「はーい」
さて、と……。
深夜零時、盛岡に飛んで、と。
仮面で顔を隠して。
ホテル業魔殿盛岡支部に踏み込む!!!
「テメエ、何者……」
「死ね」
「ぷギッ」
レベル100を超える俺の身体能力ならば、パンチ一発で並の人間なら血霞に変える。
明らかにガラが悪い奴だったし、殺してオーケーだろ。
今更だが、人を殺すことに忌避感とかそんなのはない。
俺は悪魔だぞ?
人殺し程度でキャーキャー言わんよ。
ホテル業魔殿は二階階段の裏の扉が隠し部屋だ。
そこに悪魔合体施設がある。
隠し部屋には……、男が六人。
「貴様……、何者だ!」
「こっちの台詞だ、人の店に入り込みやがって」
「DDSnetか……」
「お前らは皆殺しだ。秩序を乱すものも、混沌を排除するものも、抹殺する」
「できるものならやってみろ!」
男達は、おもむろに服を脱ぐ。
え、怖。ホモ?
と、一瞬思ったが。
「それは……!」
男達の身体には、俺に似た刺青のようなものがあった。
つまりは……。
「悪魔人間?!ど、どうやって……!!」
「ははははは!これから死ぬ貴様に話すと思うか?!」
ぞわり、と青白い魔力の揺らめき。
六人が一斉に、目にも留まらぬ速さで襲いかかる!
「「「「死ねーーー!!!」」」」
まあ俺が殺す側だけど。
「『龍の眼光』『ランダマイザ』『ランダマイザ』『ラスタキャンディ』『ラスタキャンディ』『ゼロスビート』」
「ちにゃ」「ぷゲっ」「ギャっ」
うん、まあ……、熱いバトルは特にないよ。
さて、こんなゴミ屑共はどうでも良い。
黒幕は誰なんだろうか……。
………………。
拍手の音が聞こえる。
………………。
とりあえず、俺は部下に連絡して部屋を閉めて帰る。
「無視とは酷いな、アマツ君」
「聞こえないフリしてたんだよォ、話しかけてくんな、このクソボケがァ……」
俺が静かにブチ切れていると。
「ふふふふふ……」
「……チッ」
奴が、俺の目の前に姿を現した。
そう……。
「今回のゲームはどうだったかな?アマツ君」
「あーあーあー!ルシファー……、テメエの仕業か!!!」
明けの明星、ルシファーだ。
こいつは、要所要所で俺達DDSnetにちょっかいを出してくるクソ野郎だ。
カオス陣営だから、カオスに振れる行動中はむしろ協力してくるが、ロウに傾く行動中は邪魔してくる。
最近はロウ寄りだったから湧いて出たみたいだ。
クソが。
「いやいや、私はルイ・サイファー、通りすがりのガイアーズさ」
「うるせえ、消えろ。お前と会話するつもりはない」
俺が帰ろうとすると。
「悪魔合体なんて技術を独り占めするのは良くないな」
「消えろ、会話しない、二度は言わん」
「だから、悪魔人間になる技術を流させてもらった」
「『ジャベリンレイン』!!!!」
ルシファーは、陽炎のように消えて、俺の隣に再び現れ、言葉を続けた。
「おお、怖い怖い……。私はね、アマツ君の、『終末を遠ざけつつも、人間を強化して終末に備える』という姿勢に協力したいんだ」
「じゃあ邪魔すんじゃねえよクソボケが!!!殺すぞ!!!死ねっ!!!!」
「いやいや……、だがね、アマツ君。終末はいずれ来るものさ、無駄なあがきはやめたらどうだい?」
「無駄かどうかを決めるのはお前じゃねえよ」
「ハッ、後世の歴史家が決めるとでも言うのかね?誰も言わないようだから私が言ってあげよう。無駄なあがきだ、いずれ終わりが来る」
「……ああ、そうさ、いずれ終わりは来る。だが今日じゃない!!!」
「ふふふ……、そうかい。なら、好きにしたまえ」
そして、霞のように消えるルシファー。
「言われずとも、好きにするさ……」
さて、ルシファーの野郎のせいで、ガイアーズに悪魔人間の作り方が公開された。
ガイアーズが強くなれば、敵対組織のメシアンも強くなろうとするだろう。
そして、必然的に、世界のバランスを保とうとする俺達DDSnetの負担は倍増する。
クソだな。
あーヤダヤダ、最悪だよもう。
あおーん。おおーん。