ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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梅雨だ。

雨が嫌だ。


10話 街へ

馬車の入門のための列に並ぶ。

 

二人でタバコをふかしながら、しばし待つ。

 

行商人だろうか、いくつかの馬車が、十台そこらくらい並んでいた。

 

土煙を上げずに、馬車の倍以上の速さで地を駆け、街の前で急停止したロードランナーは、商人や門番の度肝を抜いたが、俺とシルヴィアは、我関せずといった風に無視して、列に並んだ。

 

三十分もしないくらい、シルヴィアと談笑しながら待つと、俺達の番になった。

 

俺は、ロードランナーの窓を開けて、二人分の入門料金を門番に手渡した。

 

「待て!この乗り物はなんだ!」

 

「ロードランナー」

 

「何だそれは?怪しいな」

 

「何か問題でもあるか?」

 

「問題は……、いや、だが、そんなものは見たことがない」

 

「北では流行ってるんだよ」

 

「む……、おい!指名手配犯の人相書きを持ってこい!」

 

そう門番が言うと、下っ端門番が羊皮紙の束を持ってくる。

 

そして、門番は、ジロジロと俺の顔を見て、羊皮紙の束を見て……、と繰り返す。

 

「………………通ってよし」

 

「では、失礼」

 

五分後、入門できた。

 

 

 

「まず、どこへ向かう?」

 

「当然、冒険者ギルドだ」

 

「冒険者ギルド?」

 

何だそれは、古典ネット小説か?

 

とにかく、指示通りに、大通りにある石造りの二階建ての建物へ。

 

厩の隣にロードランナーを駐車して、建物を見やる。

 

看板には、剣と杖が交差しているような図形がある。恐らくは、これが冒険者ギルドを表す紋章なんだろうな。

 

「剣は力を、杖は知恵を表すらしい。冒険者はその両方を求められる……、と言うことだろう」

 

看板を見た俺の横顔にそう語りかけるシルヴィア。

 

「そう言えば、冒険者になるのに金はいらないのか?」

 

「いらんぞ、金を取られては冒険者になる者が減るではないか」

 

「減ると困るのか?」

 

「冒険者は一種の棄民だからな。確かに、高ランクの冒険者は、それこそ貴族になったりなど、国に必要な存在となるだろうが、殆どの低ランク冒険者には、街の外に出てモンスターに喰われろと言うのが本音だろうな」

 

「効率が悪いな、そうやって捨てられてきた民の中にも、使えるやつはいたんじゃないか?」

 

「はっ、本気で言っているのか?」

 

まあ、試しに言ってみただけなんだが。

 

「国に一々人材漁りする余裕はなく、第一、冒険者として生き残れない『程度』の人間はいらないってところか」

 

運も実力のうちで、運悪く死ぬようなやつもいらんってことだ。

 

「その通りだ」

 

おーおー、酷えな。

 

「どこの国でも、弱者に居場所はない」

 

「そうか」

 

「だが、少なくとも、バランシア帝国になら、強者となれば居場所ができる」

 

「他の国では強者にも居場所がないのか?」

 

「ああ、特に教国では、神の名の下に皆平等と嘯かれ、どれだけ努力しても権利は得られない。世襲の生臭坊主共が好き勝手に政治を壟断しているのだ。あの国に未来はない、侵略して膨れ上がったら、泡のように弾けるだろうな」

 

「共産主義か」

 

やはり共産主義は害悪だな。

 

そんなことを言いつつ、ギルドの戸を開く。

 

おれが入った時は、ベストにトレンチコートという格好が珍しいらしく、そこそこに注目されたが、シルヴィアが入ると、皆シルヴィアの銀の腕に注目した。

 

「何だありゃあ」

 

「とんでもねえな」

 

「化け物か?」

 

シルヴィアに、好奇と蔑みの篭った視線が向けられる。

 

しかし、当のシルヴィアは、それを涼しい顔で受け流す。

 

俺とシルヴィアは、受付にこう言った。

 

「「冒険者登録を頼む」」

 

と。

 

受付には、まあ、そこそこに可愛らしい、小動物風の雰囲気の女がいた。

 

その女は、背の高く、異風の男女である俺達に戸惑うが、すぐさまに、こなれた営業スマイルを浮かべて対応した。

 

「登録ですね!では、お名前をお聞かせ願えますか?」

 

「ザバーニヤ」

 

「シルヴィア」

 

すると、受付嬢は、さらさらと分厚い台帳に名前と性別を書き入れる。

 

そして、透明な水晶を差し出してくる。

 

「これは?」

 

「魔力紋を識別する水晶玉です」

 

「魔力紋?」

 

「はい、魔力紋は、その人個人を表す魔力の波形です。この水晶玉は、それを数値化しているんです」

 

指紋をマイナンバーにする、みたいな感じか。

 

特に問題はなく登録完了。

 

古典ネット小説では、ここいらでステータスが表示されたりするはずだが……?

 

「では、次はこちらのプレートに血液を一滴垂らしてください。ステータスとレベルを測定します」

 

お、テンプレだ。

 

さて、シルヴィアから。

 

『シルヴィア

Lv:8

 

HP:150

SP:75

 

STR:25

INT:20

AGI:31

DEX:32

VIT:20

MND:18

 

SKILL

剣術:3

銃術:4

格闘:3

指揮:4

算術:2

 

MAGIC

ティンダー

クリエイトウォーター

エンチャントウインド』

 

HPは体力、SPは気力。

 

上から、強さ、賢さ、素早さ、器用さ、体力、精神力。

 

「凄い……!レベル8ですね!レベル8と言えば、Aランク冒険者相当ですよ!剣術も一流で銃なんて超一流じゃないですか!」

 

レベル0でE、レベル2でD、レベル4でC、レベル6でB、レベル8でA、レベル10でS……、と言った、ランク制度があるらしい。

 

あくまでも、レベル8でAランク冒険者並み、と表現されるだけで、レベル8だからいきなりAランクとはいかないらしいが。

 

そして俺は。

 

 

『ザバーニヤ

Lv:100

 

HP:1000

SP:1000

 

STR:100

INT:100

AGI:100

DEX:100

VIT:100

MND:100

 

SKILL

Negotiation:100

Physical Weapon:100

Energy Weapon:100

Expressions:100

Lockpick:100

Medicine:100

Computer:100

Craft:100

Sneaking:100

PSY:100

 

MAGIC

なし』

 

カンストしてしまったわね。

 

「そ、その、ええと……」

 

「秘密にしておいてくれ」

 

「は、はい……」

 

そういうことになった。

 




今、汚いダンまちみたいな話書いてる。
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