六人の欠損奴隷は、俺達に服従し、サイボーグとなると決めたそうだ。
「では、まずは自己紹介からしてもらおうか」
三人の、まだ使える欠損奴隷が前に出る。
一人目、左腕と左目を失った男の狼獣人。
そういや、獣人とか居たなあ。ってか、ここにいるのは全員獣人だ。
何でだ?と聞くと、人間は脆いから、肉体が欠損した時点で大抵は死ぬらしい。
獣人の見た目は、顔や胴体には肌色の肌があるが、手足は毛に覆われている。その上、薄く肉球があるのだが、手足の形は人間と同じ。尻尾や獣の耳、角なんかがある。顔は人間とほぼ同じだ。
逆に、顔が動物の人型は、モンスターらしい。例えば、ワーウルフとかそう言うの。
一人目のこの狼獣人は、毛並みは灰色で、彫りの深い精悍な男だ。奴隷らしくみすぼらしいが、筋肉はしっかりとある。
歯並びもしっかりしたガタイの良い男だ。
身長は百八十センチほどで、俺より十センチくらい低い。
元は冒険者だったそうだ。
「俺の名はアルゴンだ、よろしく頼むぜ」
話してみた感じはクールな印象か。
飄々としているが、どことなく厭世的にも見える。
「希ガスっぽい名前だな、よろしく」
「きがす……?」
次、二人目。
右腕を失った男の牛獣人。
身長は俺と同じくらいだが、何より筋肉がある。
どうやら、獣人は皆筋肉質だが、その中でも牛獣人はとりわけ筋肉があるそうだ。
眉毛も濃く、髭を生やして、髪は短い。黒光りする肌、四角い顎、白い歯。
一般人が思い描くボディビルダーそのものって感じだ。
元は人夫だったそうだ。
「リードだ!よろしく!」
暑苦しい奴だ。
「重そうだな、よろしく」
三人目。
両足のない狐獣人の女。
両足のない女が何故まだ使えるか?
そりゃあ、奴隷の女の仕事には、両足がなくても簡単にできる仕事があるだろう?つまりそう言うことだな。
顔は可愛いな。小動物系って言うのかね、こう、庇護欲を刺激してくる感じかな?
結構若い、十五歳くらいか?
話を聞くと、魔法を結構使えるらしい。
水の魔法の使い手らしく、クリエイトウォーター、ウォーターボール、ウォーターランス、プロテクション、アシッドフォッグが使えるそうだ。その他にも、ティンダーとクリーンが使えるとのこと。
七つも魔法が使えるならば、魔導師と充分に名乗れるらしい。
ならば、何故こんなところで奴隷になっているのか、と言えば……。
長かったので要約すると、生まれ育った村で才女と持て囃されていたら、嫉妬してきた貴族の女に捕まって、両足を切り落とされて捨てられたそうだ。
だから、女が怖いらしい。
事実、怖そうな女であるシルヴィアを見て、露骨にビビっていた。
この、女を怖がる癖から、中々に買い手がつかなかったらしい。
本当は、村に住む引退魔導師から魔法を習って、冒険者になるつもりだったとのこと。
「よ、よろしくお願いします、ネオンです」
性格は見た目通り、ちょっとおどおどしていて、自信なさげだ。
「はい、よろしく」
さて、四人目からは、使い物にならないと判定された欠損奴隷だ。
四人目、両腕を失った女の蜥蜴人だ。尻尾も根元から切れている。
身長は百七十センチくらい、顔は可愛い。
可愛いのだが、どことなく、ずる賢そうな雰囲気。
鱗は赤で髪の色は黒。
元は傭兵だったらしいが、両腕がなくなってはもう何もできない。
「へへへ……、あっしはガリアと申しやす、よろしくでごぜえやす」
両腕を失っている割に、捨て鉢にならず、思いの外性根は曲がっていないように感じた。
少々卑屈っぽいが。
ってかその喋り方なんだよ、小物っぽいな。
「ああ、よろしく」
五人目。
これは酷い。
女の虎獣人らしいが、両手両足が切り落とされており、おまけに目も抉られている。
髪の色は茶髪で、顔の印象は猫っぽい。
十八ほどの美人だと言うのに、これはあまりにも酷いな。
元は優秀な冒険者の斥候であったらしいが、盗賊に囲まれてこんな風になったらしい。
「お、お願いだよ、助けておくれよ、何でもするよ、何でも!」
必死に懇願するその姿から性格はあまり読み取れなかったが、助かりたいと思って必死になって、俺にしがみつこうと這ってきた。
生きる気力があって大変良し。
名前はパラスと言うらしい。
「ああ、分かったとも、必ず助ける」
六人目。
これが一番酷いかね。
性別は男、人種は鳥人。
臓器をいくらか抜き取られ、手足を無理やり別の人間のものを移植されている。
その移植は失敗しており、ほぼ、腐った手足が縫い付けられている形だ。
元は飲食店経営者兼コックだったらしいが、邪悪な錬金術師に捕まって人体実験の材料にされたらしい。
顔は、今はびっくりするほど青白いが、人懐っこそうな童顔である。
身長も、胴体の体格から察するに、低かったのであろう。
あ、鳥人は腕とは別に背中に羽が生えているし、空も飛べるらしい。
この調子じゃ無理そうだが。
名前はカッパーと言うらしい。
「あ、う、助け、て、なんでも、します……」
「よし、麻酔」
「あ……」
どれ、早速オペに入ろうか。
俺は中々のクズなので、中々のクズは書けるけど、俺より頭がいいキャラを表現できてないんだよな。