一ヶ月過ぎた。
三十分の走り込みの後、水分補給とストレッチをしてから、長老の家に向かった。
「よく来たのう」
「本を出せ」
「分かっとる分かっとる、ほれ」
俺は本を読む。
もちろん、隣にはアイリンがいる。
魔法か……。
「確か長老は、火魔法をレベル5まで使えるんだったな」
「うむ、じゃが……」
「はいはい、『使える』と『使いこなせる』は別ってんだろ？」
「そうじゃ。スキルスクロールでスキルを得て、スキルレベルばかり高くても、スキルをうまく使いこなせねばやがて身を滅ぼすのじゃな」
要するに、自分の力以外で手に入れたスキルは使いこなせないってことだ。いや、馴染むのに時間がかかると言うべきか？
例えば、自力の修練で『剣術レベル5』を手に入れた人間と、スキルスクロールで『剣術レベル5』を手に入れた人間とでは、戦えば前者が勝る。
自力の修練で『剣術レベル5』を手にした人は、そのために肉体が最適化されているのに対して、スキルスクロールで『剣術レベル5』を手に入れた人は、身体がそれに追いつかないのだ。
だから、スキルレベルは、一つくらいのレベル差なら、身体能力によって覆せるってことだな。
では、ここで俺のステータスを開示しよう。
×××××××××××××××
アレックス
JOB:なし
Lv:5
HP:6/6
MP:∞/18
STR:3
VIT:3
AGI:3
DEX:10
INT:10
MND:50
SKILL
虚空錬金 Lv10
魔力無限 Lv10
学習能力超強化 Lv10
状態異常完全無効 Lv10
即死無効 Lv10
隠蔽 Lv10
格闘 Lv5
剣術 Lv1
投擲 Lv4
料理 Lv5
絵画 Lv6
プログラミング Lv5
歴史 Lv1
文学 Lv1
農業 Lv5
異界知識 Lv5
算術
科学
化学
保健体育
異界文学
異界古文
異界外国語
異界地理
異界天文学
異界歴史
異界料理
異界武術:八卦掌
錬金術 Lv1
生活魔法 Lv1
空間魔法 Lv2
鑑定 Lv10
基礎教養 Lv1
文字読み
文字書き
計算
歴史
地理
×××××××××××××××
こんなもん。
突っ込みどころが多いな。
まあ、説明すると、HPとMPは10で、各ステータスは5が平均値。俺はガキだから低め。でも、ガキにしては高い。
レベルは、戦わない村人とかなら大体5が平均値で、戦う自警団なら10ってところか。
メンタルが強過ぎると思われるかもしれないが、人の十倍のメンタルがなければ今頃死んでいたんだよなあ。
あと、INTは賢さだから、知識量とは関係ない。多分IQみたいなもん。
スキルレベルは……、1で見習い、3で一般、5でプロ、7もあれば世界トップ、10で神。
あと、スキルはある程度親の遺伝もあるそうだが、俺は親の遺伝はない代わりに、前世からの引き継ぎがあるみたいだ。強くてニューゲームってか？
まあ、こんな感じで、今日のところは勉学に励む。
俺の中での厳正な審議の結果、週四日は身体づくり、三日は勉強となった。
どっちつかずとなりそうだが、俺には『学習能力超強化』がある。
これは、鑑定してみた結果、取得経験値を増加させるスキルらしい。
つまり、俺は、普通の人の何十倍も成長が早いってことだ。
まあ、このどっちつかずの訓練に付き合うアイリンはぶっちゃけ器用貧乏になるだろうが、そんなこっちゃ知らんわ。
あ、因みに、レベルは経験値を稼げば上がるんだけど、経験値は何をしても上がるぞ。
アレだよね、某パワフルな野球ゲームのノリ。
戦うのも当然として、飯を食っても、寝ても、女の子とベッドインしても経験値が得られるってことだ。多分弾道も上がるのだろう。
いや、どちらかと言えば放射性降下物の名を冠するゲームっぽいかな？
とにかく、何をしてもレベルは上がるし、レベルが上がればステータスも上がる。
だがまあ、経験値は、より難しいことをした時に大きく得られるので、百年間スライムを叩いてたら強くなったとかそう言うのはない。
より強い敵と戦い、より堕とすのが困難な女と付き合い、より難しい学問を修めなくては、レベルは上がりにくい。
それに、レベルは高ければ高いほど上がりにくくなる。
現在、世界にいる人間のレベル上限は100らしい。
しかしながら、レベル100にまで達するような存在は数人しかいないらしい。
レベル100ともなると、強力な魔力により老化が停滞して、その上、様々な若返りのマジックアイテムをも集めて、数百年間頂点に君臨し続けることもあるそうだ。
で、その、レベル100到達者が他に到達者が増えないように牽制しつつ、他の到達者と鎬を削っているらしい。
この世界クソだな。
運営が中国とか、他のソシャゲのキャラをコピペしてたとか、ヤバそうな話がちらほらと。
まあ、一応やりますけど……。
これ、課金してものあ氏に金が行かないとかだったら嫌ですよね？