クソが!
……クソが!
めんどくせえことになりやがった!
よりにもよって神だと?
俺はケイトにクラフト能力について軽く説明するが、「神の奇跡ってそんな仕組みだったんですねえ」みたいなことを言いやがる!
「舐めやがってこの馬鹿犬が……!」
「狼です!」
「黙ってろバーーーカ!!!」
あーヤダ、なんでこんな不良品拾っちゃったのかな俺……。
しくじった……。
はい。
よし、切り替えていこう。
既に拾ってしまったからには有効活用する他ないだろう。
人間と同じ規格のものを扱える手駒一つ得たんだ、得をしたと思わねば。
魔導書を集めてスキルやステータスを上げて、魔法を覚えれば、裏切られてもなんとかなるはずだ。
チッ、異次元超越装置の製作以外にも、自分の強化というタスクが増えたな。
だが、自分の強化は必要なことだ。
バニラのプレイヤーなんて、ちょっと強いモンスターに囲まれりゃすぐ死ぬんだから、強化は必要だった。
さあ、動こう。
……なんか知らんが、ケイトがそこら辺の木々を爪でバツ印に引っ掻いている。
動物の縄張り的なアレだろうか?
放っておこう。
川に沿って東へ移動し続ける。
《方位磁石》で方角はバッチリだ。
「お」
海を発見した。
《地図》は大分埋まったな。
「ここが入江だから、港にして、運河を作って、南を採掘場にして……。何だよ、割と良い地点からスタートできたじゃねえか。ラッキー!」
「……港?運河?もしかして、国を再興してくれるんですか?!」
「しねーよ!!!」
ケイトを無視して、引き返す。
取り敢えず、コの字の陸地の入江を港として、川を内蔵する形の城塞都市を作ろう。
大陸の端っこ、東側で、この辺は未開の森らしい。
ケイトが言うには、この大陸は、コの字形で、ここはコの字の縦棒部分の下の方らしい。
その大陸の南東部分の、コの字を鏡写しにしたような形の陸地から数キロ離れた森の中を拠点にすることを決定。
まずはログハウスを建てる。
これは仮の住居なので適当。
石の家を近いうちに建てる予定だ。
石は、河原からとるつもりでいる。
まず、木を切りまくって開拓する。連鎖破壊MODのお陰で、木を切れば根っこまで木材に変換されるので楽だ。
鋼の斧は、六回くらい叩きつければ木を切れるからな。
そして、開拓地をクワで耕し、無限水源と大量の野菜、麦で畑を作る。
植林もして、果物の木と木綿の木などを生やす。
食品はバイオマス燃料になるので、いくら作っても良いのだ。
で、その野菜や果物で森の獣をおびき寄せる。
《どんぐり》で豚、《にんじん》で馬、《干し草》で牛と羊、《大豆》で鶏が集まる。あと、《紙》でヤギが来るのは謎だが、どこからともなく出てくる。砂漠とか氷河でも、《獣用の罠》を設置すればどこからともなく出てきちゃうのだ。
あ、和風MODのお陰で、鹿、猪、羆辺りも出せるぞ。サファリMODも有効だからライオンとかも。
正直、俺も、「いやー、無理だろ」と思っていたのだが、できてしまった。謎だ。
そして、畜舎を作って、今日はお休み。
異世界生活四日目。
《鉄のピッケル》で地面を掘る。
異世界生活五日目。
地面を掘る。
異世界生活六日目。
掘る。
異世界生活七日目。
岩盤に到達する前に、水が湧いたり酸素不足になったりでギブアップ。
異世界生活八日目。
三日間に渡る採掘活動で、いくつかの地下ダンジョンをぶち抜いて大量の宝箱と石、鉱石や宝石を手に入れたので、一旦帰還。
いやー、
「お帰りなさい、ジーク様!ほら、みんなもジーク様にご挨拶をしましょう!」
「「「「お、お帰りなさい、ジーク様!」」」」
「………………?」
????
俺は自家製の《はちみつレモンジュース》をインベントリから取り出して飲み干す。
二度見する。
「「「「?」」」」
????
「????????」
自分でもよくわからない声が出た。
え?
何これ?
何で増えてるの?
「……お前が産んだのか?」
「ち、違いますっ!みんな王国から逃げてきたんですよう!」
「あーっ!やめろやめろ!そう言う話はするな!王国とか言うな!忘れろ!」
ケイトの仕業だな?!
「私、ここに来るまでに、森の木々に印を刻んでおいて、みんながここに来れるようにしておいたんです!」
そういや、木を引っ掻いていたっけ……?
あれ、仲間を呼ぶための印だったのか?!
「消してこい!管理できない村人を増やすんじゃねえよ!」
「で、でも、たったの十人ですよ?私も一生懸命働きますから……」
「見れんのかぁあああ?十人の人間の面倒を見れんのかお前はあああ!!!!」
「人間じゃなくって獣人ですよ?」
「どっちでも変わんねえよなあああ?どの道村人だよなあああ?」
「ジーク様にとっては、人間も獣人も変わらない、と?」
あーーー!
「そうじゃねえよ、思想の話じゃねえ。いいか、はっきり言うぞ?無駄飯食らいを養う義理はねえええんだよ」
「だ、大丈夫です!獣人はみんな働き者です!きっと、ジーク様のお役に立てると思います!」
「役に立つと思います、だあ?そんなフワッとした見通しで不良債権を持ってくるんじゃねえよバーーーカ!!!戦敗国の難民なんざ害悪以外の何者でもねーんだよお!!!」
「エ、エルダウン連合王国はまだ負けてません……!!た、確かに今はこうですけど、いつか王都を取り戻して……!!」
「無理無理無理無理むーーーりーーー!一度滅んだ国が人種差別丸出しの人間に占拠されたら復興とか絶対絶対ぜえーったい無理!!!」
「な、なんで、そんな酷いこと言うんですかっ!私は、私達は……!」
俺はケイトの犬耳を引っ張る。
「痛っ!」
「脳みそ入ってるかー?論理的に考えりゃ、民族浄化で奴隷決定に決まってんだろおおお?今頃テメーの親兄弟はバラバラにされて晒し首、女は犯され男は殺されてるんだよ!!!」
「ひっ、や、やだ……!」
「終わってんだよ、テメーらはよ!ここにいるのは女子供ばっかりだが、どうせ男共は囮や肉盾として国に残ったんだろぉ?」
「……はい」
「男がいねえと増えねえだろ?!王家だって国防組織だって機能せず、研究記録や文化も焼かれ、何もねえんだろうが!!それで何が滅んでねえだと?!無理なの!お前らの歴史はここで終わり!」
俺が叫ぶと……。
「……ひっく、ぐす」
「うぅ、うぅ……」
「おかーさん、エルダウンは終わりなの……?」
「大丈夫よ、きっと大丈夫よ……」
難民と言う名の負け犬共がさめざめと泣き始めた。
うぜー、めんどくせー。
ん?
「……お願いしますっ、ジーク様!エルダウンの復興とは言いません、ですけど、逃げてきた亜人達をここで暮らさせることをお許し下さいっ!!」
お、土下座だ。
この世界にも土下座の文化ってあるんだ。
「いや、住むのは構わねえけど、攻撃してきたら殺すし働かない奴は追い出すぞ」
「あ、ありがとうございます!みんな!ジーク様の言うことをしっかり聞けば、ちゃんとした暮らしができるからね!」
まあ、ワールドクリエイターは開拓クリエイト系のゲームだ。
プレイヤー一人じゃできることは少ない。
NPCである村人を増やして働かせる必要がある。
もちろん、プレイヤーがやった方が効率は良いのだが、村人は数が多いから、多数動員して働かせればそれなりに使える。
村人三人でバニラのプレイヤーと同じ開拓能力、効率があると思っていい。
まあ、最終的には機械で全自動化するから要らないのだが、機械化までの繋ぎとして村人の労働力は必要だ。
俺が知っている動画配信者の中には、共産主義MODをぶち込んで、シュターリンと名乗り、PC処理落ち寸前まで村人を集めて、あらゆることを人力でやらせる動画を作っていた人もいたなあ……。
まあ、この世界に処理落ちなんてものはないだろうし、ああいうのも参考にしていこうか。
となると、村人に仕事を割り振らなきゃな……。
ケイトはこんなんでもメインヒロインなんで……。
可愛いだルルォ?!!!ただ箱入りのおバカちゃんなだけで!!!