ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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とりあえずこれ。


30話 アカネチャンやで

プルル、プルル、着信音。

 

この番号にかけてくると言うことは、DDSnetの公式ホームページを見た場合のみだ。

 

「コロンゾン」

 

天津がコロンゾンに命じると、コロンゾンは、名前を呼ばれただけで察して動く。

 

『逆探知します……、完了』

 

「どこからの電話だ?」

 

『首相官邸からです』

 

「????」

 

『ヤタガラス側に国家とのつながりを持ちたいと言っていた件についてではありませんか?』

 

「えっマジ?あれ、ダメ元だったんだけど。って、待たせちゃ悪いな。コロンゾン、アカネチャンモードで応答しろ」

 

『了解やで』

 

説明しよう!

 

アカネチャンモードとは!

 

コロンゾンにボイスロイドの音声データをダウンロードして、電話に出させることである!

 

他にも、ユカリサンモードやマキマキモードなどがある。

 

基本的に、DDSnetの電話応答は全て、このボイスロイドモードのコロンゾンがやっている。

 

『もしもし?DDSnetの琴葉茜です。アカネチャンかわいいって言って』

 

『……え?は?』

 

『冗談や。DDSnetに何かご用ですか?』

 

『は、はい、こちらは、総理大臣の跡部雄三と申します。今回は、DDSnetさんに、国防に関するお話がありまして』

 

『なるほどな。せやったら、うちの幹部を呼ぶから、都合が良い日時を教えてな』

 

『来週の日曜日、午後二時から、首相官邸でどうでしょうか?』

 

『ええで。じゃあ、うちからは、幹部のルーファス・ブレイドを行かせるで。ルーファスは、金髪で青い瞳のアメリカ人の男や』

 

『分かりました。では、そのように』

 

そう言うことになった。

 

 

 

 

 

一週間後。

 

首相官邸にて。

 

内閣総理大臣、跡部雄三。

 

秘書官、今田尚樹。

 

ヤタガラス責任者、土御門幸綱。

 

クズノハ四天王、葛葉ライドウ。

 

ジプス局長、峰津院大和。

 

宮内庁長官官房、桜庭仙次。

 

そして、もう一人。

 

「DDSnet関東部責任者、ルーファス・ブレイドだ。よろしく頼む」

 

全員、息を呑んだ。

 

否、ライドウのみがそのオーラを受け流したが、その他の全員が、このルーファスのオーラに呑まれていた。

 

それもそのはず、ここにいるルーファスのレベルは実に60にも達している。

 

レベル60ほどの個体が存在していると、周囲を威圧しないように気をつけたとしても、同じデビルサマナー同士ならその強さに気づく。

 

一般人である跡部も、ルーファスのその高い上背や鍛えられた肉体に気押されていた。

 

レベル60というのは、メシア教最大最高の戦闘部隊であるテンプル騎士団の総団長クラスである。

 

要するに、世界最強クラスだ。

 

世界最強クラスを幹部にしている組織、DDSnet……。

 

その底知れなさを感じ取り、全員が戦慄した。

 

ライドウもまた、一対一ならば確実に自分が勝てると確信してはいるのだが、このレベルの幹部が複数人存在し、それらに囲まれれば自分も危ういと考え、警戒を厳にした。

 

DDSnetのボスである天津とは大親友(と一方的に思い込んでいる)ではあるが、仕事は仕事、それはそれだ。

 

もし、自分に近しい実力を持つ大悪魔の天津と、レベル60を超える幹部複数人に囲まれた時、果たして自分は勝てるだろうか?とライドウは考えたが、どうやっても、逃げ出すことすらできるかどうかの領域であると気づいた。

 

万が一でも、日本最強の霊的防御装置であるライドウに勝てるかもしれない集団がいる。こうなると、敵対しないようにする他ない。

 

ライドウは、国家の秩序維持に反しない程度に、DDSnetの味方をするべきだという認識を強くした。

 

「さて、前置きは要らないな。我々の要求は、全自衛隊員及び全警察官のデビルサマナー化だ」

 

「馬鹿な!」「……話になりませんね」「不可能だ!」

 

全員、そう声を上げる。

 

「え、あ、その、何故そんなことを?」

 

跡部が問う。

 

当然の疑問だ。

 

「戦力が必要だからだ」

 

「そんなことをしなくても、例えば、そちらは人員派遣をやっていらっしゃるとことですから、何人か雇わせていただければ……」

 

「馬鹿が……、足りねえんだよ、まるで」

 

「え……、そちらも人員が不足なさっているのでしょうか?何分、デビルサマナー業界については寡聞にして存じ得ず……」

 

「そうじゃねえ。デビルサマナー業界には、デビルサマナーが足りてねえんだよ」

 

「は、はあ?」

 

「去年の世界滅亡案件は五件、そのうち二件はライドウが、一件はフリーランスのデビルサマナーが、そして、二件は我々が阻止した」

 

「世界、滅亡案件……?!!」

 

「もちろん、犠牲者は百人以上出たし、リソースも大きく削られた。一件の世界滅亡案件を阻止するのにかかった経費は、人件費や人命の損失などを抜いたとしても、日本円にして数千億円にも達する」

 

ここにはトリックがある。

 

日本円にして数千億円の損失、と言うが、DDSnetは異界アイテムを創り出せるので、武器弾薬や回復薬の類は無限に供給される。

 

よって、実際に消費したのは、その数百分の一にも満たない額だ。

 

そうだとしても、一企業が払える額ではないが。

 

「そんなまさか!世界の滅亡など、早々にないでしょう?!」

 

跡部は、机を叩いて立ち上がる。冷静な跡部とは思えない仕草であり、逆に言えば、冷静な跡部が取り乱すほどの衝撃だった。

 

「世界滅亡案件は、ここ最近増えてきている。数十年前は年に一回あるかないか、と言ったところだったが、ここ最近は、年内に数回は起きているな」

 

「し、しかし、私にはなんの報告も……!」

 

「よろしいでしょうか?」

 

ライドウが挙手。

 

「あ、はい……、ええと、ライドウさん、でしたか?何か……?」

 

「世界滅亡案件についてですが、僕も前年度は二回ほど動いています」

 

「そ、そんな……!で、では、本当に……?!」

 

跡部は、あまりにも酷い現実に打ちのめされ、力なく座り込んだ。

 

それはそうだ。

 

年に五回も世界が滅びかけたなど、信じられないし、信じたくはないだろう。

 

しかし……、それは事実である。

 

「では、我々はどうすれば……、どうすれば、滅びを回避できるのですか」

 

跡部は、絞り出したかのような声でそう訊ねる。

 

「そんなこと、こちらが聞きたいくらいだ。我々人間ができるのは、その時その時で最善の手を打っていくことだけだな」

 

ルーファスはそう言った。

 

 

 

そうして、結局。

 

日本政府は、DDSnetの協力を全面的に受け入れ、自衛隊、警察共に、デビルサマナーの部署を設立することを決定した……。

 

 




田舎剣士、面白くないとの報告を受けたので……。

そっか……、面白くないのか……。

でも、旧作の書き溜めとかないんだよな……。

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