ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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帰還勇者書いてますすす。


10話 プレゼント

二年とんで俺七歳。

 

妹が三歳になったので、妹を村の保育所に連れて行けと親から言われた。

 

無論無視した。

 

「にーちゃ、にーちゃ、あそぼ!」

 

妹……。

 

俺と同じ、黒色の髪は、この世界の西の民族の一般的な髪色。西の民族は、黒、ブラウン、金色の髪を持つが、比率的には黒やブラウンの髪色が多い。

 

ガキだからまだ分からないが、イケメンのこの俺と同じ血が流れているから、ブスではないだろう。

 

親は、俺と違って、手のかかる普通の子である妹をとても可愛がった。

 

ともすれば、俺よりも。

 

そして最近は、何かあるごとに、お兄ちゃんなんだからうんぬんかんぬんと言われることが多い。

 

アレだな、親って、いてもいなくても邪魔なんだな。

 

今世もぶっ殺しちゃおっかなー?

 

いや、流石にやめとこう。

 

俺は人間ができているので、妹を親なしにして、俺のように施設で育てられるかわいそうな子供にしないでやろうと思う。

 

やべーな、俺、ひょっとして聖人なんじゃねーか?

 

人間ができすぎている。

 

人間の鑑だ。

 

一応、妹を鑑定してみたが、アイリンのような化け物ステータスではなかった。

 

なので、殺しにこられても怖くないし、ぞんざいに扱おう。

 

無視して朝の走り込みだぁー!

 

 

 

「おはよう、アレク!」

 

おおっとー?

 

ここでストーカーさん、朝から俺の家の前に待機していたァー。

 

いやマジで本当になんなんこいつ?

 

怖いんだけど?

 

おいゴッデス、この世界の内部数値プログラム一回見せてみろ。俺が修正してやるからよ。

 

特に上げてない好感度がモリモリ上がっちゃってるんだが。

 

「今日も走り込み?」

 

「ああ……」

 

「おねえちゃ!」

 

「マナちゃん、おはよう!」

 

妹の名前はマナだ。

 

なんか知らんが、ストーカーのアイリンにマナは懐いている。多分これ姉だと思ってんなこれ。キッツイわ〜、勘弁してくんない?

 

俺は、アイリンに妹を押しつけて、走り込みを開始する。

 

 

 

走り込みを終わらせたあと、水分補給してからストレッチに入る。

 

「アレクー!いたいた。もう、マナちゃんは他の子に預けてきたからね。アレクももうお兄ちゃんなんだから、少しは面倒見なきゃ駄目だよ?」

 

「はっ」

 

「鼻で笑った?!」

 

さあて、早速武器の扱いを練習するか。

 

おい、その辺の狩人共、俺に武器術を教えろ!と絡む。

 

既に、俺の武器術はレベル4だ。

 

そこそこやるだろ?これ、バベルでもバリバリ通用するレベルなんだぜ?

 

だって、スキルレベルは3もあればそのスキルで食っていけるってことだからな?

 

だから、既に一般通過狩人ではもう俺に敵わない。片っ端から鑑定した結果、この村の人間は高くても武器系戦闘スキルをレベル3までしか習得していないからだ。

 

俺は一般通過狩人よりもちろん年齢が低くて、ステータスが育ちきっていないのだが、それでもレベル差によるステータスの差とスキルレベルの差で圧倒しているので、一般通過狩人には負けないのだ。

 

……なお、アイリンの剣術スキルはレベル7。これは、国の騎士団でもトップを狙えるレベルである。

 

無論、アイリンには負ける。

 

ボロ負けだ。

 

くやちい。

 

錬金武術を使えば一瞬で殺せるんだが、手の内は見せたくないので、アイリンの前では錬金武術どころか高速錬金も遠隔錬金も見せていない。

 

なお、素手での格闘ならギリギリ勝てる。

 

格闘レベル7は伊達じゃないぜ。

 

まあ、俺の格闘レベル7は、前世での積み重ねに、今世の才能ブーストを乗せての結果。

 

引継ぎデータなしの今世の才能のみで俺に食らいついているアイリンがガチバケモンなのだ。

 

……マジでこいつ、天から遣わされた勇者とかだろどうせ。

 

だが俺は、使えるものは使う主義だ。

 

「アイリン、剣を教えてくれ」

 

「良いよ、じゃあ、かかってきて!」

 

自分より強い人に教えを乞うのは当然。

 

その辺で変なプライドを出すとろくなことにならん。

 

俺の人生経験がそう言ってる。

 

 

 

にしても、アイリンには借りを作っているな……。

 

何か贈り物でもするか。

 

女なんだからどうせ物欲の塊だろ。

 

高学歴高身長高収入のイケメンならなんでも良いんだろどうせ。

 

だから適当にアクセサリーでも贈るか。

 

長老にべっこう飴詰め合わせ瓶(大)を渡して、使っていない銀製品を譲ってくれと頼む。

 

「構わんが、何に使うのじゃ?」

 

「ああ、アイリンのご機嫌取りに、シルバーアクセサリーでも作ってやろうと思ってな」

 

「ふぉっふぉっふぉっ、それは良い考えじゃな。確かここに……、あったぞい、これを使いなさい」

 

 

 

ついでに魔石ももらった。

 

折角なので、マジックアイテムを拵えてやろう。

 

エロゲ作家だった前世に培ったデザイン力が唸る。

 

指輪は、剣士にとって邪魔だろうな。

 

ネックレスも邪魔。

 

やはり腕輪だろう。

 

エンチャントは、『不壊』は当然として、『サイズ自動調節』と『洗脳無効』もつけとこう。

 

もし万が一、こいつが洗脳されて、いつものように俺に近づいてきて、そこから裏切りのバッサリ!とかされたら死ねるからな。

 

さあ、錬金!

 

「あー、吸われる吸われる」

 

一瞬、こんなめんどくさいことしないで、アイリンをぶっ殺しちゃおっかな?とか思ったが、殺したとしたら百パーセント最重要参考人は俺だ。

 

ちょっとでもバレる可能性がある以上、やりたくない。

 

もしかしたら、過去視とか、なんかそういう魔法とかあるかもしれねーもんよ。

 

怖くって殺しなんてできんわ。

 

多分、殺ったら長老にバレそうなんだよな。年の功はバカにできん。

 

さて、できた。

 

明日くれてやろう。

 




帰還勇者は、しばらくは嶺二の要求により人間の国家に出向いて学校を作るところを書きます。群像劇じみてきたな……、主人公が十話くらい出る予定ないぞこれ。

森人族のルオ・ニューソンが相棒のナイン・ヴィープと共にアメリカのボストンに大学を建てて、青年達に魔法を教える話がしばらく続き、アメリカ以外の先進国G7にも最低一つの魔法大学が国家の一大プロジェクトとして作られます。

※G7=アメリカ、日本、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ

亜人が作った魔法大学の様子や、それによる社会の変化などを、亜人の講師の視点、人間の生徒の視点などから書いていけたらいいなと思っています。

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