次の日。
「おいおい、アルゴンよお、お前、ベッド使ったか?」
「何だよ、リード」
「あのベッド凄えよな!お貴族様のみてえにふっかふかで、毛布もあるしよ!」
「私としては、灯りの魔導具を使い放題なのが良かったです。夜は、ご主人様に本を借りて読んでました」
「ああ、ネオンは文字が読めるのよね。魔導師ってやっぱり凄いわね」
「いえいえ!それよりも料理ですよ!僕も、自慢ではありませんが、貴族街でコックをやっていましたけれど……、あんなに美味しい料理、食べたことありませんよ!ワインも少しいただきましたけど、とんでもなく上等で……!」
「ええーっ?!さ、酒がもらえたでやすか?!ズルいっすよ、カッパー!」
「あ……、そう言えば、お酒もらえましたね。ひょっとして僕、失礼な要求をしてしまったんじゃ?!」
「あっしも酒が飲みたいでやす!旦那に酒を恵んでもらうっすよ!」
奴隷は仲良く過ごしているようだ。
「はい、清聴」
俺が手を叩く。
「「「「………………」」」」
奴隷は黙る。
「本当はもっと長く訓練するつもりだったが、全くもって獣人諸君の体力には驚かされたよ。この調子なら、基礎訓練の走り込みは不要らしい」
高い評価を受けて、喜んでいる奴隷達。
「早速だが、今日からは武器の使い方を教える。朝食の後は、軽く走ったりして身体をほぐしておけよ」
「「「「はい!」」」」
楽しい朝食の後、塀の外のグラウンドのようになっている部分に集まった。
草原なのにグラウンド?と思われるかもしれないが、ハウジングに不可能はない。Craftを100まで上げてMODをぶち込むだけ!ね?簡単でしょ?
因みに朝食は普通のトーストと、目玉焼きにベーコンだった。
全員、白パンがどうとか騒いでいたけどよく分からん。
何でも、白いパンは貴族しか食べられない高級品なのだとか?
まあ、それはいい。
「まずはカッパーから行くか。カッパー、前に」
「はい!」
「さて、カッパー、身体の調子は?」
「ばっちりです!」
「空は飛べるか?」
「飛べます!」
「飯はちゃんと食えたな?後で吐き出したりとかしていないな?」
「はい!」
四肢、内臓に問題なし。
「コンバットオープン、と言ってみろ」
「『コンバットオープン』」
すると、カッパーの手首からイオンビームライフルの銃身がせり出てきて、足が分かれてクローになった。
「な、なな、な……、何ですかこれはーーーっ?!!!」
「戦闘態勢だ。シャットダウンと言えば元に戻る」
「『シャットダウン』!!!」
武装が収納される。
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
「どうした?」
「こ、こんな、身体……」
「文句でもあるのか?」
「………………いえ」
「なら、もう一度だ」
「……『コンバットオープン』」
「では、説明しよう。カッパー、お前には武器を持たせなかった。その理由は、両手両足が充分に凶器だからだ」
「はい……」
「では、あそこの標的に向けて、手首にある銃を撃ってみろ」
「ど、どうやって?」
「撃つ、と強く念じろ。決して、自分や味方には腕を向けるな」
そして、カッパーは両手首を前に構える。
「……行け!」
イオンビームが発射される。
鉄板に穴が空く。
「す、凄い……」
「次は両足のイオンクローだ」
爪先が二股に分かれ、かかとが伸びて、鳥の足のようなクローに変形。
爪の部分はイオンブレードで形成。
「かかと落としの要領で、足のクローで引っ掻いてみろ」
「やあっ!」
鉄板が裁断される。
「良いか?イオンビームエネルギーは、腕を見ろ。この腕の光るラインがあるだろう?これは、イオンビームやイオンクローを使えば使うほど減っていく。光がなくなったら使えなくなる。時間経過で回復するから、エネルギーの残量には常に気を配れ」
「はい!」
「正直、戦闘面が素人のお前にはあまり期待していない。だから、武装の威力も低めだ」
「これで、ですか……?!!」
「お前は、炊事の手伝いをメインにやってもらう。しかし、戦闘も最低限はやらせるし、自分の身は自分で守れ」
「は、はい!」
「次、パラス」
「はいよ!」
「コンバットオープンと言ってみろ」
「『コンバットオープン』!」
特に変形はしない。
「うわ……!」
「良いか?視界が変わっただろう?遠くまで見えるはずだ」
「本当ね……、よく見える」
「そして、右側のオレンジの棒、それがエネルギー残量だ」
「ってことは……?」
「爪を生やすイメージだ」
ポジトロンブレードが指先から形成される。
「うわ、凄いわね……」
「決して、その爪に触るなよ。さあ、この鉄板を引っ掻いてみろ」
「シャアッ!!!」
爪で交差する様に引っ掻くパラス。
鉄板はバラバラに。
「ポジトロンブレードは拳からも出せる」
「あ……、拳のはショートソードくらい長いのね」
「そうだ、しっかり使いこなせ。パラス、お前については、斥候だったとのことなので、直接的な戦闘能力は低めにしておいた」
「これで?!」
「次、ネオン」
「は、はいっ!」
「コンバットオープンだ」
「『コンバットオープン』!」
ネオンの足のブースターから炎が噴き出す。
「きゃあ?!」
ネオンは十センチくらいの高さにホバリングした。
「念じれば好きに飛べるぞ。太腿にエネルギー残量が表示されるから、それに気を付けろ」
「はいぃっ!!」
低いところをふわふわ浮いてるネオン。
「魔法はどうだ?」
「あ、はい、いただいたこの腕輪をつけていると、魔法の威力が三倍くらいになりました!」
「そうか。だがまあ、それでも多分、他の奴隷よりも戦闘能力は低めだと思う。お前はとにかく知識をつけることを優先しろ。後で勉強になる本なんかを渡す」
「はいっ!」
サイコパス主人公、異世界転生もの。
幼少期からスタート、人間性最底辺。
戦う系錬金術師。八卦掌で錬金の魔法陣が刺青された掌を叩きつけて、触れたものに錬金術をかけて破壊するスタイル。