五人の亜人、猿人のアープ、虎人のバーグ、悪魔のデーヴァ、エルフのアウリス、ドワーフのモーラト。
それぞれが違った反応を返す。
「とてもじゃありませんが、我々、ここにいる三十万の亜人で森の全てを開発することなどできません。三十万と言っても、老人や子供もおり、木こりの数はそう多くはありません。木を切るのにも技能が必要ですから」
「へっ!良いじゃねえかよ!カストラ帝国を潰すんだろ?生き残りの亜人を集めて、奴らの首都を焼いて、人間共を食い殺してやろうぜ!奴らは俺達亜人の非戦闘員を殺して回ったんだ!あいつら人間の家族を、兵士を、皆殺しにしてやる!」
「うーん、勝算はあるのかしら?確かに、私達も凄惨な拷問と共に殺された仲間の仇は討ちたいわよ?でも、正面からやったら、例え勝ててもエルダウンは今度こそ滅ぶわよ?人手不足でね」
「えーと、私の個人的な意見ですけど、どうやって森を開発して、どうやってカストラを征服するんですかね……?期間はどれくらい……?そもそも、それをやるには、傷病人の回復と新兵の訓練と……、まずは目の前のことに目を向けるべきだと思います、はい」
「ほうほう、儂は賛成じゃぞ、儂らドワーフの仲間達は、今、鉱山奴隷にされておる。亜人の解放、人間共をこの大陸から追い出す!大いに賛成じゃ!ここで勝てねば、どの道また侵略される。座して死を待つより、賭けてみる方が案外良いかもしれんぞ!」
五人がそれぞれ話した。
アープは「現実的に考えて無理」。
バーグは「とにかく人間に復讐したい」。
デーヴァは「できるもんならやりたいけど現実的に考えて無理」。
アウリスは「目的はともかく、目の前のことをどうにかしないと何もできない」。
モーラトは「ここで賭けに出て押し返さなければいずれ負ける」。
それぞれが意思を示した。
どれもおかしくはない、誰が正しいとかそういったことはない。
全員がそれぞれの持論を展開したのだ。
五人は、俺をそっちのけで議論を始めた。成る程、亜人とはこのように合議制なのだろうか?
「いやそれは……」「だから……」「違う……」
話が長くなりそうだから帰ろう。
「ちょっ……、ちょっと待ってください!どこへ行くのですか?!」
「地下資源を掘ってくる」
「いやいや……、そんなことよりもまずこちらの話が先ですよ。ジーク様、貴方は本当にカストラ帝国に侵攻するのですか?どう考えても……」
アープが言った。
「今やるとは一言も言ってないだろ、そのうちやるんだよ。俺の目標は資源集め、お前らに期待してるのは労働力。そのうち世界中を掘る予定だから、邪魔になりそうなのは始末しろと言っているんだ」
俺が言い返した。
すると、それを聞いたアープは、やはり、難色を示した。
「カストラ帝国は強大です。どうやって倒しますか?」
はぁ?
そんなもん決まってる。
「技術力でごり押しだぞ」
当たり前だよなあ?
「技術力?我々にそのようなものは……」
「カストラ帝国は大砲と騎兵が強い、そうだな?」
「は、はい」
「なら、大砲より強い武器と、騎兵より強い兵士を揃えれば良い」
全員が、「オイオイ、こいつ何言ってんだ?」みたいな顔になる。
「あんた何言ってんだ?」
実際にバーグがそれを口に出す。
何を言っているのか?
「俺には、カストラ帝国の大砲よりも強い武器が作れて、カストラ帝国ご自慢の騎兵より強い兵士を作れると言っているんだよ」
静まり返る会議室。
「証拠はあるの?」
デーヴァが尋ねる。
「とりあえず手付けとして、伝説級魔剣、伝説級魔導杖を二十ずつ用意した」
魔剣をバーグとモーラトが、魔導杖をデーヴァとアウリスが手に取った。
「……こひゅっ?!こ、これ、こ、こ、ここっ、ミスリルですよ?!!」
アウリスが騒ぐ。
うるせえな、伝説級魔導杖ともなればミスリルも使うわ。
「嘘でしょう……?!こぶし大の質量の純ミスリルがついた杖が二十?!これ一本で大砲数個分の戦略兵器よ?!」
デーヴァが叫ぶ。
ミスリル……、つまりは魔力増幅金属。魔法の杖にすれば、魔法の威力を十倍以上に高めることが可能だ。
見た目は青白い金属なんだが、魔力を通せばすぐに本物かどうかわかる。
……そういや、魔力通すのとかも、魔法を魔導書で覚えた時に使えるようになってたな。
あまりにも自然にできるようになってたから怖いな。
魔力の扱いも呼吸レベルでできるから、なんでできるのかとか全く分からん。
「はぁ?!!オリハルコンの魔剣だとォ?!!!」
「オリハルコンの魔剣じゃぞこれ?!!エルダウンでも国宝レベルじゃぞ?!!!」
バーグとモーラトが騒ぐ。
オリハルコンは魔力を発する黄金の金属だな。魔力を発するとはすなわち、持っているだけでバフがかかるってことだな。
アープも、それを聞いてこれの価値がわかったらしく、ものすごい顔をしている。
「さて、満足か?満足したなら俺は地面を掘り返して更に素材を集めるが」
「はっ……、分かりました、ジーク様。よろしければ獣人やドワーフを炭鉱夫としてお使いください」
アープが頭を下げてきた。
「ん、ある程度掘ったら呼ぶ」
俺は伝説級のアダマンタイトツルハシを担いで地下資源をほじくり返す……。
どうします?
次、魔物娘行って良いですか?