ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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腹筋バキバキの筋肉お姉さん。


15話 無双

地平の果てまで埋め尽くす、とまでは言わないな。

 

たったの三千体だ。

 

俺は毎年二回、七十万人以上が集まる戦場に顔を出していたから、三千体のモンスターにも怯まない。

 

え?

 

ああ、コミケって言うんですけどね。

 

まあ、冗談はさておき、ニュークリアデターランスの世界でも、大規模レイドともなると万を超えるほどの敵と戦う羽目になるので、こんなもんは慣れっこだ。

 

俺とシルヴィアは、城壁の外に出る。

 

「お、おいっ!お前ら!危ないぞ!!!」

 

そんな声を無視して前に出る。

 

どうやら、冒険者ギルドは、本国から援護の軍隊が来るまでは、籠城する作戦のようだ。

 

だが、そんなのは知らん。

 

「シルヴィア、お前は俺が守ってやる。だから、前に進むことだけを考えろ」

 

「良いだろう、しっかり守れよ。死んだら化けて出るからな」

 

「ははは、そりゃ怖い」

 

そして、俺はアリスに指示を出す。

 

「アリス!コード、『白猫』と『黒猫』を出せ」

 

『了解しました。"Snowdrop" & "Kitty" Wake up』

 

白猫、スノードロップ。

 

それは、白亜の自動拳銃。

 

黒猫、キティ。

 

それは、漆黒のリボルバー。

 

俺の普段使い用の武器だ。

 

二丁拳銃が俺の基本スタイルである。

 

「じゃあ、行こうか」

 

 

 

「おおおおおおおっ!!!!」

 

シルヴィアが駆ける。

 

右腕のバイオニックアームに内蔵されたレーザーブラスターを全開にして、前衛の雑兵たるゴブリンを薙ぎ倒す。

 

『ギ、ギヒィ?!!!』

 

さっきまで、圧倒的な数で人間を擦り潰し、その後に待っている乱取りのことを考えて、醜い顔を歪ませていたゴブリン達。

 

それが、今では、嘘みたいに恐怖の色に染まっている。

 

ニュークリアデターランスの世界にいる殺戮ミュータントのように醜い緑のバケモノだが、その顔に浮かぶ強烈な恐怖の感情は伝わってくる。

 

こんなはずじゃなかった!もしも奴らが人の言葉を話すなら、そう叫んでいただろう。

 

シルヴィアのレーザー薙ぎ払いで、軽く五十体近くのゴブリンが胴体を真っ二つにされ絶命。

 

「……往くぞぉ!!!!」

 

それはまさに獅子の咆哮、敵対するものは小動物のように竦み上がる。

 

『ガギグ!ガガギァ!!!』

 

慌てて、指揮官たるオーガが声を上げて、崩れた隊列を立て直そうとする。

 

しかし、そうはさせない。

 

「死ね」

 

俺が跳躍して、スノードロップをばら撒くようにぶっ放す。

 

スノードロップは、弾数無限にしてリロード不要、その連射力はガトリング砲並である。

 

圧倒的威力の弾丸の雨霰が、シルヴィアによって総崩れした前線にばら撒かれた。

 

「お前も死ね!」

 

そして、キティ。

 

キティも、弾数無限にしてリロード不要のリボルバーであるが、特筆すべきはその威力。

 

通常のマグナム弾並の反動の割に、その弾丸の破壊力は、バニラ最強武器である小型核弾頭を遥かに超える。

 

『パニ』

 

指揮官オーガの頭が、比喩表現ではなく弾け飛ぶ。

 

そう、まるで水風船のように。

 

『ギ、ギアガーーーッ!!!』

 

オーク達が粗末な石の槍で、俺を着地狩りしようと槍衾を形成する。

 

当然、そんなものは無意味だ。

 

「PSY:テレポート!!!」

 

俺は、まるで最初からそこにいなかったかのように姿を消して、地上にいきなり現れる。

 

『ギ、ガギ?』

 

「こっちだ」

 

『ガガギ?!!』

 

「じゃあ死ね」

 

『ガ』

 

発砲音。

 

オークの群れは古典的なアニメのチーズのように、穴ぼこだらけになる。

 

これもまた、比喩表現ではない。

 

スノードロップとキティの圧倒的威力では、風穴を空けるという表現はまさしく直喩になる。

 

「はああっ!!!!」

 

さあ、シルヴィアも輝いているぞ。

 

高周波ブレードのミカヅキエッジは、まさに何でも斬れる剣であるからして、近接戦闘能力もバッチリだ。

 

『ギ、ギヒィ!!!』

 

慌てて、オーク達が己の得物である鉄剣などを翳して、攻撃を防ごうとするが、前に出した鉄の剣ごと両断される。

 

『ガギャガガ!!!』

 

オーガの指揮官が上手く指揮をして、シルヴィアを包囲するが。

 

「うおおおっ!!!!」

 

『ガ』『ギ』『ガ!』

 

シルヴィアがフルバーストしたレーザーブラスターの発射口を横に薙ぐようにずらせば、モンスターの群れは裁断される。

 

フレンドリーファイアについては、俺はレーザーくらいじゃノーダメージなので構わない、好きにさせる。

 

『ガ、ガガ、ガウガギャー!!!』

 

指揮官オーガが何かしらを叫ぶ。

 

すると、後ろに控える巨大な影がゆっくりと起き上がる。

 

巨人だ。

 

大きさは五メートルほど。冒険者が言っていたジャイアントとはこのことだろう。

 

『『『ガウガウガーーーッ!!!!』』』

 

「「うるさい、消えろ!!」」

 

俺は、一旦、二丁拳銃をしまって、二本のロケットランチャーをアイテムボックスから取り出した。

 

シルヴィアは、フルバースト状態のバイオニックアームを天に掲げた。

 

「爆ぜろ!!」

 

ロケットランチャーが赤い尾を引いて空を駆ける。

 

「斬れろ!!」

 

天に伸びるレーザーブラスターの燐光がゆっくりと傾く。

 

『『『ガ!!!』』』

 

ジャイアントは、三体とも爆殺され、真っ二つになった。

 

三百ほどのモンスター兵士と、頼みの綱のジャイアントを失ったモンスター軍に衝撃が走る。

 

その時。

 

『ギャガァギィアーーーッ!!!!』

 

一際大きなモンスターの叫びが響いた。

 




お姉さんキャラに甘えられたい。

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