ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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つかれた。


33話 公安と仲魔

俺、公安部の内田は、悪魔を倒してレベルを上げた。

 

悪魔を倒してマグネタイト?ってのを吸収すると、『異能者』に覚醒する。

 

『Lv3:人間(異能者):内田秀樹

HP:78

MP:5

耐性:装備により一度だけ呪殺無効

力:6

技:6

魔:1

体:5

速:5

運:5

 

スキル

なし』

 

配布されたCOMPにインストールされていたアプリを見ると、俺の能力が表示されていた。

 

これは……、強いんだか弱いんだかわからねぇな。

 

だが……。

 

「おおっ、これは!」

 

体力測定をしたところ、馬鹿みたいに記録が良くなっていた。

 

こりゃあ、確かに、『レベルアップ』だな。

 

 

 

休み明けの月曜。

 

また更に、異界に潜ることになった。

 

ガイドはまた、管吹さんだ。

 

「「「「今日もよろしくお願いします」」」」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

俺達は、管吹さんに挨拶をする。

 

あのゾンビを意にも介さない辺り、実力者ではあるんだろうが……。

 

自分より強い?こんな若い女の子が?

 

なんか、情けねぇな。

 

さて……、それはさておいて、だ。

 

「で、今日は何を?」

 

「はい!今日は仲魔を集めてもらいます!」

 

仲魔、ねえ……。

 

「えー、それは、この森で?」

 

俺達の目の前には、東京から電車で一時間くらいの地点にある森があった。

 

淀んだ空気を感じるが……?

 

「はい、ここも異界なんですよ!」

 

へえ……。

 

異界ってのは、建物だけじゃなくて、森にもあるのか。

 

ん?待てよ……?

 

「ってことは、一般人が入ったりするんですか?」

 

「え?はい、一般の人も定期的に迷い込んで死んでますよ」

 

「なっ?!!」

 

な、なんだと?!

 

「何故、止めないんですか?!」

 

「うーん……、止めたいのは山々ですけど、どうやって止めるんですか?」

 

「は……?」

 

「構成員にも仕事があるんですよ?全員を異界の見回りに回すことは不可能です。第一、森なんて危険な場所に入ろうとする人が悪いと思いますよ。自己責任です」

 

「そんな……」

 

「私達は営利企業ですから!お金にならないことはやりませんよ?今回、政府に力を貸しているのが限界くらいの譲歩です。もしも、もっと多くの人を救いたいなら、政府側が血を流してくださいね!」

 

……苛烈な言葉だが、正論だった。

 

確かに、どんなに強かろうと一企業。

 

一企業に、俺達警察官と同じことをしろと言うのは、余りにも酷な話だ。

 

俺達が血を流せ、か……。

 

かなり直接的な言葉だが、血を流さなきゃいけないのが俺達だってのは真実だな。物理的にも、血が流れるだろうが、市民を守るためだ。

 

とは言え、市民のために血を流してまで戦おう!なんてのを、一般の警察官には強要できねえな……。

 

俺はこう見えて、公安部の一員だ。

 

自分で言うのもなんだが、警察官の中でも精鋭、上の方。

 

普通の……、いわゆる『お巡りさん』にまで、悪魔と命がけで戦え!なんてのことは言えねえ、無理だ。

 

 

警察官と言っても、ほぼ事務員みたいな奴とか、道でスピード違反車を鼠取りしてノルマを達成するだけのような奴もいる。

 

そんな奴らにまで、銃を持って悪魔と戦えだなんて言えねえよ。

 

 

 

さて……。

 

異界に入った。

 

何が出るやら……。

 

「では、こちらを受け取ってください」

 

これは……?

 

「……市販のクリーム?それとリンゴ?」

 

なんだこりゃ……?

 

「これから、みなさんには、それを使って仲魔を作ってもらいます!」

 

あー……?

 

クリームやリンゴを欲しがる悪魔?

 

「ええと、それは、妖精さん、的な?」

 

「はい!」

 

嘘だろおい……。

 

「これから仲魔にする悪魔は、『妖精:ピクシー』です!電撃に耐性を持ち、呪殺が弱点。回復魔法のディアと、電撃を放つ魔法のジオを持つ、所謂妖精さんです!」

 

「あー……、じゃあ、あれですかね?リンゴをあげるから仲魔になってくれと、お願いしろ、と?」

 

「はい!」

 

あーーー。

 

意味わかんねーーー!!!

 

なんだそりゃ?!

 

それで良いのか、悪魔?!!

 

「では、実際に交渉してみましょう!」

 

そう言って、二十センチくらいの、羽が生えた女の子を捕まえてきた管吹さん。

 

「な、何よー?!私をどうする気?!」

 

「うおっ?!喋った!」

 

どうなってんだこれ?!

 

ま、まあ良いや、ええと、交渉か。

 

となると、まずは銃を下ろそう。

 

「な、なあ、妖精さん?」

 

「あら、何かしら?」

 

えーと……、まあ、ストレートに言うか。

 

「俺の仲魔になってくれないか?」

 

「仲魔?うーん、どうしようかしら?」

 

年頃の少女のように、思わせぶりな態度をとるピクシー。

 

ああ、これは……。

 

「お願いだよ、な!おじさん、できることならなんでもするからさ!」

 

うちの娘と同じだ。

 

思わせぶりな態度は表面だけで、答えは決まっている。

 

「本当?何でもする?」

 

「おう!でも、痛いこととか、悪いことは駄目だぞ?」

 

「じゃあ、美味しいものちょーだい!リンゴ!持ってるでしょ?」

 

「ああ、ほら」

 

「わあい!」

 

五分後、リンゴを食べ終わったピクシーが、こちらを向き直って言った。

 

「私は、妖精:ピクシー!コンゴトモヨロシク!」

 

 

 

「内田さん、今の交渉は良かったですよ!」

 

ピクシーを仲魔にして、COMPに入れた後、管吹さんに褒められた。

 

「は、はあ」

 

どう言うことだ?

 

何が良かったんだ?

 

「悪魔というのは基本的に、『契約』を守ります。ですから、『自分に身体被害がなく、道徳に反さない程度の願いを何でも聞く』ことを対価にしたのは正解です!冗談でも、『魂を捧げる』とか、『何でもやる』とか言っちゃ駄目ですよ?」

 

なるほど……。

 

「ってことは、悪魔によっては、『契約』を逆手にとってハメようとしてくる、とかも?」

 

「はい!もちろんあります!あなた達がやっていることはまさに、『悪魔との契約』なんです!最大限に気をつけてくださいね!」

 

そうか……、気を引き締めなくちゃな。

 

 

 

その調子で、『悪霊:ポルターガイスト』と『妖魔:ケンタウロス』を仲魔にした。

 

仲魔はこんなもんでとりあえずは良いらしい。

 

しばらく、管吹さんの指導の元、異界に潜る。

 

だがまあ、一週間も過ぎると、別の指導員が来た。

 

どうやら、管吹さんは、あの若さで相当な地位にあるらしい。

 

その後も、毎週指導員が代わり、やがて独り立ちし、新年が来た……。

 

 




ウマ娘、はよマキバオーとコラボせいや。

フウウンサイキちゃんかコクオウゴウちゃん出たら呼んで。

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