異世界生活、二十八日目。
近隣の鉱山を開発している。
「あ、鉱毒……」
MODにも良いところと悪いところがある。
世界に新たな法則を追加したのだから、マイナスの法則も追加される訳だ。
つまり……。
「工業MODの中でも特に邪魔なのは、水質汚染度と大気汚染度だからな……」
垂れ流すと面倒なことになる鉱毒。
処理施設を作るか封印するかの二択になる訳だが、現在の技術レベルでは処理できない。
となると、やはり……。
異世界生活、二十九日目。
鉱毒が流れ込む溜め池の隣に、巨大な坑道が。ここはいずれ、技術開発後に処理施設を作る。
アダマンタイトツルハシならば、キロ単位の長い坑道もすぐだ。
ここに亜人共を動員して、穴を掘らせる。
ここは、森からだいぶ遠い地点にある鉱山である。
カストラ帝国が来なければ、そのうち開発する予定だったらしい。
だが、今となってはもう俺のものだ。
ファンタズマ(鉱山)は渡さん、あれは俺のものだ!
しかし亜人共め、一丁前に自分達も金属が欲しいだと……?
「やだ」
「そこをなんとか……」
「NPCが使うよりプレイヤーが使った方が良い」
「はぁ……?」
はぁーーー!
しょーがねーなー!
「半分は使って良いがもう半分は倉庫に納めろ!」
「うっ、半分じゃと……?わ、分かった……」
鉱夫の責任者のドワーフの尻を蹴飛ばして、俺は作業に戻る。
今は、金属を精製するマシンを作るためのマシンのパーツを加工しているところだ。
それに並行して、金属の手動での精製も行う。
金属の精製に必要なマシンを作るためのマシンのパーツを金属を精製して作る。
非常に頭の悪い物言いだが、これが平常運転である。
そもそも工業ってそういうもんだしな。効率化のために非効率なことをする、当然だ。
しかし、作業には段々と時間がかかるようになってきたな……。
食品加工くらいなら数分で終わるのだが、魔法金属の精製などをすると丸一日くらいかかってしまう。
複雑なものはそれだけで大仕事になる。
三十分で昼と夜が入れ替わるゲームの世界なら、一晩作業しても問題ないのだが、今はとにかく長い。
体感時間が伸びているのだ。
ゲームの中では楽だった作業も、一日仕事となり、大変に辛い。
お前は一日中かまどの前に立っていられるか?
俺は無理だね。
この、時間短縮のためには、新しい高性能な魔法かまどや自動精製機などを作る必要があって、それを作るのに必要なものを今作っているところだな。
さて、クラフトは短時間でできるが、金属の精製には時間がかかる。
ので。
「おう下僕共、金属を精製して鋼にしておけ。それと銅、金、魔法金属もな!」
「お、おう、分かったぞい。じゃが、窯は……」
「窯はこれだ!」
「馬鹿な!そんな小さな窯で!」
「良いからやれ!」
「ひええっ!分かった!分かったぞい!」
そういうことになった。
異世界生活、二十九日目。
朝、起きると……。
「たのもう!」
んんー?
「私は、月神ゲオルグ様の血脈の末裔、エルフの王女、ソニアです!」
「はあ、そうですか……」
「大神ゼロよ、どうか私に子種を下さいませ!亜人には新しい希望が必要なのです!」
「はあー?」
金髪ロングに空色の瞳、豊満な肉体のエルフだ。
まあ、抱かせてくれんなら抱くけど。
おっと、こっそりと《避妊薬》を飲むのを忘れずに、と。
避妊薬、男が飲んでもOKなんだよな。
エロMODこと『セクシーボンバー』の避妊薬の避妊率は100%だ!
さて、とりあえず、午前中はソニアと名乗ったエルフのバカ女を抱いた。めんどくせえことにこいつも処女だったから、ある程度の責任は取らなきゃならん。
もちろん、別に責任なんざ言う程気にしちゃいない。
だが、どうやらこの世界は一夫多妻制を採用しているようだ。
俺も今は若い男だ。
若くていい女を沢山侍らせたいという願望がある。
だから、侍らせる女の面倒を多少見るくらいはしないとな。
ケイトもソニアも、王国の再建みたいなアホなことを言いださないんなら、見た目は限りなく良いんだし、飼ってやっても構わんのだ。
いや本当にな……、見た目は本当に可愛いんだよ……。
アレでアホじゃなきゃなあ……!
ソニアが言うには、森のもっと奥の方にはエルフが住んでいて、さらにその奥は火山があり、ドラゴンがいるらしい。
この大陸はコの字型で、俺の現在地はコの字の南東部分。南にエルフ、南西にドラゴン火山か。エルダウンは北西にあったそうだ。
エルフは例によって、見た目の良さと魔力の高さから奴隷ルートまっしぐら。
まあ、他の亜人も力が強く死ににくいから、労働者として奴隷ルートまっしぐららしいが。
因みに、この世界の人間はエルフ以外の亜人を醜いと思ってるらしい。
まあ、俺はケイトもソニアも可愛いと思ってるんだが……、その辺は文化の違いか。
恐らくはイジャヤ教の教えがそうさせるんだろうな。イジャヤ教はゴリゴリの人種差別主義だ。
イジャヤ教の教えでは、亜人イコール動物、家畜だから、絶対に相容れない。
イジャヤ教徒は皆殺ししかない。
よく考えてみれば、こちらを神だと思い込んで傅いてくる馬鹿だが強い亜人と、何するか分からん変な宗教を信じた悪辣な人間だと、葛藤はあるが亜人の方に軍配が上がる。
一神教を信じる人間に利用されるくらいなら、古代オリエント的な緩い多神教を信じる亜人に神扱いされた方がマシかな?って。
ヤバけりゃいつでもバックレる準備はできてるしな。
それに、亜人も上層部は俺が神だと百パーセント信じてる訳じゃないが、それでも従ってくれるんだ。
人間の支配する領域に行けば、自由裁量権が認められない可能性が極めて高い。
まあ……、今までの人生経験から、人間という生き物を一ミリも信用できない俺がおかしいんだろうけど、こればっかりは仕方ないな。
そりゃ、もしかしたら、人間の国に逃げ込んでも良くしてもらえるかもしれない。
けど……、一神教、人種差別上等、神の教えを広めるための侵略戦争をやるカストラ帝国は、この現段階で手に入る情報を聞くだけで嫌な予感がぷんぷんしやがる。
いや、確かに、亜人に騙されてるケースも考慮したが、年端もいかない子供すら、カストラに追われたとか、人間に親を殺されたと泣き喚くんだ。
これは亜人に騙されてるって可能性はほぼないだろう。
こんなガキにまで俺を騙すように指示を徹底していたとなると俺はお手上げだ。
そうだな……、つまり、錦の旗はこちらにあるはずだ。
人種差別撤廃!と叫ぶ奴が悪者な訳、ないよね?
俺はほら、世界平和のために侵略するから。
正義正義。
ぶっちゃけた話、俺って人間嫌いなのよ。
だから人間ならいくら死んでも心が痛まないし、むしろ死ねくらいの気持ちでいる。
あと俺が割とケモナー入ってるのもある。次はハーピィとか抱いてみたい。
まあ、そんな感じで、諸々の要素から、問題がなければ亜人に味方しようと思ってるんだよな。
亜人に戦わせて上前をはねる、その方針で。
メガテン行きたいですねえ。
メガテン、やっぱり世界を滅ぼすことにしました。