ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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世界はクソ。


25話 ルイ・サイファー

「大変だボス!」

 

「まただよォー!!!」

 

休日、ウイスキー片手に映画を見ていると、デイブから急な連絡が。

 

しかも夜中だよ?俺この映画見たら寝るつもりだったんだけど?

 

安眠妨害、趣味の時間を奪われる。最悪だ。

 

「畜生!!!休日だぞ今日は!!!何だ、何が起きた?!」

 

「盛岡支部のホテル業魔殿がガイアーズの過激派組織に占拠された」

 

「なんだとぉ……」

 

それは……、不味いな。

 

だが、それくらいなら世界滅亡案件じゃないな。

 

セーフ、セーフよ。

 

「占拠した組織名は『絶殺の顎』という中小ガイアーズだが……」

 

ん?おかしいな?

 

「中小組織が平均レベル20のDDSnet職員複数人を追い出して、ホテル業魔殿を占拠しただと?あり得るのか?」

 

「恐らくは大組織からのバックアップがあるな。もしくは、強い悪魔か……」

 

「あー……、クソクソクソクソ!!!何でこんなことになるかなあ!!!」

 

裏ありの怪しいお話ですか。

 

畜生、クソが、やってらんねーよ!

 

「ミナ、盛岡支部にトラポートよろしく」

 

「はーい」

 

 

 

さて、と……。

 

深夜零時、盛岡に飛んで、と。

 

仮面で顔を隠して。

 

ホテル業魔殿盛岡支部に踏み込む!!!

 

「テメエ、何者……」

 

「死ね」

 

「ぷギッ」

 

レベル100を超える俺の身体能力ならば、パンチ一発で並の人間なら血霞に変える。

 

明らかにガラが悪い奴だったし、殺してオーケーだろ。

 

今更だが、人を殺すことに忌避感とかそんなのはない。

 

俺は悪魔だぞ?

 

人殺し程度でキャーキャー言わんよ。

 

ホテル業魔殿は二階階段の裏の扉が隠し部屋だ。

 

そこに悪魔合体施設がある。

 

隠し部屋には……、男が六人。

 

「貴様……、何者だ!」

 

「こっちの台詞だ、人の店に入り込みやがって」

 

「DDSnetか……」

 

「お前らは皆殺しだ。秩序を乱すものも、混沌を排除するものも、抹殺する」

 

「できるものならやってみろ!」

 

男達は、おもむろに服を脱ぐ。

 

え、怖。ホモ?

 

と、一瞬思ったが。

 

「それは……!」

 

男達の身体には、俺に似た刺青のようなものがあった。

 

つまりは……。

 

「悪魔人間?!ど、どうやって……!!」

 

「ははははは!これから死ぬ貴様に話すと思うか?!」

 

ぞわり、と青白い魔力の揺らめき。

 

六人が一斉に、目にも留まらぬ速さで襲いかかる!

 

「「「「死ねーーー!!!」」」」

 

まあ俺が殺す側だけど。

 

「『龍の眼光』『ランダマイザ』『ランダマイザ』『ラスタキャンディ』『ラスタキャンディ』『ゼロスビート』」

 

「ちにゃ」「ぷゲっ」「ギャっ」

 

うん、まあ……、熱いバトルは特にないよ。

 

さて、こんなゴミ屑共はどうでも良い。

 

黒幕は誰なんだろうか……。

 

………………。

 

拍手の音が聞こえる。

 

………………。

 

とりあえず、俺は部下に連絡して部屋を閉めて帰る。

 

「無視とは酷いな、アマツ君」

 

「聞こえないフリしてたんだよォ、話しかけてくんな、このクソボケがァ……」

 

俺が静かにブチ切れていると。

 

「ふふふふふ……」

 

「……チッ」

 

奴が、俺の目の前に姿を現した。

 

そう……。

 

「今回のゲームはどうだったかな?アマツ君」

 

「あーあーあー!ルシファー……、テメエの仕業か!!!」

 

明けの明星、ルシファーだ。

 

こいつは、要所要所で俺達DDSnetにちょっかいを出してくるクソ野郎だ。

 

カオス陣営だから、カオスに振れる行動中はむしろ協力してくるが、ロウに傾く行動中は邪魔してくる。

 

最近はロウ寄りだったから湧いて出たみたいだ。

 

クソが。

 

「いやいや、私はルイ・サイファー、通りすがりのガイアーズさ」

 

「うるせえ、消えろ。お前と会話するつもりはない」

 

俺が帰ろうとすると。

 

「悪魔合体なんて技術を独り占めするのは良くないな」

 

「消えろ、会話しない、二度は言わん」

 

「だから、悪魔人間になる技術を流させてもらった」

 

「『ジャベリンレイン』!!!!」

 

ルシファーは、陽炎のように消えて、俺の隣に再び現れ、言葉を続けた。

 

「おお、怖い怖い……。私はね、アマツ君の、『終末を遠ざけつつも、人間を強化して終末に備える』という姿勢に協力したいんだ」

 

「じゃあ邪魔すんじゃねえよクソボケが!!!殺すぞ!!!死ねっ!!!!」

 

「いやいや……、だがね、アマツ君。終末はいずれ来るものさ、無駄なあがきはやめたらどうだい?」

 

「無駄かどうかを決めるのはお前じゃねえよ」

 

「ハッ、後世の歴史家が決めるとでも言うのかね?誰も言わないようだから私が言ってあげよう。無駄なあがきだ、いずれ終わりが来る」

 

「……ああ、そうさ、いずれ終わりは来る。だが今日じゃない!!!」

 

「ふふふ……、そうかい。なら、好きにしたまえ」

 

そして、霞のように消えるルシファー。

 

「言われずとも、好きにするさ……」

 

 

 

さて、ルシファーの野郎のせいで、ガイアーズに悪魔人間の作り方が公開された。

 

ガイアーズが強くなれば、敵対組織のメシアンも強くなろうとするだろう。

 

そして、必然的に、世界のバランスを保とうとする俺達DDSnetの負担は倍増する。

 

クソだな。

 

あーヤダヤダ、最悪だよもう。

 




あおーん。おおーん。

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