ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ホームランカレー割と美味い。


俺は見逃してくれ……

勘弁してくれよ。

 

ケモミミの美少女だから何やっても許されるとでも思ってんのかテメーはよ!

 

人ん家の前にモンスター連れて逃げ込んでくるだと?舐めてんのか?

 

おまけにぶっ倒れてウンともすんとも言わねえ!

 

『グルゥ、ガァァァ!!!』

 

そして、敵対モンスターのターゲットは俺!死ね!

 

「チッ!モンスター追加MODこと『シュラノクニ』の、トロルだな?!」

 

土色の巨人、ハゲていて、手足が大きく、粗末な腰布をつけた化け物だ。

 

硬くてデカい、ノロマだが一撃が重い。

 

鋼の剣で行けるか……?!

 

「な、なあ、お前さんよ?その女を持ってって良いから、俺は見逃してくれ……」

 

『ジネェェェ!!!』

 

「……るわきゃねーよなぁ、畜生が!!!」

 

プラスに考えよう、牙や爪があるモンスターじゃなくて良かった。破傷風にはならないぞ!

 

逃げようにも、拠点を置いていくのはちょっと困るしな……。最低限、撤収の準備はしたい。ここを捨てるのは惜しい。

 

それに、もしも、もしもトロルに高い知能があれば、俺の存在を仲間に伝え、数を揃えて攻めてくるかもしれない。

 

敵対者に見られたら消すしかない。

 

戦闘経験も欲しい。

 

総合的に見て、戦うべきだと判断する。

 

幸い、トロルには、あらゆる行動がノロマという明確な弱点がある。

 

これがデーモンやドラゴンのようなバリバリ無敵で隙なしのモンスターなら逃げてるが、トロルはそこまでじゃない。

 

確か、クラフターの体力は装備なしで30で、トロルの攻撃力は10だった。

 

今の俺は鋼の部分鎧と革のジャケットを装備しているから、防御力は上がっている。

 

少なくとも、三発までなら当たっても死なない。

 

それに、トロルの血は、一時的に肉体を修復し続ける《良質再生ポーション》と同じ効果があるし、革は《良質なモンスター革》だ。

 

やってみる価値はある、駄目そうなら逃げよう。

 

「しゃぁっ!」

 

俺は剣を抜いて駆け寄る。

 

『オオッオ?!』

 

向かってくると思っていなかったらしいトロルは困惑して、隙ができる。

 

「死ね!」

 

思い切り、真正面から、でっぷりと突き出たトロルの土手っ腹に鋼の剣を叩き込む!

 

『ゴアアッ?!』

 

駄目だな、あんまり効いてない。

 

弱点は……、人型なら心臓や頸動脈か?

 

2.5mはあろうかというトロルの頸動脈を狙えるか……?

 

『アアアッ!』

 

「おっと!」

 

流石に当たらんわ。そんだけ大きく振りかぶったら、誰でも避けるっつーの!

 

うーん、そうだな……、あ!

 

「男ならここが弱点だろ!」

 

俺は、トロルの股間に向かって……。

 

「『兜割り』!『薙ぎ払い』!」

 

連続攻撃を仕掛けた。

 

『ァ、ァアギャアアアア?!!!!』

 

股間を押さえてぶっ倒れた。

 

そりゃチンコをズタズタにされりゃそうなるわな!

 

倒したならこっちのもんだ!

 

「今度こそ死ね!『十文字斬り』!!!」

 

『ガアアア、アアッ、ア……』

 

ざっくりと首を斬ると、面白いくらいに血が噴き出て、死んだ。

 

念の為、五分待ってから近付いて、鋼の槍で遠くから何度か死体を突き刺す。

 

俺は、ステータス開示MODこと『ルックオール』を導入していたから、MOBの名前と体力、空腹度、渇きなどが分かる。

 

詳しいステータスを知るにはステータス開示MODで追加される《鑑定メガネ》が必要だ。持ってるが、わざわざ使わんでも困らない。

 

とにかく、トロルは割とあっさり死んだ。

 

トロルに解体しようと思いつつ手をかざすと、《良質なモンスター革》《トロルの血》を得た。三個ずつ得た。

 

労働に対して見合った成果は得た、のかね?

 

 

 

それよりも、問題はこのケモミミの女だ。

 

どっから来たのかは分からんが、空腹度と渇きがほぼマックスで、体力が低下している。

 

ほっときゃ死ぬだろうな。

 

ふむ……、考えてみよう。

 

これを見捨てた時のデメリットだ。

 

もしも近くに人里があるとしたら、俺が最初に接触する人里はこの女の村になるだろう。位置関係的に考えて。

 

この女を見捨てたことがバレれば、助けられたはずの命を見捨てたものとして後ろ指を指されるかもしれない。

 

それにこの女は、明確に、俺に助けてくれと言った。

 

それを見捨てたとなると不味い。

 

そして、この女は……、ミスリルのペンダントを持っている。

 

ミスリルのペンダント……、かなり貴重なものだろう。惑星一つ潰せばいくらでも手に入るものだが、単なる村人Aが持つにしては物がいい。

 

それに、このペンダントを調べると……。

 

《エルダウン王家のペンダント》と表示される。

 

……こいつ、王家とかと関係あるガキなのか?

 

面倒なことになったな。

 

貴人を死なせたと知られれば、国が敵になる可能性がある。

 

ぶっちゃけ、あと二年もあれば、生半可な国なら更地にできるくらいの力を得られるとは思うが、今敵対したら死ぬ。

 

総評、このガキを森の外に置いてくる。俺は逃げる。決定。

 

ガキをおぶって、森の外に出す。ガキが来たであろう方向に歩けばすぐ森の外に着いた。

 

ああ、良かった、この辺りは割と森の外側なんだな。六時間もしないうちにもう外だ。

 

ワールドクリエイターでは、森の深い場所には強いモンスターが湧くからな。

 

となると、方位磁石によれば、北が森の外の草原、南が森の奥って訳か。

 

森の外側の木の影にガキを寝かせて、木綿のブランケットをかけて、水が満タンの金属の軍用水筒と、革の鞄に堅焼きビスケットと鳥モンスター肉のジャーキー、りんごをぶち込んで隣に置いておく。

 

軍事MODとお料理MODを導入している俺に隙はなかった。

 

そして俺は走って拠点に戻り、採掘坑を塞ぎ、畑を壊して種を回収し、家を破壊して素材に戻して、持つものを持ったら即移動する。

 

行き先は東だ。

 

今の拠点から東側に移動する。

 

身一つで移動できるのは楽だが、警戒しながらの移動は辛いな。

 




今書いてる魔物娘図鑑二次創作が死ぬほど楽しい。

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