「今、魔物娘城には百人くらいの魔物娘がいるの」
「百匹か。それを全部、適当な男の性奴隷にすればいいんだな?」
「素敵な男の子を紹介して幸せなお嫁さんにしてあげて!あと、匹じゃなくて人よぉ!」
「チッ」
「舌打ち?!!!」
ベアトリクスの話によると、魔物娘の初期ロットが百人くらい存在するらしい。
この半数ほどに恋人が見つかれば、第二陣を呼び込み、更に城を拡張するとのこと。
「その為にもまず、フリーの男性を探さなきゃ!」
「そうか」
暁人は相変わらずの塩対応だ。
「……手伝って?」
「いくら出す?」
「うぅ〜!恋人のお願いくらいロハで聞いてくれてもいいじゃないのぉ!って、ああ!待って!行かないで!いくら?いくら欲しいの?」
「俺を動かすのにいくらかかると思っているんだ?」
「えっと、じゃあ、お金では替えられないものをあげるわぁ!」
「何だ?」
「私の愛❤︎……ぐへぁ!!!」
普通に腹パンを決める暁人。
「うぇ、ゴホッ、ゴホッ……」
「殺されたいのか?」
「わ、分かったわぁ、魔界でしか育たない植物や、魔界でしかとれない金属はどうかしらぁ?」
「ふむ、良いだろう」
「と言う訳で、持ってきたわよ!」
「ふむ……!」
珍しく嘆息してみせる暁人。
暁人にも、知的好奇心というものは存在する。
初めて見るものに興味を示すのは当然だ。
「ロングソードか。これは……、銀か?」
「あらあら、色々あるのに、一番最初に手に取るのは武器なの?」
「一応、武器商人なんでな」
「なら、この武器をたくさん売ってちょうだい?」
「ふむ……?」
慣れた手つきでロングソードを鞘から抜き放ち、軽く構える。
「やだ、カッコいい……❤︎」
「そうだな(適当)」
銀のロングソードを振り下ろす。
暁人の武技の腕もさることながら、銀でありつつもかなりの斬れ味を誇るこのロングソードも評価できる。
魔剣の類だろう。
だが……。
「はぁっ!!!」
「きゃあん❤︎」
暁人は思い切りベアトリクスを斬りつけた!
しかしベアトリクスには傷一つ付いていない!
「なるほど、これは魔力しか斬れない剣なのか」
銀のロングソードを弄ぶ暁人。
「そうよぉ、魔銀の武器は相手の魔力を傷つけて、魔物の魔力を流し込むの。そうすれば、男は魔物人間に、女は魔物娘に近づくのよ!」
魔界の製品は、魔王の方針によって変わる。
昔は、魔銀と言えば、触れた人間の魂を犯して狂わせるものだったが、現在はエロアイテムに成り下がってしまっている。
「下らんゴミだな。次」
「ゴミって……。じゃあこれは?魔界の果実!」
暁人は三種類の解毒魔法と、毒耐性アップの魔法を唱える。
そして、皮を剥いて、乳白色の果実に齧り付く。
「ふむ……、これは美味いものだ」
「でしょー?……ところで、ムラムラしてこない?」
「ああ、この果実には、高い魔力と催淫効果があることは分かっているぞ。俺はその手の薬が効かないだけで」
魔界の果実も、その昔は、劇毒の材料であり、一滴体内に入れば象も即死する猛毒の果実であったが、現在は媚薬の材料に成り下がっている。
「ええーっ?!効かないのぉ?何でぇ?」
「俺がパーフェクトデザインドだからだ」
「あ……」
ベアトリクスは思い出す。
パーフェクトデザインド計画……、人工的に新人類を作り出す実験のことを。
暁人は、その計画の成功例なのだ。
幼い頃から、殺人技術の訓練を積み、あらゆる分野の知識を得て、兄弟を殺して育った暁人。
当然、薬品も大量に投与され、あらゆる薬品への耐性も得た。
媚薬程度、まるで効かないのだ。
「あっ、あのっ、ごめんなさい!私、貴方に嫌なことを思い出させて……っ!」
「嫌なこと?」
「辛い訓練とか、兄弟を殺したりとか……」
「それは別に、嫌なことではないな。兄弟を殺すのは楽しかったぞ」
「そ、んな……!」
ベアトリクスには理解できない。
ベアトリクスは、百人近い姉妹が存在する。そして、とても仲が良い。
今回の異世界侵攻の時も、美しく優しい姉妹と両親から激励され、一時の別れを惜しまれて、この地球世界に来たのだ。
暁人の、親兄弟を殺して楽しいと言う神経が分からない。理解できない。
魔物娘は人間を傷付けるのを嫌うのだ。
魔界銀の武器は、ストレートに言えば、人間をエロい気持ちにするだけの淫具であり、爪や牙も同じように、決して人を傷付けない。
魔物娘にとって、人間は同朋である。
そんなベアトリクスにとって、親兄弟を殺して笑うこの男は異常者以外の何者でもない。
「あ、あのね、暁人……?普通はね、両親や兄弟姉妹は大切にするものなのよ?」
「そうらしいな」
「ね、ねえ、暁人……?あなたは、これまでたくさん酷い目に遭ってきたわよね。でも、グレたりしないで、頑張って?」
「そうだな(適当)」
そんなこんなで、魔界産の食品や酒を試して、マジックアイテムを入手した暁人は、魔界産の物品をリスト化して値段をつける。
もちろん、確かに中抜きはある程度しているが、調停者として、魔物娘にもしっかり利益は配分している。
「それじゃあ、デートしましょう!」
「そうだな(適当)」
そう言うことになった。
もっとエログロしたい!