俺は関東にいるんですが、九州の方はやべーんだとか。
「この世界は、別の世界である『魔界』と繋がっている。魔界には『悪魔』がいる。悪魔を使う人間を『デビルサマナー』と呼ぶ。何らかの理由で特別な力を得た人間は『異能者』と呼ばれる……。分かりました。分かりたくはないのですが、理解はしました」
一気に老け込んだかのような、疲れた顔をした跡部は、すっかり冷めたコーヒーを一口啜る。
「それで……、やはり、今回の連続大量殺人事件も、その悪魔というものが絡んでいる、と?」
「その通りです」
秘書官の今田が言った。
「具体的に何が起きているのか、分かっているのですか?」
「はい。外法によって、悪魔と融合した人間が暴れて、一般人を殺傷し、捕食しているのです」
「はあーーーっ……」
跡部は、両手で顔を押さえて縮こまった。
情報の波を浴びせられ、オーバーフローしたのだ。
「あー……、まず、悪魔と融合、ですか。そんなことが可能なのですか?」
「実際に行なっている以上、可能なのでしょう」
「それで……、はぁ、その、人を……、捕食すると?何故ですか?」
「悪魔は、存在の力を司る『マグネタイト』というものがなくては生きていけません。人間は、マグネタイトが身体に含まれているので、それを奪っているのです」
「存在の力、マグネタイトですか……。とにかく、悪魔になった人間は人を捕食する、と。ではその、マグネタイトを使っておびき寄せることなどは?」
「普通の悪魔であれば可能かもしれませんが、悪魔人間はガイアーズですから」
「ガイアーズ?」
「ガイアーズは、メシアンの敵対者で、力こそ全てと考えている集団ですね。その中でも、悪魔人間になっているのは一部の過激派です。……要するに、とにかく人を殺めたいサイコパス集団に、何者かが悪魔人間になる方法を教えてしまったのでしょう」
「うわあ……」
またもや、顔を押さえて縮こまった跡部。
「一体誰が、何の目的でそんなことを……」
「それは分かりませんが、そうなってしまったことは仕方ないでしょう。重要なのは今後の対策です」
「そうですね……、では、どのような対策を?何か案は?」
「それについて私から一つ……」
「ええと、土御門さんでしたか。何か腹案が?」
「とある外部組織が、政府への協力を打診してきていまして……」
「外部組織、と言うと?」
「DDSnetという組織です」
土御門がその組織の名前を出すと、跡部以外のこの場にいる全員が反応した。
それを察して、跡部は土御門に問う。
「ええと、そのDDSnetという組織は、どんな組織なのですか?」
「DDSnetは、ここにいるどの組織よりも大きい組織です。日本の勢力図があったとして、ガイアーズが三割、メシアンが三割とするならば、そのうち一割から二割はDDSnetと言われています」
「とても大きい組織なんですね」
「組織としての活動内容は、異界製アイテムの販売と、デビルサマナー派遣の管理」
「派遣会社ですか。時勢に乗っていますね」
「そして、組織の目的は『世界秩序の維持』だそうです」
「良いじゃないですか。是非協力を依頼しましょう」
そう、跡部が言い放つと、他の人々は頭を抱えた。
「な、何かおかしいでしょうか?」
「はあ……、総理、良いですか?デビルサマナー業界には、人殺しのために悪魔と融合までするガイアーズや、神の名の下にどんなことでもやるメシアンなどがいるんです。そんな中、『世界秩序の維持』を命題に掲げた巨大組織なんて、怪し過ぎて信用できませんよね?」
「あ……、それは、そうかもしれませんが……。ですが、実際に何か悪事をしているとか、そういうことは?」
「ありません。不気味なほどに」
「そうですか……。ですが、話くらいは聞いた方が……」
「それなんですが、奴らの交渉役は、全自衛隊員及び警察官のデビルサマナー化を要求しているんですよ」
「それは……、何というか、極端ですね」
「正直、何を考えているのか全くわからないのです。国防関係にそんな怪しい組織を参入させるのは……」
「そうですか……。では、DDSnetに頼らないとしたら、どんな対策が取れますか?」
跡部がそう言うと、全員が黙り込む。
「えーと……、どうかなさいましたか?」
「総理、よろしいでしょうか」
「何ですか、今田君」
「まずですね、悪魔人間の平均レベル……、強さは、数値で表すと25です」
「そうですか。それで?」
土御門が口を開く。
「我々ヤタガラスの平均レベルは12ほどです。人手もほぼいません」
峰津院が口を開く。
「ジプスの平均レベルは14ほどですね。人手は足りません」
桜庭が口を開く。
「宮内庁の平均レベルは15ほどですが、陛下の守護以外の仕事はできません。人手が足りないので」
跡部は頭を押さえる。
「では、何ですか……?国防のために戦うデビルサマナーの平均的な強さの倍はある存在が国内で暴れている、と?」
「そうなりますね」
「そうなりますね、ではありませんよ!一体どうするんですか?!その上、人手も足りないとおっしゃる!大体、この二十八件の事件は全て犯人を制圧したと報告を受けていますが、あなた方が倒せない悪魔人間は誰に制圧されたのですか?!!」
「……DDSnetです」
「……では、何ですか?今現在、日本の秩序は、得体の知れない怪しい組織によって守られているのですか?」
「……そうなりますね。DDSnetの平均レベルは20ほどと見られています。構成員も非常に多く、人手も足りていますから」
跡部は、全身の力を抜いて項垂れた。
「つまり、こう言うことですか?ここにいる国防組織の皆さんに、死んでこいと命じるか。それとも、得体の知れない怪しい組織に、国防に関わることを任せるか。そのどちらかだと。……それを、私に決めろと、そう言うんですか?」
「………………はい」
跡部は、顔を上げて、言った。
「分かりました……。ならば、私は……」
はい、ここまでー!
今ちょっとだけランニングしてたんですけど、体力低下がやべーですわ。加齢……?