異世界生活、三十二日目。
俺はオリハルコンを少し混ぜ込んだ鋼鉄の合金である、『オリハル』を量産し、それで武器を作っている。
これは、隊長クラスの亜人にくれてやることにした。
一般兵の武器?知らん、その辺のドワーフがどうにかするんじゃないの?
俺は正直、名前は晴嵐だが、軍オタではない。
軍隊のことは何もわかってない。
確かに、軍オタの親父に旧日本軍について嫌ってほど語られたから色々と覚えてはいるが、そこまで詳しくはない。
何もわかってない奴が横から口出ししても良い結果にはならないだろうと思い、軍部のトップである虎獣人のバーグに、尋ねられた範囲で近代の話をする。
するとバーグは、階級を旧日本軍のものに切り替えて、階級が上の人間に従う軍規を新たに作った。
今までは、隊長が死ぬと兵士は玉砕していたらしい。クソ蛮族じゃん怖。
そんなこんなで、オリハル製の武装を士官に装備させて、兵士は専業にする。
最悪、食い物はいくらでもあるから、屯田兵やら農兵やらにする必要はないのだ。
まあ、そうなった理由の八割は、「かつて人間には、三百人で二百万人と互角に戦った奴らがいるのに、亜人は腑抜けてるな!」と俺がバーグを煽ったからだ。
「できらぁ!人間にできて俺達にできねえことなんざあるかよぉ!!!」とマジギレしてて面白かったぞ。
それにより、亜人兵は毎日毎日訓練の連続。
スパルタ教育の始まりだった。
バーグ自身も、血反吐を吐きそうなレベルで訓練している。
まあ頑張れ。
異世界生活、三十三日目。
スパルタ式訓練を初めても、昨日今日で急に強くなれる訳がないと一日過ぎて冷静になり気付いたバーグが苦情を言いに来た。
チッ、バレたか……。
大人しく棒切れ振り回して訓練(笑)してりゃ良いものを。
うるせえからおもちゃでも作ってやるか。
戦争MODこと『ワールドウォー』のマキシム機関銃を作ってくれてやる。
「ウォーッ!スゲーっ!何だこれ!」
バーグはアホみたいに喜んでいる。
「これ、並べて撃てば強いよなあ……、少なくとも人間相手なら強いよなあ」
バカスカ機関銃を撃ちながら考え込むバーグ。
そう来ると思って量産済みだ。
え?
えーと、石炭と魔石をクラフトして火薬、火薬と鉄で銃弾だな。
鉄ブロックと鉄インゴットを良い感じに配置するとマキシム機関銃本体の完成だ。
現段階では鉄がそんなにないので無駄遣いするなよ。
ついでにロケットランチャーも渡した。
「スゲーっ!!!」
喜んでた。
ジグザグの塹壕掘って有刺鉄線バリケード張って機関銃並べると強いぞと適当に助言したところ、バーグは早速演習を始めて、マキシム機関銃をバカスカ撃っていた。
異世界生活、三十四日目。
工作機械がまだまだ数が揃わない。
愚民共はぽこじゃか増える。
なんでも、亜人達は、総大将のバーグが、マキシム機関銃があれば勝てると踏んだらしく、各戦線を一斉に放棄させ、この街に撤退さられているらしい。
この東の森と西の王国跡地の真ん中にある平原に陣取って迎え撃つ方針とのこと。
俺から言わせりゃ、銃MODの銃は序盤では強いが、後半ではすぐに火力不足になる。
劣化ウラン弾キャノンの威力が、良質魔導書の魔法と同ランクの威力だからな。
神話魔導書並みの威力の兵器となると、銀河破壊レベルになる。
しかし、科学は、魔法の産物と比べて量産が容易であると言える。
科学と魔法をいいとこ取りせねば。
にしても、大分、亜人が集まったな……。
下手に戦い続けずに撤退したのが功を成したんだろうな。
使える状態の亜人がたくさん避難してきた。
序盤での人的資源は貴重だ。
終盤では、アンドロイドが全部やってくれるのだが、序盤ではそうもいかない。
序盤は村人を集めて旋盤を回さなきゃならないのだ。
最近、やっと旋盤ができたから、旋盤で旋盤を量産しなければならない。
尤も、今の技術力では足踏み旋盤が限界なんだが。
この技術力でどうしてマキシム機関銃を用意できたか?
MODが違うからだ。
戦争MODで追加された銃器は所詮お遊び、簡単なレシピで現行科学レベルの物品しか生み出せない。
もっとこう、惑星破壊爆弾!!!的なのは、レシピが複雑で高コストだ。
戦争MODは、初心者向けのお遊びMODだ。魔法系のMODやSF科学系のMODを極めれば、惑星を破壊したり銀河を焼き尽くしたりできるからな。
魔法で例えると、基礎が対人だとすると、良質が対街、上質が対国、伝説が対大陸、奇跡が対惑星、伝説が対銀河に作用する。
みんな大好き青狸猫の地球を破壊する爆弾は奇跡級に値する。
いやー、それにしても愚民共が増えたな。
愚民とか何様のつもりだとか言われそうだが、実際に、亜人なんて知識階級以外は読み書きも計算もろくにできないし、政治も分からない正に愚民だ。
足踏み旋盤ができたら早速労働させよー!とか思ってたのだが、数字も文字もろくに読めないから旋盤が使えないとか抜かすんだぜこいつら。
使えねー。
バニラのワールドクリエイターの村人と違って、文字も数字も読めないみたいだ。
この辺は、文字は英語と同じだったから、俺は特に困っていない。
だがまあ、こちとらワールドクリエイター。
使えと命じたら使わせることはできた。
しかし、数字が分からないから、この大きさのネジを作れ!とか、何個作れ!とかが理解できないみたいだ。
辛いな。
仕方がないから知識層集めてアラビア数字を教え込む。
そして、知識層に対して、愚民に文字の読み書きを教えさせるように指示。
とにかく、命令書、瓦版、何をするにも文字が読めなきゃ始まらないのだ。
兵隊共も一旦訓練は中止!
読み書き計算を学べ!
「せめて、自分の名前くらいは書けるようになれ!」
獣人たちの姿はアメリカのケモナー向けエロサイトみたいな感じです。髪の毛はあります。