今日も俺は、アイリンと共に村の野原を駆け回り、シャドーボクシングをして過ごしていた。
すると、それを見かけた近所の悪ガキどもが煽ってくる。
「なにやってんだ?」
「うわー!おんなとあそんでるー!」
「けっこんだー!」
すると、アイリンは、慌てて一言。
「ま、まだちがうもん!あれくとはまだおともだちだもん!」
俺は気にせずシャドーを続ける。
「むしすんなっ!」
「やめてよ!あれくとわたしは、おとなになったらばべるにいくの!いまは、たたかいのれんしゅーしてるんだから、じゃましないで!」
「おまえらみたいなやつらが、ばべるにいけるもんか!」
「いたっ!」
アイリンが突き飛ばされた。
「う、うええええん!」
アイリンは、びっくりしたのか、痛かったのか、泣き始めてしまう。
俺は無視してシャドーを続ける。
「おい!おまえ!むしすんな!」
押し倒された。
俺は起き上がり、押し倒してきたガキに殴りかかった。
「ぎゃっ!お、おまえ」
そのまま、金的を蹴り上げて怯んだところを押し倒し、何度も踏みつけた。
「ひ、ひっ、ひぃっ!や、やめ、もうやめ!あああ!」
前歯が折れたようだが、俺は手を緩めずに何度も踏みつける。
「あ、あれくっ!もうやめてっ!」
アイリンに引っ張られる。
「わたしは、だいじょぶだから。もう、やめて、おねがい……!」
「いや、お前を助けるためじゃない。自惚れるな。これは見せしめだ。俺の邪魔をする奴は潰す、それだけだ」
「え……?むずかしいことば、わかんない……」
「「ひ、ひいいっ!!!」」
顔面をデコボコに耕してやったガキは、他の悪ガキに連れられて消えた。
流石にぶっ殺したらやべーから手を抜いた。俺は天使くらい優しい。
その後、家に帰ると、父親が待っていた。
「アレク、ケンカをしたんだって?」
俺は無視した。
「……でも、あっちから先に手を出してきたんだよな?」
俺は無視した。
「アレク……、お父さんは、いきなり人に殴りかかったなら怒るさ。けど、やられたからやり返したって言うなら、まだ話は分かる」
俺は無視した。
「だが、やり過ぎだぞ。もうちょっと手加減をだな……」
「手加減をして大人しく殴られろと?それが親の言うセリフか?」
「い、いや、それは……」
俺は、不味い飯を食って寝た。
睡眠も大事だ、しっかり寝て、しっかり育とう。
次の日。
「アレク、今日はお父さんについて来なさい」
連行された。
行き先は、村の保育所広場とは別の広場だ。
「あれくー!」
アイリンもいる。
アイリンを連れているのは、赤髪の男。鋭い瞳をしている。
恐らくは、アイリンの血縁者……、年齢からして父親だろうか?
「ブラン……、その子が?」
親父の名前はブラン、黒髪のガタイのいい男だ。背が高いのが特徴か。
ブラン……、親父は答える。
「ああ、息子だ……。ハインツ、鍛えてやってくれ」
どうやら、村の大人達は、俺のことをやべーバーサーカー野郎と認識して、力の使い方を教えようと思ったらしい。
ここは、村の自警団の訓練所だそうだ。
自警団の数は、村の住民二百人に対して三十人くらい。
その全員が、普段は狩人として活動していると聞いた。
つまり、ここでは、弓スキルと剣スキル、格闘スキル、槍スキルなどが習得できるのだ。
剣、槍、棒、斧、格闘辺りは欲しいな。
俺は格闘技は総合格闘技と八卦掌を少しかじった。
エロゲを作るのに、拳法少女とかのキャラ描写を濃密にするために必要だった。
特に八卦掌は良い、掌を叩きつけるってのは、俺が作り出そうとしている『錬金武術』にマッチしている。
俺とアイリンは、自警団の監視下で、八卦掌の型をやった。
「アレク……、その変な踊りはなんだ?」
俺は無視した。
いや、本当にコミュニケーションはめんどい。勘弁してくれ。
八卦掌は十年くらいやってたから、かなり自信がある。
ガキの頃、親なしってことで学校でいじめられていたから、身を守る術をうんぬんかんぬん、とか言って、施設の人を説得して、週五回、近所の八卦掌をやっている道場に通わせてもらっていたのだ。
そこは、授業料が安い代わりに厳しかった。
流石に、武道系なろう主人公さん並のガチ訓練ではなかったが、小中高と、部活の代わりに学校帰りは毎日八卦掌を習っていたので、動きは身体に染み付いている。
武器を持った相手も倒すほどのスーパー武術は使えないが、素手同士で、相手が素人なら、普通に倒せる自信はあった。
ついでに、剣の素振りもやる。
剣の素振りで筋肉がついた、と思う。
アイリンは、剣の素振りが好きらしく、喜んで剣を振り回している。まあ、木刀だが。
マジのマジで音楽に興味ないんで、プリキュアとか持ってけセーラー服とか、往年のスーパーロボットアニメのオープニングとかしか歌えません。
作業用BGMはいつも大抵、フォールアウトのラジオで流れてる曲とか、クイーンなどの古臭いロックとかです。