ドロヘドロみたいに!
湯後洲市をデートすることになった暁人とベアトリクス。
暁人は……、別に後ろをついて歩く女一人程度、特に問題はないと判断。
湯後洲市の見回りを兼ねて、ついでに女を欲しがる男を探すことにした。
朝、午前。
時間は七時半といったところだ。
暁人とベアトリクスは、共に朝食を済ませることにした。
暁人の家から歩って二、三十分ほどの地点にある、『カフェ・コルジェット』に。
「おや、暁人君。……彼女連れかい?!珍しいね!」
嫌味なくらいに爽やかな、短髪の好青年。このカフェのオーナーのバーナビー・ロイターである。
「朝食セットスペシャルLLを。それとコーヒー」
「私は朝食セットBと紅茶を」
「はいはーい」
バーナビーは、この小さなカフェコルジェットのオーナーだが、その実力は神懸かり的で、イギリス王家に勧誘されたことがあるほどに美味いコーヒーや紅茶を淹れるのだ。
本人は、名誉欲に欠ける男で、この日本で生涯を終えるつもりでいるらしい。
目標は、死ぬまでに、世界で一番美味い一杯を淹れられるようになることだ。
まだ二十代半ばだと言うのに、控えめな人間だ。
しかし、癪な話だが、自分の技術ではこの男よりも美味いコーヒーは淹れられない。
そんなことを思いつつ、出されたコーヒーの香りを楽しむ暁人。
やはり勝てないなと再確認しつつ、ブラックコーヒーを一口味わう。まあコーヒーの淹れ方で敵わずとも、いつでも始末できる人間なのだ。問題はない。
そして、もちろん耐毒魔法を重ねがけしてから口をつけている。抜け目はない。
「んーっ!凄く美味しい!」
喜ぶベアトリクスをよそに、スペシャルセットの大量の朝食をハイペースで食べ進める暁人。
目玉焼き六つ、食パン一斤、ベーコンと豆、ソーセージ12本、野菜のグリル四種類、トマトスープ、チーズ12かけら、ハム六枚。朝から重い。
一方でベアトリクスは、スクランブルエッグとトースト2枚に小さなサラダと控えめだ。
これは別に、暁人の前だからカッコつけているという訳でもなく、単純に朝は少なめなのがベアトリクスの流儀というだけの話だ。
そもそも、好きな男の精があれば食事など不要なのが魔物娘というものだ。
暁人が無意識に放出している精をこっそり吸っているベアトリクスは、それだけでお腹いっぱいなのである。
むしろ、性行為で本格的に精を注ぎ込まれたらどうしようとすら思っている。キャパオーバーするかもしれない。
それはさておき……。
「マスターさん?」
「ん?何だい?」
「マスターさんって、恋人とかいらっしゃいますか?」
「いないねえ」
「どんな子が好みですか?」
「うーん?そうだねえ、猫みたいに可愛くて気まぐれな女の子なんて、可愛いよね」
朝食を済ませたあと、午前の街を歩く。
暁人と出会った街の人々は、まるで警察に出会ったかのように大人しくなる。
昼間から飲んだくれてるおっさんも、学校に行ってない不良も、調停者たる暁人の前では、借りてきた猫のように大人しい。
「へへっ、何が混沌の街湯後洲だよ!何が調停者だよ!東北一のヤクザであるこの俺様に敵う奴なんていないぜ!俺はもう三人も殺したんだぜェー?!!」
このように、たまにアホが突っかかってくるが。
「………………」
「調停者、空薙暁人ォ!俺がお前を倒し、ぺぎゅ」
大抵は、脳漿をぶちまけて終わりだ。
「なっ……?!!!なんて酷いことを?!!!何で殺したの?!!!!」
ベアトリクスが大騒ぎするが、街の人間は「またかよ」みたいな、軽い反応を返している。
湯後洲では殺人くらい、ありふれた事件なのだ。
それに、犯人が魔人となると、罪に問うことはできないと見て良い。
何せ、魔人は、個人で大陸を破壊しうる存在。そんな魔人の怒りに触れるくらいなら、人が何人か死ぬ程度許容するのがこの世界の総意だ。
核ミサイルに喧嘩売るか?と言う話だ。
「『滅びよ』」
「ああ……!!!」
滅びの魔法により、骨も残らず消滅するアホ。
「な、なにも、魂まで破壊しなくても……!!」
午前中は図書館に行くことにした。
ベアトリクスは、先ほどの殺人事件で気分が落ち込んでいたが、暁人はいつも通りであった。
暁人は、新しい論文をいくつか速読すると、さっさと帰還した。
その間に、図書館の司書の男性に独身かどうかを聞くベアトリクス。
「え?私ですか?独身ですが?」
「それなら、この住所にこの紙を書いて送って下さるかしらぁ?」
「なになに、魔物娘お見合いシート?」
「ええ!貴方みたいに素敵な男性なら、すぐに結婚相手が見つかるわよぉ」
「は、はあ……」
と、図書館の司書を数人勧誘。
昼。
ミシュランにて星三つを毎年受賞している、湯後洲最高のフランス料理店、『エクセロン』である。
この店は、ニスロクこと『炊金饌玉』のパスカル・ドゥランの弟子が経営している店舗だ。
パスカルは、『食べた人間の戦意をなくす』料理を数十万人分、一人で作って、核戦争寸前だった当時のフランス軍全員に食わせて、フランスでの核戦争を防いだと言う偉業がある。故にニスロクなのだ。
パスカルほどのレベルになれば、魔人クラスでも多少操れるほどの料理を作れるが、このエクセロンの料理人はそこまでではない。
しかし、それでも、暁人に匹敵するレベルの、人類の最高峰レベルの料理を提供できるのがこのエクセロンだ。
オーナーは、ジャン=クリストフ・マルロン、パスカルと同じフランス人の青年である。
フランス料理店のオーナーにしては若過ぎる、二十五歳の青年であるが、その圧倒的な実力でミシュランを黙らせた実績がある。
「スペシャリテ・フルコースを」
「私も同じものを」
食前酒にこれまた高価な赤ワインを頼む暁人。
「……ってか、今朝から奢ってもらっちゃってるけど、良いの?」
「構わん、それくらいの金はある」
「太っ腹なのねぇ❤︎そう言うところも素敵よ、あなた❤︎」
「ふん……」
まあ、最悪踏み倒せば良いし、くらいに考えているのだが。
因みに、魔人の金勘定については、パズズこと『兆億長者』の金王尋が担当している。
尋は世界の経済の七割を支配しているので、なんでも揉み消せるし、魔人がやらかして破壊した街や人を直す金は全て尋のポケットマネーである。
仮に、ここで請求書を尋に回してくれと暁人が言っても、なんの問題もない。魔人基金の経費から落ちる。
そんな尋も、本人に武力や技術はあまりないので、尋が金を出し、他の魔人が技術と武力を提供するギブアンドテイクになっている。
では、尋はどう言う魔人なのか?
商売の神である。
第二次世界恐慌を未然に防ぎ、世界にバブル期を再来させた偉業から、魔人の一人になったのだ。
尋ならば、アメリカの大統領に靴を舐めさせられる程の金を持っている。
そして、尋は、魔人という、金でどうこうできない強い存在に惚れ込んでいるので、喜んで金を出す。
ホモではないが。
「ほう……!また腕を上げたな、ジャン」
「お、美味しい……!悔しいけど、料理はこっちの世界の方が何倍も美味しいわね」
フルコースは、量が馬鹿にならない。
しかし、大食いの暁人は付け合わせのパンまでしっかりと胃に収めた。
ベアトリクスも、見た目に反して、女とは思えないほどに食べる。
最後に、奥からオーナーのジャンが現れて、暁人に感想を聞く。
「どうでしたか、暁人さん」
「ふむ……、メインディッシュのステーキだが、俺はもう少し焼加減がレアな方が好ましいな」
そんな話をしているジャンに、またもや魔物娘お見合いシートを押し付けるベアトリクス。
さて、午後はどうなるか……。
アニメのドロヘドロ面白かったです。
OPの表情が笑顔のまま猛烈な勢いで餃子を作る二階堂が完全にドロヘドロのノリだった。
今は帰還勇者書けてますねー。
土井中村が学園都市になって、魔法科高校とか建ってます。
そこで、特別講師として雇われた嶺二がなんか色々変な講義をやりつつ、魔法科大学生が5ちゃんねるに降臨しつつ……、みたいな?
あと書くとしたら何だろう、魔法科高校生の生活とかかな?そして人間社会に売られたリビングドールとホムンクルスの生活。それによって増えた失業率とその対策は?人間の仕事を奪いすぎないようにゆっくりと普及させていく。ってかどの道、介護サービス保育なんて人手不足なんだし何人いてもええやろ!
どちらかって言うと群像劇?主人公である嶺二はどうせろくなことしないから、その辺の亜人バックパッカーやら、魔法科大学生やらの視点で、変わりつつある世界について描写した方が面白い説あるんだよなあ。
その後は亜人国家にやって来た人間の観光描写かな?設定考えるの苦手なのに……。
そして一年後、魔法科大学にて留学生の受け入れ……、現れるアメリカ、欧州のエリート達!みたいな。もう魔法科高校のうんちゃらかんちゃらじゃねーか!うどんお兄様?!
そしてまあ、数年後に、魔法科大学生が大学を卒業して、魔法使いが世に放たれ……、有用性を示す。
軍部では魔法兵器が、警察では過去視の魔法による犯人の発見が、既に介護やサービス業でなくてはならない存在になったリビングドールやホムンクルスの整備士、魔法薬の調合師、錬金術師、魔法医学、魔法工学……、各分野で活躍する人間の魔法使い達。
まあ四年くらいじゃそう変わらないのだが、それでも、最低の出生率とか、増え続ける赤字とか、そう言う傾向は魔法バブルで跳ね除け、今の日本とその周辺の友好国は魔法バブルで大盛り上がり!って感じ。
それから十年、日本とその周辺国は、往年のバブルの再来を思わせる好景気に……!!!
それを危険と見たノースコリア君、テポドンぶっ放したー!
マジギレした亜人国家が、今まで亜人国家内に押し留めていた魔素を解放する……!
そして各国に生まれるダンジョン!モンスター!
みたいな話になる……、のかなあ?