ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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アカネチャンカワイイヤッター。


6話 目標設定

シルヴィア・セフィラ・エル・レーベリオン公爵。

 

討ち死にしたアーバン王国の現王、アロイ王に代わって、亡国アーバンの再興を目指す。

 

最高に面白いストーリーだと思わないか?

 

王朝再興、義勇軍、そう言った言葉を聞くとワクワクしてこないか?

 

俺は今、伝説の始まりをこの目で見ている!

 

 

 

「では……、大まかな予定を話そう。随時、質問をしてくれ、ザバ」

 

シルヴィアが口火を切った。

 

「まず、お前のえいせいしゃしん?とかいう地図によると、ここはヤツン草原だ」

 

「なるほど」

 

そして、シルヴィアがペンで衛星写真に線を引く。

 

「このヤツン草原の北にある小さな国がアーバン王国で、その北にある中くらいの国がミリシア教国。そして、東側がオルベック王国……、この島々もオルベック王国の属国だ。西側がカロン王国を主とする小国群、更に西がアストニア王国。南側もバランシア帝国を中心に小国群がある」

 

「……大国に囲まれて、よく存亡していられたな」

 

「何故かというと、アーバン王国は傭兵国家だからだ。周辺国は何かと戦争が絶えなくてな、麦のとれにくいアーバンでは、傭兵業でやっていくしかなかった」

 

「それなのに負けたのか?」

 

「ああ……、教国は、偽りの依頼で我々傭兵貴族を南側に呼び出してから、本隊の聖騎士を使って、宣戦布告もなしに王都に進撃した。我々が王都に戻った時には、根伐りにされていたのだ」

 

「気を悪くしないで欲しいが、騙された方にも非があるだろう」

 

「その通りだ、戦場で卑怯は美徳だからな。策に負けた我々が悪い。……そして、王は討ち取られ、貴族達はそれぞれ、流浪の傭兵団として各地に散ったそうだ」

 

なるほどなるほど。

 

となると……。

 

「じゃあ、仲間を集める?」

 

「いや……、集めても、養えないからな」

 

ああ、そうか、兵糧とかそう言うやつか。

 

基本的に団体行動をしない九大天王の俺には無縁の話だから、よく分からないな。

 

ぶっちゃけ、ハートの女王を使えば兵糧問題は解決するだろうが……、完全に俺頼みでは持続性がない。

 

もしも俺がいない時にはどうするのか、という問題が出てくる。

 

「だから、仲間を集めて養えるくらいの金を稼ぐ」

 

「どうやって?」

 

「冒険者だ」

 

冒険者!

 

典型的な古典ファンタジー!

 

「詳しくないんだが、冒険者として名を挙げると貴族になれるとかそういう……?」

 

「その辺りは難しい話なんだが……」

 

つまりは、貴族になれるまでの功績を挙げられるような冒険者は大抵、貴族の血統にあるそうだ。

 

そりゃそうだ、搾り取られるだけの民草、平民では、剣術の訓練をして育った訳でも、家庭教師に魔法を教えてもらえる訳でもない。

 

そして貴族の血統ともなれば、遺伝的に魔力も多く、幼い頃から腹一杯食えるので身体も大きく、力が強いし丈夫。読み書きや計算もできる。

 

となると、必然的に、幼い日から訓練を受けていた貴族の次男三男辺りが功績を挙げることになる場合が多い。

 

その場合は、血筋も良くて、冒険者として培った戦闘経験や人脈もあり、読み書きもできるから、すんなりと貴族になれるそうだ。

 

つまり、元公爵様のシルヴィアは、功績を挙げれば貴族になれる可能性が高い訳だ。

 

俺はどうだか分からない。

 

「とにかく、バランシア帝国で貴族になろうと思う。帝国は実力主義で、その上、各地の侵攻に意欲的で土地も余っているそうだ。思想的にも、アーバンと似通った部分が多く、色々とやりやすい」

 

なるほど。

 

とりあえず、その方針で良いだろう。

 

「異論はないよ」

 

「ありがとう」

 

その時、シルヴィアの腹の虫が。

 

「あ……」

 

「腹減ったのか?」

 

「ああ、まあな、しばらく食べていなかった」

 

そうか。

 

それを言えば、俺も腹が減っている。

 

「じゃあ、これを」

 

俺は食べようと思っていた『フランス共和国軍レーション一号』を出す。

 

これは、バニラで一番うまいレーションだ。

 

そもそも、ニュークリアデターランスの世界の飯は不味い。

 

リザードモールの角切り串焼きやら、ビッグローチのモモ肉焼きやら、トゲキノコの煮込みやら……。

 

基本的にクソ不味いのだが、その中でも、大日本帝国軍の缶詰や、フランス共和国軍のパック料理は結構美味いと評判なのだ。

 

まあ、Ω鯖では、数多くいる変態集団の中でも、美食に魂を売った連中である『セントジョージ・キッチン』というクランは、MODで本格フランス料理やら懐石やらを再現しやがったのだが。

 

あいつらの正体は有名キッチン勤務のリアル料理人と聞くが、真相は闇の中だな。

 

とにかく、セントジョージキッチンの連中が配布したお料理MODを使えば、かなり美味いものが作れるのだが、それには、ちゃんとした拠点のちゃんとした調理器具が必要だ。

 

ここで作るのはめんどくさい。

 

どうしても本格フランス料理を食べたくなったのであれば、設備がある衛星基地に戻れば良いだろう。

 

「それは?」

 

「飯だ」

 

「どこがだ、鉄の円柱と四角い鉄の箱、そして紙の箱だろう?」

 

さて、この小屋には一応、かまどを設置してある。

 

ここで缶を温めよう。

 

PSYで薪に火を点ける。

 

「無詠唱か」

 

「いや、これは魔法じゃない」

 

「何……?いや、確かに、魔力の動きはなかった」

 

「PSYという、超能力だ」

 

「超能力……?魔法と何が違う?」

 

「魔力の動きがなかったんだろう?つまりは、魔力は使っていない訳だ。PSYはスタミナを消費する」

 

「興味深いな」

 

そんなことを言いながら、五分ほど缶を温めた。

 

高性能合金を使っているので、缶の外側はほどほどに温かいのだが、缶の中身の食材は熱々になっている。

 

俺は、テーブルの上に缶を置く。

 

円柱の缶は『豆とキノコのスープ』、長方形の缶は『牛肉のラビオリ』、紙の箱には『エネルギーバー(チーズ味)』と『キャラメル』が入っている。

 

ついでに、

 

「これは、ここのところを立てて……」

 

「おお、凄いなこれは。中に料理が入っているのか」

 

「ああ、レーションという。このタイプのレーションは、十年くらいなら腐らないらしい」

 

「それは素晴らしいな、糧食としてバッチリだ……。うむ!味もいいな、これならば、士気も大いに上がるだろう」

 

そう言って、かき込むようにレーションを食べるシルヴィア。

 

品はない、獣のようだ。

 

しかしそれでも、餌を貪る醜い豚ではなく、肉を食らうライオンのようで、その美しさは損なわれていない。

 

「このビスケットも美味い。チーズの味がして、それでいて、小麦の粒子がきめ細かく、ぎっしりとしている。腹にたまる食い物は、それだけでありがたいんだ」

 

「なるほど。やっぱり、シルヴィアも傭兵をやっていたのか?」

 

「ああ、13の頃から十年間、数え切れないほどの戦場に出たさ」

 

ってことは今、23歳か。

 

俺より9歳も年下だな。

 

「そんなにか」

 

「そうとも。時には、敵に糧食を焼かれて、木の根をかじり、ゴブリンを焼いて食ったこともある。食えないというのはどんな拷問よりも辛い」

 

「そうかもな」

 

そんなことを話しつつ、色々と質問する。

 

「なあ、アーバンの傭兵はなんで強かったんだ?」

 

「アーバンの傭兵貴族は銃を使うんだ」

 

「ほお、銃を」

 

「銃弾は鉄のプレートメイルくらいなら貫くからな、槍衾のように並べて銃を撃たせたものだ」

 

スイスかと思いきや雑賀衆だった件。




サマーセールのメトロを買って、マスビルダーとかいうロボゲーを買って……。

何故か今はアカネチャンカワイイヤッターなぱんころを見ている。

いや、ゲーム買ったならやれやーい!

ぱんころ……。


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