ケイト・カサドールなる、エルダウン王国なる国の王家に関係する女に付きまとわれてしまった。
どうにか消えてもらいたいのだが、恩返し(笑)の為なら何でもするとか抜かしていやがる。
「へえ、そうですか。何でもするなら、ここで私に抱かれろと言えば股を開いてくれますかね?」
「えっ……、あっ、そ、その場合は、私のお婿さんになってもらうことに……」
ダルっ。
「なるほど、結構です」
「あっ、でも、降嫁ってことにすれば平気だと思いますよ?!そ、その、お父様と相談する必要があると思うんですけど……。でも、お父様は、もう……」
あっ、あっ、やめろ、マジでやめろ!
「単なる旅人にとってはあまりにも重い話です。正味な話、貴女が誰かは存じ上げませんが、着いてこられても困るのですよ」
「でも、私、他に行くところなんて……!」
「見たところ獣人のようですし、森で暮らせるのでは?」
「……ッ!貴方もっ、あの人間達と同じように、私達をモンスター扱いするんですか?!!」
うわめんどくさ!
なんか地雷踏んだっぽいぞ!
「何で……、何で仲良くしてくれないんですか?!私達が何か悪いことをしましたか?!何で酷いことをするんですか……、何で、どうして!」
知らねーよ!クソめんどくさいなコイツ!
「私に当たられても困りますね。私は人間ですが、獣人を差別しようとは思いません。皆等しく、私に迷惑をかける者は嫌いですよ」
「………………」
黙るなよ!
「……お願いします、助けてください。私一人じゃ、何もできないんです」
そんなん言われても……。
んー。
マンパワー……。
力はあるっぽいし、指も五本、爪は長いけど器用そうだ。
獣人と言っても、ケイトは、黒色の体毛に包まれた手足と、犬の耳と尻尾が生えた、可愛い系の美少女だ。髪型はふわっとしたショートカット。お前地毛でそんなふわっとしてんの?アニメキャラか何か?
「……んじゃ、特別に着いてきても良いぞ」
「本当ですか?!」
「ただし、俺をお前の国のゴタゴタに巻き込むな。それだけは約束しろ」
「えっと……、貴方は、政争や戦争に巻き込まれたくないんですね?……分かりました、私も、王族であることを今は忘れます」
「よし、それで良い。俺を戦場に連れて行くみたいな話をしてみろ、お前の肋骨を全部外側に折って、内臓を抉り出してやるからな」
「ひいっ!わ、分かりました!言うこと聞きますっ!」
よしよし。
まあ、村人追加MODのNPCだと思えばいいだろうな。
「あの、そう言えば、貴方の名前は……?」
ふむ……。
黒魔術MODに真名を知られると支配される魔法とかがあったっけな。
よし、偽名を名乗ろう。
何がいいかな……、うーん、俺の名前が晴嵐と戦闘機の名前だから、同じ戦闘機の名前でゼロ……、はカッコつけ過ぎか?となると、コードネームのジークなんてどうだ?
「ジークだ」
「ジークさん、ですか?!よろしくお願いしますね、えっと、ジークさん……?」
「おう。とりあえず、お前はマジで臭いから近寄るな」
「ひーん……、酷いですよう!何で臭いとか言うんですかあ!」
「いやマジで臭いの。んー、時間も丁度いいし、風呂にするか」
「風呂?森の中でどうやって……」
俺は鉄のスコップでサクサクっと土を掘り、石で作った2m四方の風呂に水をダバーッと入れて、水を風呂にする《温泉の素》を放り投げると、水は瞬く間に風呂になる。
「????」
顔がゲシュタルト崩壊しているケイトを脱がせる。俺も脱ぐ。
「きゃーっ!な、何してるんですか!」
「いや、風呂に入れるんだよ」
「ひ、一人で入れます!」
「臭いから念入りに洗わなきゃならんだろうが!わがまま言うな!」
そして、和風MOD……、一部では風呂MODとも呼ばれる『ヤマトノクニ』で作った、《油》と《灰》をかまどでクラフトして《りんご》を加えた《りんご石鹸》を、ケイトの身体に塗りたくる。
「ひゃあん!」
「へえ、全身に短い毛が生えていて、股間や胸元は長い毛が生えているのか。それと髪の毛もある」
「ひう……、全部見られちゃいました……。もうお嫁に行けないよう……」
「うわ、黒い水が出てきた!きったねえ!ほら流せ!二つ目の石鹸使うぞ!」
「あんっ、そ、そこは自分で洗えますからっ!」
「うるせえ、ほら股開け!ちゃんと奥まで洗え!」
「んあっ、あんっ、だ、駄目え!」
《木綿のバスタオル》でケイトの身体を拭いてやり、《木綿の服》を着せて、ちゃちゃっと家を建てて、松明を設置してから、家の中で飯にする。
かまどで小麦をクラフトして《コッペパン》を作り、定期的に撃ち落としている鳥型モンスター、ウインガーの肉……、とにかく肉類なら何でも良し。それと野菜三種類を、今作った《調理台》を使ってクラフト。
お料理MODこと『ミシュラン』で追加される数百種類の食材とレシピを使った、食べると一定時間ステータスが上がる料理を作る。
今回は、コスパ最強と謳われる《ポトフ》を作った。材料はその辺の余り物をぶち込むだけなのに、半日の間寒さ耐性と攻撃力がアップする優れものだ。
因みに、にんじんとじゃがいもとキャベツは入れたが、何故かかぶとソーセージとベーコン、バジル、本格コンソメなどが入っている。謎だ。
「????」
FXで有り金全部溶かした人みたいな顔をしているケイトにポトフを食わせてから、ベッドに寝せる。
もちろん、部屋は別だ。
マナーとか女の子だからとかそういうアレではなく、寝首をかかれないようにと思ってのこと。
次の日の朝、異世界生活四日目。
「????????」
ケイトを起こして、顔を洗わせてから歯を磨かせて、朝食を食べさせてから、家を畳んで再び移動を始める。
ケイトは、信じられないものを見る目でこちらを見てくるが、無視して移動する。
「……あの、もしかして、ジークさんって、神様だったりしますか?」
「いや、特には。昔は商社マンで、今は農家と猟師を兼任している動画配信者だ」
「……?」
あー、クソ、暇だな。
ネットが繋がらないとはこんなに辛いものなのか。
「あ、あのですね、私達亜人の神話に、国造りの神様である『大神ゼロ』というお方がいるんですよ」
「ほーん?」
まあ、ゼロはジークだな。戦闘機的に。
「大神ゼロは、無形無貌の黒い人型だったそうです。その姿は、獣人でも魚人でも鳥人でも龍人でもなく、黒い瞳と黒い髪でした」
「ふむ」
「大神ゼロは、何もない氷そのものだった原始の世界に、太陽を、海を、大陸を創り出し、他の神々を創り、管理させました」
創造神にして主神か。ありがちな神話だな。
「そして、大神ゼロは、黒い髪と黒い瞳の何者かとしてこの世に降臨し、人々に恵みを下さるんです」
「……で?」
「その、大神ゼロは、この世に降臨なさった時に、何もないところから、金銀財宝や美味しい食べ物、住む場所や立派な武器、綺麗な服、新たな知識の詰まった魔導書など、色々なものを出して、人々に授けて下さるんです!だ、だから、ジークさんって、もしかして……?」
……うわ。
宗教関係だと?
めんどくさいやつじゃん!
「違う。俺は人間だ」
「で、でも、御髪も瞳も綺麗な黒色で」
「お前だって黒い毛と黒い瞳だろ」
「エルダウン王国の獣人の王家は皆黒い毛並みと黒い瞳です。それは、大神ゼロの末裔だとされているからで……」
「じゃあお前が神だな」
「ち、違いますよ!え、えと、それに、ジークという名前は、大神ゼロのもう一つの名前なんです!大神ゼロは、下界に降臨なさる時は、ハンプという女性の姿か、ジークという男性の姿で現れると……」
「いや、ジークは適当に名乗った偽名で本名は別にあるから」
「………………はっ?!も、もしかして、エルダウン連合王国の危機を救うために?!!」
「ねーよ!」
「わ、分かりました!秘密にします!神様であることがバレたら大変ですからね!ジーク様!」
「やめろ……、マジでやめろ……」
恐らくは亡国であるエルダウン連合王国の主神疑惑?
面倒事じゃねーか!!!
今はちょっと魔物娘もの書いてるんですが、それが大分書けてますね。
内容は、ラブラブセックス大好き魔物娘が愛情全開で攻めてくるも、人間蠱毒やゾルディック家みたいな教育で育った愛をゴミだと思ってる主人公が自分に惚れた魔物娘を邪険に扱い続けるssです。