ラーメン楽華星(らっかせい)。
湯後洲市一番人気のラーメン屋の屋台である。
大将である猪狩正紀という男が作るラーメンはまさに神業。
大将に功名心がもう少しあれば、全国チェーン展開やらラーメンランキングやらに載るような、典型的な隠れた名店である。
「ずるるっ……、うん!美味しい!」
空薙暁人は最初に、女をラーメン屋の屋台に連れて行こうなどとは思わず、普通にその辺のレストランで済ませようと考えていた。
もちろん、家から解毒のマジックスクロールを持ってきてあるので、外食も可能だ。
しかし、ラーメン楽華星の屋台の香りに釣られたベアトリクスはラーメンを食べてみたいと駄々をこねた。
本人が望むなら良いだろうって事で、デートだというのに屋台のラーメン屋に座った。
豚骨醤油極味玉チャーシューメンと極チャーハンに極ギョーザを注文した暁人とベアトリクス。
暁人は食える時に食っておくタイプだし、ベアトリクスは成長期特有の腹ペコだ。
「んんーっ!おいひい!」
「ははっ、ありがとな!」
大将が朗らかに笑う。
「暁人もいつも来てくれてありがとよ!」
「ああ……」
因みに、暁人はこの大将の弱味も握っている。
スマホ一つタップすれば、大将を明日から路頭に迷わせることも可能であることをここに記しておく。敵対する確率がほぼないラーメン屋の大将の始末の仕方を考えてある。とんだ偏執狂である。
「こっちの世界は食事が美味しいのね!」
「そうだな。お前の話では、そちらの世界はこちらの中世後期並らしいからな」
そんな話をしつつ、ベアトリクスは大将に声をかける。
「あ、ところで大将って独身?」
「ん?おう、独身だぞ?」
「良し!じゃあ、私の友達を紹介してあげる!」
「いやあ、俺もう三十二歳だし、女子高生とは付き合えねえなあ……」
「え?女子高生?」
暁人は、未成年の概念についてベアトリクスに説明した。
「へー、そんなのがあるのねー。私達の国では、愛し合っていれば年齢とか関係ないから……。それに、ちゃんと大人の魔物娘もいるわよ」
「そりゃ凄えな……」
大将は驚いている。
爛れた魔物娘の世界とこの世界の常識は違うのだ。
……まあ、湯後洲市に常識なんてものは存在しないのだが。
「あれ?未成年なのに、何で暁人はお酒とタバコを?」
「はっはっは!暁人は湯後洲七魔帝のうち一人だからな!法律なんてもんにとらわれないんだよ!」
大将が答える。
「湯後洲七魔帝?」
「おう!湯後洲市で逆らっちゃならない七人の男達のことを、畏怖の念を込めて七魔帝って呼んでるんだよ!」
「へぇ、暁人みたいな人が七人もいるのね」
「そうだな。七つの大罪に対応する悪魔の名を借りる七人の最強の男。暁人は、『ルシファー』で業界では通っているんだぜ。他の六人も……」
「大将、喋り過ぎだな」
暁人が一言。
「ひっ……、す、すまねえ」
大将はビビって黙り込む。
「うーん……、じゃあ、他の六人について、貴方が教えて?」
ベアトリクスが暁人に尋ねた。
暁人は、ゆっくりと口を開く。
「知る必要はない」
「えー?そこまで言われたら気になるわよぅ」
「知る必要は、ない」
「はぁい、わかったわよぅ」
ルシファー:『祟神』の空薙暁人
サタン:『天拳絶技』の大神伴
レヴィアタン:『悪魔博士』の小鳥遊千景
ベルフェゴール:『魔導王』の青天目大門
マモン:『機人』のエゴール・"ザ・ファング"・クラースナヤ
ベルゼブブ:『天元突破』の安倍"16代目ハルアキラ"藤太郎
アスモデウス:『月下美人』のグリム・"アフロディーテ"・パンドラ
この男達について知る必要は、ない。
まあ……、全員同じ学校に通っているのだが。
県立九頭龍附属高校。
暁人の通う高校である。
暁人達七魔帝が教師や教育委員会やらに優しく「お願い」したところ、出席自由の「特進クラス」ができ、七魔帝はその特進クラスに籍を置いている。
因みに大学も、九頭龍大学という隣の県立大学にエスカレーター式で入学できるように「お願い」してある。
もちろん、大学も出席自由でフル単位もらえるように「お願い」してあるので、何の問題もない。ないのだ。
そんな暁人は、ベアトリクスを連れて、役所や学校に「お願い」をして、ベアトリクスの戸籍と、魔物娘城の土地権利、これから来る魔物娘の戸籍や住民票、学籍を「快く」用意してもらった。
「えっと……、高校ってところに通えるのね?」
「そうだ」
「やったあ!こっちの世界の学問とか面白そうね!」
「良かったな」
「ありがと、あなた❤︎」
「良かったな」
魔物娘図鑑二次創作なら、ハイオークのアナルに腕を突っ込んで脅す話好きです。