ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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はい、新作始めまーす。


異世界転生人間性最底辺錬金術師
1話 転生前のオープニング


「よれよれのロングコート、ボタンの取れたシャツ、擦り切れたズボンと革靴。伸ばしっぱなしでボサボサの髪とヒゲ、そして、死んだ魚のような瞳……」

 

「おい」

 

「待って、言わないで、当てるから!……そう、あなたはホームレスね?!」

 

「違うぞ」

 

「ええーっ?!どう見たってプロのホームレスじゃない!プロのホームレス、略してプロレスラーよ!」

 

何言ってんだこいつ。

 

「あっ、でも、どうせ収入はないのよね?!家はあるけどホームレス同然よね?!」

 

「いや……、収入はあるぞ。家もある」

 

「何ですってえ?!収入のある人間の顔じゃないわよね?!!あ、そうだ、あれでしょ?!死体回収とか、死体をホルマリンに漬ける仕事とか、そういうバイトやってるんでしょ?!」

 

「いや、してねーよ」

 

「で、でもどうせ、極貧生活よね?!」

 

「いや……、今年は一千万円くらい稼いだな。今は埼玉の北のほうに家を持ってる」

 

「ええーっ?!嘘だぁー!絶対にホームレスの見た目よ!職業は死体処理よ!電車のホームに落ちてぐちゃぐちゃになった死体を集めて捨てる人だー!」

 

「違う」

 

「分かった!大穴で殺し屋でしょ?!ホームレスに紛れ込んでアイスピックでグサリ!これよ!」

 

「俺は同人エロゲ作家だ」

 

「そ、その顔で?!!!」

 

「まあ、人に会わない仕事だからな、身嗜みには気を遣ってないんだよ」

 

「うわー……、意外。エロゲってどうせアレでしょ?サイバーパンク世界の忍者が感度三千倍にされるやつとか?」

 

「俺が作ったのはSMもの、調教もの、人外ものと色々あるが、一番売れたのは純愛ものだ」

 

「うっっっそだーーー!純愛って顔じゃないじゃーん!何本売れたの?千本くらい?」

 

「千九百八十円のエロゲが二十万ダウンロードされた」

 

「超売れてるゥーーーッ?!!!」

 

「これは自慢だが、PanzaとDLcomの両方で日本版と北米版を発売して、その両方で十万ダウンロードされた。ランキングは二年連続で一位を獲得した」

 

「うっそでしょ……?意外……。何でその怖い顔でエロゲ作家なんてやってんの?待って、当てるから……、そうね、やっぱり、絵を描くのが好きだったんじゃないかしら?実は漫画家を目指してたとか?」

 

「いや……、本当は普通に働くつもりだったんだが、入社した企業が尽くブラックで、労基に訴えて潰しまくってたら、業界から、『入社したら半年以内にあらゆる会社を潰すやべーやつ』って認知されて、どこにも就職できなくなってな。貯金がなくなる前に必死で絵とプログラムの練習をして、同人ゲームを売り出したんだ」

 

「波乱?!!!」

 

「いやしょーがねーだろ、ブラックだったんだもんよ」

 

「つ、強過ぎる……。この『女神ヒューラ』の目をもってしても見抜けない、底知れぬ男ね……。気に入ったわ!」

 

「はあ……?」

 

辺りを見回すと、雲の上にあるパルテノン宮殿みたいなのの中に俺と女神と名乗る女がいることが分かる。

 

「あっ!今、女神とか嘘だろ〜?とか思ったでしょ?!」

 

「え?いや、とんでもなく美人だし、多分本物だろうなとは思っていたが」

 

「尽く予想を裏切るッ?!!因みに、好きな食べ物は?私の予想だと酒でしょ!」

 

「好き嫌いは特にないな……、そんなことをしていたら生きてこれなかったから」

 

「えっ……、重い過去やめてよ……。もう属性過多じゃん……」

 

「ネグレクトってか、虐待されていてな……」

 

「あ、あの、その、ごめんね?嫌なこと思い出させちゃったわね?」

 

「ムカついたから食事にトリカブト混ぜて殺しちゃったわ。当時六歳だったから疑われないで済んだぜ」

 

「サ、サイコパス……?!!」

 

「でもしょうがねーだろ?あのままじゃ殺されてたんだし。学校にすら行かせてもらえなかったんだぞ?」

 

「掘れば掘るほど闇と設定が出てくるのやめない????」

 

そんなん言われましても……。

 

「大体にしてもう時効だし、子供がやった犯罪なんだから罰する法律はないだろ?」

 

「あのね、サイコパスさん、一般的に言えば親殺しは許されないのよ?」

 

「子殺しよりはマシなはずだろ。俺は、両親が子殺しをする前に始末してやったんだ、感謝されてしかるべきじゃない?」

 

「こ、こいつやべー……、一般DQN転生者が天使に見えるわ……」

 

 

 

「さて、察するところに異世界転生というアレでしょうかね?」

 

「あ、うん、話が早くて大変結構。そんな感じよ」

 

「まあ、異世界転生ものについて研究して、異世界転生ものの同人エロゲを販売したからな。それは五万本売れた」

 

「本当に何者なのよアンタ……」

 

「一般人AA」

 

「嘘こいてんじゃないわよ……」

 

「一般人の赤城荒烈駆主だ。ペンネームはダブルエー」

 

「アレックス?!!!超DQNネーム!!!」

 

「日本人の息子にアレックスとかって名前を付ける親とか、殺して正解じゃね?」

 

「コ、コメントは差し控えさせていただくわ……。え、ええと、アレックスさん?」

 

「何ですかね?」

 

「もう……、その……、チート能力あげるんで、異世界転生してもらえるかしら?」

 

「そもそも断れんのか?」

 

「いや、無理だけど」

 

「じゃあいいよ、異世界転生でも何でもやるよ。あんまり、こう、世界に興味とかないしな」

 

「やはりサイコパス……」

 

「いやほら、そういう運命だったんだよ。俺は悪くない」

 

「良心の欠如……」

 

「うるせえ」

 

「でもまあ、アンタは、私の女神推理を尽く外した男よ。本来なら一つだけのチート能力を三つもあげちゃうわ!」

 

「もう一声!」

 

「もう一声!じゃないわよ!そんな歌舞伎みたいなコールされても無理なもんは無理だってば!」

 

「澤瀉屋が一番好き」

 

「聞いてないわよ!でも私も好き、気が合うわね!」

 

「三つのチートねえ……」

 

「そうよ、何でもいいわ」

 

「じゃあ、どんなものでも無制限に出せる能力とか?」

 

「それは無理。でも、どんなものでも出せる能力と、その能力を使うために必要な魔力を無限大にする、とかはできるわ」

 

「じゃあそれで。あとは……、才能かな?」

 

「才能?」

 

「いや、リアリティのあるエロゲを作るために、絵、プログラム、文章、古文、各国の伝説、格闘技に料理、農業にスポーツ……、どれも中途半端に勉強してきたけど、どれも極められなかったからな。だから、万能の才能が欲しいんだが、できるか?」

 

「それなら、最高の学習能力チートってことならできるわよ」

 

「じゃあそれで」

 

「では……、いってらっしゃい、人の子よ!異世界ではサイコパスムーブを控えるのよ!絶対だからね!」

 

「お、そうだな」

 




いかがでしたか?(クソアフィブロ)


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