ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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なろうに転載したいのだが、その場合、エロ描写を削って書き直さなきゃならない。

辛い。


9話 村へ

一週間ほど、シルヴィアの訓練をする。

 

シルヴィアは、戦いについては天才的な才能があるらしく、照準システムも、レーザー義手も、高周波ブレードも、すぐに完全に使いこなせるようになっていた。

 

本人が言うには、自分で直接戦うよりも、どちらかと言えば軍隊の指揮の方が得意らしい。

 

しかし、戦術レベルの行動には自信があるが、戦略的な行動にはあまり自信がないそうだ。

 

王の血統の公爵と言えども、シルヴィアは政務をこなすよりも前に出て戦うことの方が多かったと聞く。

 

考えるより前に身体が動くタイプとのことだ。

 

だから、政務関係については、王と、優秀な王子がやっていたらしい。

 

「はあっ!」

 

「うおっ!」

 

手元の竹刀を弾かれる俺。

 

「ふむ……、苦手だと言う割にはそこそこにやるな。うちの一般的な騎士くらいの腕はある」

 

「そうかい。いやあ、負けた負けた」

 

今、人間レベルまで身体能力を落として、竹刀で実戦形式の試合をしたが、シルヴィアはかなり強かった。

 

その腕は、流石に、Ω鯖でぶいぶい言わせてたリアルサムライ共ほどではないが、その剣の腕前は、Ω鯖の修羅でも中位に位置するくらいだ。

 

ラストサムライとあだ名される、九大天王のハルトほどじゃあないんだが。

 

ハルトはマジやばい、あいつはマジで頭おかしい。

 

武器以外はほぼバニラ性能なのに、リアル剣術スキルのみで機動要塞すらぶった斬るバケモンだぞ。

 

そして、Ω鯖名物、リアルサムライ同士の果し合いも、いつもハルトの話題で持ちきりだ。

 

Ω鯖の修羅達は、もう千回以上果し合いをしているけれど、ハルトは一度も負けてない。

 

まあ、あんなバケモンと比べられても、シルヴィアも困るだろうからその辺は良いだろう。

 

「まあ、剣の腕なんてものはすぐに使えなくなる。銃が進化すれば、そもそも刃物を持ち歩くことすらなくなるかもしれんぞ?」

 

おや、鋭い意見だ。

 

未来を見据えているのか。

 

「俺の世界では、銃よりももっと射程が長く、堅牢な城も焼き尽くすほど熱く、どんなに離れていても自動で追いかけて、おまけに毒もばら撒く武器が大流行してたよ」

 

核ミサイルって言うんですけどね。

 

「くはははは、そうなったら、我々傭兵の仕事もなくなってしまうな」

 

「そんなことはないさ、そんな武器があっても、人間って生き物は致命的なまでに愚かだ。戦争ってのはどこを見てもいつでもあった」

 

そんな話をしつつ、撤収準備。

 

小屋は残していくことにした。その中に、シルヴィアのサインを消えないインクで残して。

 

もし、アーバンの傭兵貴族がこれを見れば、シルヴィアの生存を知れるだろうから。

 

 

 

さて、こちらの、チカチカ光るエネルギーラインが目に優しくないジープみたいなの。

 

反重力発生装置で宙に浮くこれ、名前をロードランナーと言うのだが、それに乗って二人で移動している。

 

最高速度は時速三百キロくらい出るんだけど、安全運転で百キロくらいで移動中。

 

シルヴィアは、中々に可愛げがない女で、このロードランナーの扱いもすぐに覚えてしまった。

 

あわよくば操縦を教えながらボディタッチとかしようと思ってたのにな。残念無念。

 

今運転しているのは俺だが、シルヴィアも普通に運転できるようだ。

 

「ははは!速いな!馬なんかよりずっと速い!何より、からくりは疲れないから、いくらでもこき使えて最高だ!」

 

「そうかい」

 

まあ、ロードランナーは滅多なことでは転倒しないし、衝撃吸収装置も付いているから事故が怖くないしで、アクセル回す勇気さえあれば誰でも簡単に動かせるんだけどね。

 

だが一応、安全のためにバリアフィールド発生装置を持たせているから、ロードランナーから投げ出されても死にはしないだろう。

 

ニュークリアデターランスは、世界観的に二十世紀末辺りの現実世界がモデルだから、音楽も二十世紀末に流行ったものがタイアップされている。

 

なので、カーステレオではロックを垂れ流している。

 

「この音楽は良いな、気に入ったぞ」

 

シルヴィアは気に入っているようだ。

 

「そうか、そりゃ良かった」

 

俺は、紙巻きタバコを咥えて火をつける。

 

そして、一息吸ったところで、口元のタバコをシルヴィアに引ったくられる。

 

「おい……」

 

「おお、良い葉を使っているではないか、私にも一箱くれないか?」

 

「全く……」

 

タバコを一箱渡して、新しいタバコを自分用に出す。

 

「灰皿はそこだ」

 

「ああ、ありがとう」

 

 

 

そして、村に到着。

 

「な、何だアレは?」

 

「モンスターか?!」

 

「う、浮いている!」

 

それもそうだ、馬が主流の世界で空飛ぶ車を乗り回したらビックリするに決まっている。

 

しかし、何故村に?

 

街に行けばいいだろうに。

 

「馬鹿か貴様は。街に入るには入門料が必要だぞ」

 

「ああ、なるほど」

 

「……まあ、残念ながら、私には金に替えられるような貴重品はないから、貴様に頼むことになるのだが」

 

「構わんよ、適当に金になりそうなものを出す」

 

「すまんな」

 

価値のあるもの……、金、ゴールドか。

 

適当にアイテムボックスから金延べ棒を取り出す。

 

「すいません、これ換金してください」

 

「待て待て待て」

 

シルヴィアに止められる。

 

「馬鹿か?」

 

「分かってる、ジョークだ。何がいいと思う?」

 

「そうだな、例えば食料とか……、酒なんかでもいい」

 

酒!なるほど!

 

適当に瓶ビールを出す。

 

因みに、瓶ビールは沢山の種類がある。

 

「すいません、ちょっといいですか?」

 

「な、何だ?」

 

「酒を買ってもらえますか?」

 

「あ、ああ……、まあ、構わないが」

 

その時、横からシルヴィアが口を出してくる。

 

「とは言え、貴様はただの村人で、金などあまり持ち歩いていないだろう?多めに酒を売るから、村で買い取ってもらえないだろうか?」

 

「ちゃんとした酒なのか?」

 

俺は、蓋を開けてビールを手渡す。

 

これはバで始まるアレだ。

 

「……美味い!」

 

ビールを一口飲んだ村人は、その味に虜にされて、すぐに村長を呼んできた。

 

村長にも一本無料プレゼントして、味を覚えさせて、最終的に十二本入りを二箱売りつけた。

 

銀貨一枚になった。大銅貨十枚に崩してもらう。

 

貨幣価値について色々と話し合った結果、銅貨一枚で一チップくらいだ。

 

一チップ、と言うのは、ニュークリアデターランスの世界では、通貨は、かつて世界中にカジノを作ったと言う娯楽王アンソニーのカジノのチップだ。

 

アンソニーチップは、中に電子回路が埋め込まれていて、スキャン装置を通せば一目で真偽が分かるから、偽装されない通貨として都合が良かったらしい。

 

まあ、大きな取引になると、金延棒やレアメタル延棒を使ったりするのだが。

 

そして、アンソニーチップ一枚の価値は、大体、日本円にして百円くらいだ。

 

この世界の銅貨一枚で百円ってことだな。

 

そして、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨……、最後に金、ミスリルとなる。

 

つまり、銀貨一枚は一万円ってところだ。

 

街に入るには、大銅貨二枚もあれば良いそうだ。

 

村人に別れを告げて街へ行くことに……。

 




ひょっとして新作は望まれてないのだろうか……?

前に書いたものの続きを求められている?

でもまだもう2、3本新作があるんですが……。

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