ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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最近暑いっすね。


7話 ギラとの生活

「……んん?」

 

「ぐー、ぐー」

 

朝起きたら、リビングに寝せておいたはずのギラが、俺のベッドに潜り込んでいた。

 

なんだこいつ。

 

慎みってもんがねえのかよ。

 

頬をつねる。

 

「いちゃい!」

 

はあー?

 

女の子かこいつは?

 

本当にドラゴンか?

 

まあ、服ひん剥いて下着を見たら、ちんちんが付いているようなシルエットはなかったが。

 

「おはよう」

 

「おはよ……、って貴様!この馬鹿者めが!」

 

「は?」

 

「何故、我を一人にした?!」

 

「いや寝てたし」

 

「知らないところで一人にされて怖かったのだぞ?!しかも、何故だか、建物を破壊できない《契約》が勝手にかかっているし!」

 

あ、制限はちゃんと効いているのか。よかったよかった。

 

「って、ドラゴン様が一人じゃ寂しいのかよ」

 

「そうではないわ!契約者となれば一心同体だろうが!我をほっぽり出して、このような上等なベッドに寝るとは、なんたる不敬か?!我は最果ての黒龍であるぞ?!」

 

「あーはいはい。それより、怪我は?」

 

「む、あんなもの、肉を食って一晩寝れば治るわ」

 

「トカゲの尻尾みたいだ」

 

「ドラゴンだ!」

 

「あーはいはい、飯にするぞ」

 

「わあい」

 

俺に引っ付くギラ。

 

「自分で歩けよ」

 

「歩くのは得意ではないのだ、いつも飛んでおるからな」

 

「じゃあ飛べよ」

 

「家の中で飛ぶ訳にいくまい」

 

「はー……、まあいいや」

 

ギラを抱っこする。

 

 

 

そして、キッチンで料理をしてから、朝食にする。

 

ギラにもフォークとナイフを持たせた。

 

人間の姿でいるのであれば、人間のマナーを守れ、と。

 

割と器用らしく、そこそこにぎこちないが、フォークとナイフを使って食事をするギラ。

 

18ほどの高貴そうな女性が、ナイフとフォークで四苦八苦しながら食事をする姿はちょっと可愛い。

 

「はぐ、はぐ、もぐもぐ。おおー!お前はこんな上等なものをいつも食ろうているのか?!贅沢だなあ!」

 

大喜びでソーセージにかぶりつくギラ。

 

「野菜もこれまた上等だ!甘く、えぐみがなく、青臭くない!パンも柔らかく真っ白だ!」

 

「そりゃ、異世界から来たからな」

 

「……なんと言った?」

 

「異世界から来たんだよ、俺は」

 

「……ははあ、通りで。貴様は、遙かから来たりしもの、『転移者』か」

 

ふむ……。

 

転移者、か。

 

「転移者とは、遙か彼方から現れる、摩訶不思議たる人間を指すのだ。天稟のしるしたる『スキル』を持ち、世を大きく動かすものよ」

 

「転移者はどんな条件で現れるんだ?」

 

「分からぬよ、とんと分からぬ。世界は気まぐれだからな。五十万年の時を生きたこの我にも分からぬのだから、誰にも分からぬだろうな」

 

だが、とギラは言葉を続ける。

 

「だが、世界の気まぐれで呼び出されること以外にも、『勇者召喚の儀』というもので呼ばれることがある」

 

「勇者召喚の儀?」

 

「人間が生み出した外道の業よ。贄を使い、世界の外側から転移者を引っ張り出す業だ」

 

ふーん、まあ、俺には関係ないな。

 

「まあ、貴様はどう見ても、野良の転移者だな。好きに生き、好きに死ねばよい。だがな、転移者であるならば、貴様が動けば世界も動くと知れ」

 

そんなことは知らんので、俺は好きなように過ごすつもりだが。

 

「お代わりいるか?」

 

「む、血は戻った故にな、あまり量は食わずともよいのだ。……だ、だが、くれるのであればもらうぞ?!」

 

あらそう。

 

「じゃああげない」

 

「うぅ〜……」

 

ふぅ……。

 

しょうがねーなー。

 

「ほらよ、作り置きのハムだ」

 

「わあい」

 

 

 

「ほらこい、走るぞ」

 

「えー」

 

「運動だ運動、太るぞ?」

 

「ドラゴンは太らぬわ!」

 

「あっそ、じゃあその辺で遊んでろ」

 

俺は朝のランニングを始める。

 

異様に体の調子が良く、普段走る距離の三倍近い距離を駆け抜けた。

 

日課のモンスター狩りも終えて、楽器を弾く。

 

「おお、上手いものだな」

 

「そりゃまあ、紳士の嗜みみたいなもんだよ」

 

「紳士とな?貴様、貴族か何かか?」

 

「貴族ではないが……、まあ、国を相手に商売するような大商人だよ」

 

「ほほう、そうなのか。よほど、金とやらを持っていたのだな」

 

そして、昼食。

 

作り置きされていたパテを焼いて、パンズを焼いて、輪切りにした野菜を挟んで、チーズとピクルスも挟む。

 

一つで満腹になるような大きなハンバーガーを二つ、山盛りのポテトとアメリカサイズのコーラを添えて食べるのだ。

 

「あーーー……、むっ!」

 

深紅の髪の令嬢の姿をとるギラだが、口が大きく目が鋭いところや尻尾などの、ドラゴンの特徴が隠せていない。

 

深窓の令嬢、と言った面構えをしてはいるが、その大きな口でハンバーガーにかぶりつく姿はやはり、ドラゴンなんだなと思わせる。

 

「んんー!うまっ!この肉も柔らかで美味いが、この黄色いのや酸っぱい野菜も美味い!」

 

「お前普段何食ってんの?」

 

「むー?まあ、その辺のモンスターや木とかだな」

 

「そんなもん食ってんのか……」

 

「この姿の時は燃費が良いので、あまり食わずとも済むのだ」

 

「って、それだよ。なんでお前、そんな美人な女の子になってんだよ?」

 

「おお?我はかわゆいか?ん?んー?」

 

「可愛いけどさ」

 

「ふふふ……、高位のモンスターともなれば、姿形に意味などないのだ。あの時は、戦うためのドラゴンの姿だったが、今は、貴様と共に生きるための女の姿をとっている。それだけだ」

 

「ふーん?」

 

「ああ、あらかじめ言っておくが、我は雌であるぞ。紳士と嘯くなれば、女子である我に優しくせねばならぬなあ?」

 

「えー、でもお前ドラゴンじゃん」

 

「いやいや、我も餓鬼ではないのでな、猫可愛がりしろとは言わぬ。ただ、美味い飯を食わせて、あとはほどほどに構ってくれればよいのだ」

 

「そんな犬猫みたいな生活で良いのかよ……」

 

 

 

昼食後は、ギラにこの世界のことについて聞く。

 

しかし、ここから南、すなわち大陸の中央部と、西の方に魔族が住んでいることと、南と東には人間が住んでいるということ、大陸の中央で、魔族と人間が争っていることしか知らないとギラは言う。

 

そして、ここは最果ての荒野と呼ばれる地で、大陸の最北端に位置するらしい。

 

今は春だが、冬は大雪、夏は乾燥、作物もろくに育たないが、地に満ちる魔力が豊富で、様々なモンスターが現れるそうだ。

 

ドラゴンだから賢いのかなと思ったのだが、人間の世の中のことについては何も知らないとギラは言った。

 

「はぁ?使えねーなお前」

 

「な、なんだその言い草は?!」

 

「じゃあアレだ、魔法教えろよ、魔法」

 

「いやいや……、真名なき者である貴様が、どうやって魔法を使うと言うのだ?」

 

「は?」

 

は?

 




思いつき集だから思いつきを書かなきゃなーって。
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