大魔導師、バレる
転生特典？あー……、じゃ、魔法で。
は？
アバウト過ぎるからこっちで調整する？おいちょっと待……、な、なんだ？！
て、てめーは、マーリン！パラケルスス！メディア！そしてソロモン？！何？魔法を教える？魔神柱顕現が目標？！マジで？！
お、お前は？！著作権的にヤバい方のマーリン？！！ヤバい、これはヤバい！！◯ッキー？！ヤバいヤバい！！
ビッグハットローガン？！ソウルの魔法だと？！それってヤバいやつじゃ……。
エヴァンジェリン？！ネギ君？！！マジで？！
うわあああマジレンジャーうわあああ！大ファンでしたぁぁぁ！！世代でしたぁぁぁ！！！
指輪の魔法使い！！！
リナさんんんんん！！！え、ドラグスレイブ教えてくれんの？！！マジで？！リナさんんんんん！！！
さくらちゃんんんんん！！！マジでか？！カードをキャプチャーしてええええ！！！
まどかとほむほむやんけ！！！
ダークシュナイダーさん！ダークシュナイダーさんじゃないか！！！ダークシュナイダーさんだ！！！
ククリちゃん！うわあ、本物は可愛いなあ！！
大十字九郎？！マジで？！嘘だろ？！！
だ、大魔導士ポップとffのビビ？！魔法教えてくれんの？！嬉しいんだけどマジで！！！
なのはさん！最早魔法少女じゃないなのはさんじゃないか！！フェイトも？はやても？！
エリアス、って、魔法使いの嫁か？！
おっ、おまっ、お兄様？！お兄様じゃねえか？！マテリアルバースト教えてくれる？！マジで？！
る、ルイズ？！虚無の魔法教えてくれる？！いやあれ、血統とかのアレなんじゃ、え？転生によってあらゆる魔法の才能がインプットされてる？
めぐみんかぁ。
ドクター・ストレンジまで？！！
ハリー？！
アインズ様！
水銀んんんん！！
アンブラの魔女！！！
アレイスター・クロウリー！！！！
はぁ、はぁ……。
数百年……。
数百年も修行したのか、俺……。
ん？何だアレイスター？マーリン？
何々、教えられることは全て教えた、後は自分で魔術の神髄を極めろ？
……ああ、分かったよ。
好き勝手、やらせてもらうさ。
これだけの力を得たんだ、俺は……！
×××××××××××××××
「明星真凛は大魔導師である」
私、結城友奈の知り合いの男の子、真凛君が言っていたのを聞いたことがある。
真凛君は、私の席の隣の子で、いつも何を考えているのか分からないふわふわした目とちょっとだらしない服装と髪型の男の子だ。
いつも遠くを見ていて、ミステリアスな雰囲気だから、それがカッコいいって言う子も少しいる。
私も、ちょっとカッコいいと思うけど、だらしないところは直した方がいいんじゃないかなぁ、とは思う。お互いに、ね。
……そして、その言葉の意味は、分からなかった。
もしかしたら言葉通りの意味なのかもしれないし、冗談のつもりなのかもしれない。
ただ、真凛君は、その後に言ったのだ。
「この世界は終わっている。俺は新しい世界を作る」
と。
……「……ふうん、おかしな子もいるものね」
私の所属する、困っている人を助けるための部活、勇者部で、その話をしたら、風先輩はそう言って少し笑った。
……「ちょっと怖いですね、この世界が終わってる、なんて」
風先輩の妹、樹ちゃんは少し真に受けてしまったみたいだ。
……「せ、世界を作る、とは、大きく出ましたね……」
東郷さんもびっくりしていた。
私自身は……、やっぱり、「あ、ちょっと変な子なんだなー」、くらいに考えていたと、思う。
でも、今は……。
真凛君の言葉も、強ち間違いじゃなかった。
そう、思ってる。
バーテックス……。
神樹様を脅かす、恐ろしい敵。
そんなものが存在していたなんて……。
少し、怖い……。
けど、皆んなを、世界を守るために戦いたいと、そう思った！
そして……。
「これは……！」
二度目の樹海化現象。
奴らが、来る……！
「友奈ちゃんを、いじめるなぁぁぁ！！！！」
三体のバーテックスとの戦い。
私達勇者部は追い詰められていた。
そんな中、エビみたいなバーテックスに酷く追い詰められた私。
「うわあっ、あぐっ……！」
ま、不味い、身体が、動かない……！
でもその時、東郷さんの声が……！！
「友奈ちゃんはいつも私を守ってくれた！だから、今度は……！！」
光と共に……！
「私が守る！！」
変身した東郷さんは、私のことを助けてくれた！どうやら、東郷さんの武器は銃らしい。
「ありがとう！東郷さん！」
そして、バーテックスに追われる風先輩と樹ちゃんと合流して……。
「遠くの敵は、私が狙撃します！」
「東郷、戦ってくれるの？」
「ええ、援護は任せて下さい！」
東郷さんが援護してくれている間に、私達は残り二体のバーテックスを相手しなきゃ！
まずは、封印してぇ、っと……？
「おいおい、お前ら。こっちに吹っ飛ばすんじゃねえよ」
真凛、君……？！
「折角美少女戦士の魔女っ子変身ショーが見れると聞いて飛んでこればこれだ」
「何で、ここに？」
「あれ、友奈には言っておいたろ」
ま、さか。
そんな。
つまり。
「明星真凛は大魔導師である……？」
「……なんだ、分かってるじゃねーか」
「ッ、と、兎に角！何でここにいるのかは後で聞くとして！一般人はここから離れ……、危ない！」
エビのようなバーテックスの触手のような部分が真凛君に迫る。
「真凛君っ！！！」
『ナーク＝ティトの障壁』
「ッ！嘘でしょ？！」
ぼんやり光る浅葱色の魔法陣が真凛君の前に現れる。そしてそれは、私のことを軽々吹っ飛ばしたエビみたいなバーテックスの尻尾の一撃を容易く受け止めた。
「おいおい、観客に手ェ出すんじゃねえよ。でもまあ、一発は一発だ。殴り返すぜ」
そうして真凛君は、バーテックスに対して指を向けると。
『カイザーフェニックス！』
「綺麗……」
「火の、鳥……？！」
『ーーーーーッ！！！』
真っ赤な火の鳥が現れ、バーテックスを焼き尽くした……？！
「何だよ、割と脆いな」
「嘘、でしょ……」
風先輩は酷く驚いていた。
それもそうだろう、私達では封印して核を引き出さないと倒せない、ダメージを与えても無限に再生するバーテックスを、圧倒的な火力で、一撃で消しとばしたのだから。
「ん？何だよ、早く戦えよ、勇者部」
「えっ、あっ、う、うん！！」
真凛君にそう言われて、我に帰った私は、急いで封印の儀を行った。
「友奈ー、頑張れー」
「え？うん！」
見ると、真凛君は、空中に浮いている玉座で、ワインを飲みながら私達を応援している。
え？え？え？
分からない、分からない、分からない。
これはどう言う状況なのだろう。
「ほら、結城友奈！気合い入れろ！」
「わ、分かった！うおおおお！！！」
残ったバーテックスを封印する私。
露出した核に向かって拳を振り下ろす！
「えい！！！」
良し！砕いた！
「ブラボー！」
「え？えっと、ありがとー？」
「ほら、他の連中も頑張れー！」
「い、言われなくても！」
言い返す風先輩。
……そして、三体目のバーテックスも倒した私達。
「おー。中々に面白い見世物だったよ」
「見世物ですって？！」
風先輩が怒ったように声を荒げる。
必死に戦った私達をからかうような言い草に、私達はちょっとムッとした。
「ああ、悪いな、言い方が悪かったか。でもまあ、愉快なのは確かだ」
謝罪を受けて、少し気を落ち着かせた私達は。
「真凛君、貴方は、一体……？」
「言ったろ、友奈。大魔導師なんだよ、俺は」
えー……。答えになってないんだけどなぁ。
「そんなこと……、大赦からの報告も何もないし……」
「風だったか？当たり前だろ、態々大赦の馬鹿共に俺の力を教えるか。絶対に協力しろってせっつかれるだろ」
「……私も大赦の人間なんだけど」
「はっはっは、馬鹿だなー、お前。あんな底意地と性根が悪い組織に顎で使われるなんて。いつか絶対後悔するぜ」
「ねえ友奈こいつムカつく！！」
「真凛君、酷いよ！」
しかし、真凛君は聞いてない！
「いやあ今日は面白かったな。カッコよかったぞ美森」
「え？はい？あ、ありがとうございます？」
「樹も綺麗だった」
「あ、はい。えと、ありがとうございます？」
「風もな」
「な、何なのよ？……ってか年下でしょ？呼び捨てなのやめてよ」
「馬鹿言うな、俺の方が遥かに歳上だぞ。魔法で若返ってるに決まってんだろ」
な、なるほど？だからお酒飲めるんだね？……って、今現在は中学生なんだからお酒はやめた方が。
「あの、お酒は……」
樹ちゃんがおずおずと言い出す。
「うん？お前も飲むか？」
「ええっ？！い、いや、やめた方が良いですよ、って……」
「無理無理、酒と煙草はやめらんねーのよ」
「た、煙草まで……」
「結局、貴方は、何者なんですか」
東郷さんが尋ねる。
「聞けば何でも答えてもらえると思うな」
「ッ……！」
「と、言いたいところだが、美森は美人だし、胸もデカイ。良いぜ、教えてやるよ」
「なあっ？！」
顔を赤くする東郷さん。
「セクハラよ！」
風先輩が噛み付く。
「あー、すまん。基本的に俺はコミュニケーションが苦手だから。俺の作ったホムンクルス達も皆んな俺の言うこと聞くし、誰にも怒られないし」
「ホムンクルス？」
「魔法でできた生命体のことさ」
「？」
「作ってみせようか」
真凛君が指パッチンを鳴らすと、間の抜けた小さな爆発音と共に、可愛らしい妖精さんが生まれた！
『こんにちは！私、ピクシー！』
「す、凄い、妖精さんだ！可愛い！」
「う、嘘よ、これは、ほら、立体映像とか……」
風先輩は信じられないみたいだ。
「お前がどう感じようが、俺は大魔導師だよ。あー、俺のことだったな？俺は今から十三年前、この世界に転生してきた。何でかは聞くなよ、俺にもよく分からんからな」
「はあ……」
「だけどな、俺がこの世界に来た頃には既に、この世界は終わっていた。だから今、俺は、新しい世界を作っている。理想郷だ。お前らも来るか？」
「何を、言って……」
「いや、お前らはこの終わった世界で必死に戦ってるのが似合いか」
「世界が終わっているとはどういうことですか？！」
「俺ぁ、アーマードコアとかが好きでね。終わった世界で必死に足掻く、良いじゃねえか」
「答えになっていません！！」
「詳しく教える気はねえよ」
そう言うと、不思議な力で空に浮かんだ真凛君は、そのまま飛んで行ってしまった。
「ま、待って！！」
「兎に角、お前らが戦う姿は美しかった。生命の輝きがあった。また見にくるからな。じゃあな」
「……真凛君、行っちゃったね」
「不思議な人でした……」
「何者、なんでしょうか」
「取り敢えず、大赦に問い合わせてみるわ」
疑問は残るけど……、今回も何とか、バーテックスを倒せた。
真凛君については……。
「明日、クラスで話を聞いてみます！」
「答えてくれるかしら……」
東郷さんが憂いを帯びた声で言う。
「東郷先輩が美人だから答える、とか言ってましたよね？友奈さんも可愛いから答えてくれるかも……」
樹ちゃんがそう言った。
「そ、そうかな、えへへ」
兎に角、明日だ。
ゆゆゆ、まだ全部見てません。一応オチと大まかな流れは知っているんですけど。