ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ヴィンランド?!

……ヴィンランド?!!


世界の歪みそのもの

「……嫌よ!そんなこと、私にはできない!」

 

拒否であった。

 

「ほう、お前の愛とはその程度のものか。笑わせるな」

 

「違うでしょう……?なんで分かってくれないの?!」

 

「何が違うんだ?本当に愛しているなら、愛している男の言うことを何でも聞くものだろう?」

 

「違うっ!!!本当に愛しているのなら!愛する人の間違いを正してあげるものよ!!!」

 

「間違い……?笑わせるな」

 

暁人は、詠唱もせずにバルムンクを魔力に戻す。

 

そして一言。

 

「俺は何も間違えない。今までも、そしてこれからも」

 

その言葉には、悪意は一切なく。

 

例えば、「鳥は空を飛ぶ」だとか。

 

例えば、「冬は寒い」だとか。

 

そんな、まるで当たり前のことを述べているかのような口ぶりであった。

 

邪悪。

 

限りなき闇。

 

真なる悪。

 

あちらの世界の神を鼻で笑えるくらいのドス黒い悪意を感じたベアトリクスは、一瞬鼻白む。

 

「……いいえ、貴方は間違ってる」

 

だが、すぐに言い返した。

 

「そうか、つまりお前は、俺に逆らうのか」

 

「は……?」

 

「死ね」

 

暁人は、ベアトリクスを殴りつけた。

 

その威力は、人間相手なら、胸骨を陥没させ心臓を潰すほどの一撃であった。

 

「くっ!」

 

しかし、ベアトリクスとて、魔王の落とし子たるリリスである。

 

人間が死ぬ程度の威力であれば充分に防げる。

 

「俺を愛しているなら、俺のためにおとなしく死んだらどうだ?」

 

「どうして……、どうしてそんな悲しいことを言うの?」

 

「簡単な話だろう?役に立たない道具は処分するんだ。整理整頓は苦手か?」

 

「私は貴方の道具じゃないわ!」

 

「違うな、この世界の全てが俺の道具だ」

 

「違う!それは間違いよ!」

 

「二度同じことを言わせるな。俺は何も間違えない」

 

あまりにも酷い認識だ。

 

人を人とも思わぬこの思考回路。

 

ベアトリクスは思った。

 

このままではいけないと。

 

「『レベルドレイン』!!!」

 

ベアトリクスは暁人に口づけをすると同時に、レベルドレインの術式を発動。

 

暁人から力を奪おうとした。

 

だが……。

 

「ぁ、あ、あ、いやああああああっ?!!!!」

 

レベルドレインとは、相手の経験を奪う魔法である。

 

経験を、だ。

 

暁人の経験とは、死、絶望、痛み、怒り、殺意、虚無……。

 

経験、その全てが闇に満ちていた。

 

流れ込んできたのは深い、深い闇。

 

禍時の空よりなお暗い、月のない夜よりなお昏い。

 

乾いた血のような、ドス黒い経験が流れ込んできた。

 

ほんの、0.001%にも満たない、ほんの少しの経験だけでも、その底の見えない深淵を見つめてしまったベアトリクスは、深淵から覗き返された。

 

「いやっ!いやあああああっ!!!」

 

口の端から泡を吹きながら髪を掻き回し、半狂乱になるベアトリクス。

 

「ハハハハハ……、お前は本当に、心底愚かな女だよ、ベアトリクス。レベルドレインか、そんな芸当もできるんだな」

 

何とか正気を取り戻し、我に返ったベアトリクスは、暁人を見つめた。

 

「……何よ、あれ」

 

「素晴らしい記憶だろう?俺の人生は中々に面白い。なんなら、自伝でも書いてみようかと思うほどにな」

 

「真っ暗闇よ……。何もないの。ただ、そこには、苦痛と悲鳴と、渦巻く殺意しかないの。暁人、貴方の心は……」

 

「苦痛などすぐに感じなくなる。痛みは連続して経験すると慣れるものだ。悲鳴は心地が良い音だ。聞いていると心が安らぐ。殺意はぶつけるのもぶつけられるのも中々に乙なものだ」

 

「そん、な……」

 

とてもじゃないが、分かり合えない。

 

魔物娘でも、人間でもない、全く別の生命体を見ている気分だ。

 

「ふむ……、それを言えば、そのトカゲ女からは殺意を感じなかったが」

 

「当たり前でしょう……?最初から、アカムは貴方を殺すつもりなんてなかったんだから」

 

「そうか……、つまらんな」

 

暁人は軽く欠伸をした。

 

「今日は休暇だ。馬鹿女には構ってられん。映画でも見に行くか」

 

そう呟いて、暁人は去って行った。

 

「暁人……、どうして……?」

 

ベアトリクスの悲しげな言葉は、風に流された。

 

 

 

その次の日のことである。

 

今日の暁人は、九頭龍高校で酒を飲みながら麻雀を打っていた。

 

レートは基本的に、現代麻雀の連載漫画並みの高レートだが、魔人はまさに売るほど金があるのでなんの問題もない。

 

魔人にとって金とは、テレビゲームのスコアのようなもの。

 

あってもなくても困らない。

 

もし、魔人を動かしたいのであれば、魔人が欲するものを用意しよう。

 

まあ、それは、基本的に金で買えないような貴重品ばかりなので、つまり魔人を人間ごときが動かすことはできないってことなのだが。

 

セレブが飲むような上等なウイスキーを舐めるように飲み、アルコールの混じった息を吐く暁人。

 

卓を囲っているのは、マスティマ、アーリマン、トウテツと、ルシファーたる暁人。

 

魔人はそもそもが知性派が多いので、この手のギャンブルは異常な読み合いになる。

 

暁人も、確実に勝てるかは分からない。

 

まあ、勝てるか分からないからゲームとして成立するのだが。

 

運の要素も絡むので、魔人の中でも最高の知性を持つ千景も、確実に勝つ訳ではない。

 

「ツモ、役満」

 

暁人が上がった。

 

「うわ、リーチ一発とか」

 

「運が良かったな」

 

「リーチ一発役満とか、ホールインワンみたいなもんじゃろ。なんかくれ」

 

「裏ドラは……、お、悪いな、梓豪、お前飛んだぞ」

 

「うわわ!やられたのう!チィッ、持ってけ!」

 

アタッシュケースを渡される暁人。

 

賭け麻雀の額じゃないだろそれ、というツッコミをしてくれるツッコミ要員がいらっしゃらない。

 

「おおい、メシ、できたぜ!」

 

「おお!今日はなんじゃろなあ!」

 

ニスロクことパスカルが山盛りのデカい肉まんを持ってくる。

 

「今日は肉まんを中心に点心尽くしだ!もちろん、菜と湯(主菜とスープ)と茶も用意したぞ!」

 

「おおー!ピザまんはあるかのう?」

 

「あるぜ!」

 

「そもそも何でピザまん?邪道では?」

 

アーリマンが言った。

 

「儂は三千年前から中華料理食っとるんじゃ!たまには新しいものが食いたい!」

 

トウテツが言った。

 

「まあ、良いじゃねえか。ピザまん、美味いしな。あんまんある?」

 

マスティマが言った。

 

「もちろんあるぜ!」

 

そして、匂いにつられて、教室内で遊んでいた、登校していた魔人が集まってくる。

 

「「「「いただきます」」」」

 

「おお……、美味いな」

 

「んー!美味いぜ!」

 

「良いねえ」

 

「おほー!美味いのう!」

 

魔人連中は常に、世界を飛び回ったりしているから、何かと体力を使う。

 

体力を使うと腹が減る。

 

故に、魔人は皆、大食漢である。

 

暁人は、コンビニのものなんかよりも大きくて、具もたっぷり詰まった角煮まんを、大きな口でかぶりついた。

 

ほんのりと甘く、もっちりとした皮に、甘しょっぱい角煮の味。

 

さしものさしもの魔人たる暁人も、その料理の味には感動を覚えた。

 

暁人は、人間は好きではないが、人間の作り出した、料理や音楽、文学などの文化は嫌いではない。

 

ましてや、料理人はあの、ニスロクことパスカル・ドゥランである。

 

暁人も、他の魔人達も大いに感動していた。

 

これが、九頭龍高校特進クラスの日常である。

 




最近、暑かったり寒かったりして大変だよね。

それはそれとしてヴィンランドサガ読もう。面白そう。



さて、Twitterの質問箱にわざわざ、「旅人FGOの続きないんですか?」と質問して来た強い人がいたので、急遽書き上げた旅人FGOを、このラブのないラブコメの書き溜めを吐き終わった後に3話だけ投稿します。

まあ……、確かに、ローマ編の途中で終わってますから、ローマ編の終わりまでは書いておきますよ。

で、その後に帰還勇者を投稿、と。

そんなスケジュールで行きます。
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