ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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人外もの!今作は気合入れていきたいですね!


ラブのないラブコメ
十三番目のリリス


魔物娘!

 

端折って言うと、近年流行りのモンスター娘というやつよ!アメリカとかで流行ってるわよね。何であっちの方の人ってケモナーとか多いのかしらね?不思議よね。

 

本当にありふれたってか、ベタな設定なんだけどね、私達の世界には魔王がいて、魔王と敵対する教会とそこに所属する勇者がいるの。

 

魔王と勇者で殺し合いをして、人間と魔物の個体数を調整するのが神の仕事なの。あ、ここでいう神は主神のことね。主神はクソね!

 

で、例によって、新しい魔王ができたんだけど、新しい魔王は破壊と殺戮を是としないの。そう、私のママね。

 

そして、魔物は魔王の影響を受けるから、女の子になっちゃったの。

 

そして、そしてよ、私達、魔物娘は、神に反旗を翻したの。

 

つまり、人間の男とラブラブになって、男も女も魔物にして、魔物娘と人間で同じ種族になろう、って。すなわち、人魔合一ってところね

 

そう、それでね、貴方は特別魔界との繋がりが深いのよね。不思議ね、あなた、人間なのに幽玄のものの香りがするわ。

 

まあ、そんな感じで、私達魔物娘の平穏な侵略活動の手助けをしてほしくってぎゃああああああああ!!!!!」

 

「ンッンー、断ァる……」

 

 

 

一人のリリムが、鎖で繋がれたまま、大きな家の地下室に転がされている。

 

彼女、ベアトリクスは、「魔王」と「勇者」の十三番目の娘である。

 

長い白髪、切れ目の赤い瞳、十七歳くらいに見える歳の頃と、白いフリルの黒いドレス、そこそこ大きな胸と引き締まったウエストの良いスタイル。

 

今回、異世界侵攻担当となり、沢山の魔女やバフォメットの力を借り、転移門を創造。

 

この湯後洲市の郊外に魔物娘城を建て、ここを拠点にして魔物娘をどんどんこの日本に送り込んでカップルを作りまくろう!という魂胆であった。

 

しかし、この湯後洲市。

 

「た、たしゅけてぇ……」

 

「嫌だよ、バァカ……!!!」

 

一筋縄では行きそうもない。

 

湯後洲市に降り立ったのが運の尽き。

 

湯後洲市には、そちらの世界の人間の男のように、ただ逆レイプされるだけの弱い男はそうそういないのだ……。

 

 

 

湯後洲市郊外の大きめな住宅地。一人暮らしにしてはデカすぎる、洋式の一軒家に彼はいる。

 

この男、名を「空薙暁人」という。

 

十七歳の高校二年生にして、口髭と癖のある黒のロングヘアにスーツという、やり手の武器商人のような格好をした男である。

 

数年前から、この一人で住むには大き過ぎる館で生活している青年……。

 

だが……。

 

この男、とにかく、「負けず嫌い」である。

 

他人に頭を下げず、誰にも媚びず……、とにかく負けず嫌いで、誰にも負けないために入念な準備をしている偏執狂。

 

手元の手帳やノートパソコンには、他人の弱味がこれでもかと書き連ねられており、最悪、どうしようもなくなった時は、日本に核ミサイルが数百本直撃し魔法災害から時空間の崩壊まで、様々な災厄が起きるようなハッキングプログラムと魔法術式を持ち歩いている外道である。

 

普通に戦っても極めて強く多芸で、大抵のやつを薙ぎ払う力があり、尚且つ、他人の弱味を常に握り、どうしようもなくなったら自爆して抹殺という三段構えの変態である。

 

「何だお前は」

 

「こっちのセリフよぉ!何このトラップ屋敷?!日本ってこんな感じなの?!」

 

「何だお前は」

 

「な、何よお!怖い顔しないでえ!瞳孔ガン開きじゃないぃ!」

 

「何だお前は」

 

「答えるまで聞き続けるのね?!わ、わかったわよぅ……。でも、さっき言った通りよ?私はリリムのベアトリクス。貴方には魔物娘と人間の男の仲人を痛たたたたたたたたたぁーーー?!!!」

 

手持ちの刃物で、リリムであるベアトリクスの羽の一部を削ぐ暁人。

 

人間で言えば凌遅刑のようなものだ。

 

他人の肉を刃物で剥ぐような真似を眉一つ動かさずにやる高校生とは一体……?

 

「ぎゃああああああああ!!!!!痛いぃいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

「ふむ……、どうやら本物みたいだな」

 

「ふ、普通、他人の肉体を削いで中身を確認したりする?!!!」

 

「肚の中はどうなってるんだろうな」

 

「ひっ……、ひいぃいい!!!怖いこと言わないでええええ!!!」

 

泣きながら失禁するベアトリクス。

 

「汚ねえな……」

 

「ご、ごめんね?怒らないで?ほ、ほら!そう、私、あっちの世界から色々なもの持ってきたのよ!」

 

拘束されながらも、魔法を使って、アイテムボックスから金塊や宝石を出すベアトリクス。

 

「ほう……?」

 

暁人はそれを見て、どこからか取り出したライトやルーペで検分した。この男、宝石鑑定もできるのだ。

 

「かなり高純度だな。しかし、アフリカやロシアのものじゃない……、見たことのないダイヤだ。どこから盗んできた?」

 

「盗んでないわよぅ!私の世界の火山地帯ではたくさん宝石や貴金属がとれるの!」

 

「ふむ……」

 

顎髭を撫でる暁人。

 

暁人の頭脳がフル回転し……。

 

「よし、よく分からんが、お前は不法滞在の外国人なんだろう?なら金が必要だろ」

 

「えっ、はい」

 

「マージン料五割で、貴金属や宝石を裏ルートに流してやるよ」

 

「本当?!でも五割って……」

 

「文句があるなら他所に行けば良いんじゃねえか?但し、法治国家の日本で正規ルートで貴金属や宝石を流そうとすると、身分の証明を求められた上で監査のメスも入るがな」

 

「むむむ……、わかったわ、五割ね、あとで増やさないでね?」

 

「ああ、契約書にサインしろ」

 

「そ、それより、この鎖外してー!」

 

 

 

居間にて。

 

目隠しされたまま、暁人邸の居間に運ばれたベアトリクスは、そこで解放され、暁人が淹れた紅茶を飲んでいた。

 

「あら……、凄く美味しいわ!貴方、紅茶を淹れるのが上手いのね!そういう男性って素敵よね」

 

暁人は、万が一にも他人から毒を盛られる危険性を考慮し、基本的に飲食をするときは解毒薬片手に解毒魔法をかけながら食事する。とんだ偏執狂(パラノイア)である。因みにこの居間も普段は使わないダミールームで、普段の暁人は二階の居間で過ごしている。

 

「にしても、信用してくれるの?キチガイ扱いされて通報かなー、なんて思ってたんだけど」

 

「物証があるからな」

 

宝石を磨いてケースに収める暁人。

 

「ふうん?」

 

「それに……」

 

「それに?」

 

「俺の知り合いに魔法使いや暗殺者、超能力者に退魔師……、そんな奴らがいる。今更、魔物娘……?だったか?そんな奴らで驚くほど暇じゃない」

 

「………………え?この世界、そんなのいるの?!」

 

 

 

そう、この世界。

 

魔物娘に大人しく捕食される側ではない。

 




どうでした?

こんなノリでやっていきます。

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