特に問題なくエクスシアに入れた。
「ここがエクスシアかー!テーマパークみたいだぜ!テンション上がるなー!」
そんなことを言いつつ入門。
検問はあったが、特に検査は受けなかった。
子供だからかな?
いや、来るものは拒まずってスタイルなのかも。ふざけた奴は街中にいる冒険者に袋叩きにされるってことだ。
織田信長の楽市楽座みたいに、自由があって人も多いが秩序を乱せば叩き出されるってことだ。
街中に冒険者らしき人々がいる。
驚いたのは、マシンガンやライフルなども持っている人がいることだ。
どうやら、魔法によって歪な文明の発展を遂げているようで、特に武器に関しては、前世のクオリティに迫るかもしれないようだ。
手工業でも、魔法の力でミリ単位以下の精密加工ができるってことだな。
魔法の武器ならば、完全に前世の武器の性能を超えている。
前世ではまだ実験段階だった強化外骨格……、パワードスーツも、鎧にエンチャントをすることでそれらしいものを作るという荒技も行われているようだ。
まあ、デザインは総じて、曲面の多いファンタジー風だが。
ぶっちゃけ、世界観は、某ガハハ!グッドだ!のエロゲみたいな感じ。
事の最中にファンファーレが流れそう。
俺は、迷わず冒険者ギルドへ赴く。
冒険者ギルドは、エクスシア以外にも存在しており、魔物退治から溝掃除まで様々な仕事があるそうだ。
だが、このエクスシアでは、なんといってもバベルダンジョン。
バベルでの依頼が山ほどあるようだ。
普通の冒険者ギルドには、決まった依頼が多い。
何故なら、モンスターによって生息地が異なり、動物も、人通りも全てが異なるからだ。
狸をとってこいみたいな依頼は、狸が生息する東でしか出ない……、みたいな。
だが、このエクスシアでは違う。
エクスシアのバベルでは、あらゆるモンスターが出現する。
だから、常時依頼は沢山あるってことだ。
「すみません」
「はい、ご依頼ですか?」
にこやかな笑顔で応対してくれたのは、栗毛の美女。
受付のお姉さんだ。
アレだよな、なんかこう、マドンナみたいなキラキラセクシービーム!って感じじゃなくて、ちょっとこう、素朴な感じの。
ベッドの上ではエロいんだろうなー、みたいな。
いや、最近精通したから性欲が溢れてやべーわ。
ガキの性欲舐めてた。
早急にセフレか風俗が欲しい。
いかん、下半身に集中するな。
さてさて、依頼、ではないな。
「冒険者登録ってできますか?」
「えーっと……、ぼく、どこから来たのかなー?」
おおっと、大人の対応をされてしまった。
「いやー、故あって故郷から飛び出して来ちゃいました!帰るための路銀もありませんから、冒険者になれなきゃ飢えて死にますね!」
「ええっ?!え、えーっと、そ、そうね、まあ、登録自体はできると思うわ。で、でも……」
「でも?」
「そ、その、冒険者って危ない仕事なの。やめた方がいいわよ?」
「大丈夫です、洗礼も済ませましたし」
「そう……、登録自体はできるけど……、私としては、人夫の手伝いとかやった方がいいと思うわ」
「考えておきます」
「それじゃあ、登録をするわね。文字は書ける?」
「書けます」
名前を書く。
「名前は……、エイハブ君、ね?」
「はい、エイハブです」
俺は笑顔で嘘がつけるタイプだ。
「特技は何かあるかしら?」
「光魔法を少々」
「まあ、ヒーラーなの?ヒーラーは常に足りないから助かるわ」
「そうなんですか」
軽く話した結果、やはり多いのは前衛アタッカー、次いでサポーター、タンクと後衛アタッカー、ヒーラーの順で多いらしい。
特に、ヒーラーは一人いると安心なので、引っ張りだこなんだとか。
「でも、ポーションがあればヒーラーいらなくないですか?」
「良いかしら?ダンジョンでは、持ち歩ける荷物の量は有限なの。ポーションのように、脆い瓶の、重い液体なんて、沢山持ち歩けないでしょう?」
「じゃあ、ポーションは売れない?」
「そうでもないわ、サポーターがパーティメンバーの分のポーションを持ち歩いたりするし、何事も備えは重要よ」
「ヒーラーがいても、ポーションも欲しいと?」
「そうよ、どっちも保険になるでしょう?冒険者で一番大切なのは、死なないことなんだから」
なるほどな。
その後、細々とした規約を一からしっかり聞いてから……。
早速、ダンジョンに突撃した。
ダンジョンの入り口では、奇異の目で見られはしたが特に止められなかったので、そのままゴー。
第一層はゴブリン。
人が多いので錬金武術は使わない。
適当な火魔法で焼いていく。
この辺じゃ楽勝過ぎる、スマホのマップは……、おっ、ダンジョンのマップも表示されたな。
さあ、次の階層へ一直線。
そして二週間後の五十階層……。
「あれ?ひょっとして、錬金耐性持ったモンスターって、いないのか?」
どのモンスターも、ちょっと錬金紋を刻んで錬金してやれば、すぐに死ぬ。
まったくもって、レジストされる気配がない。
五十階層にもなると、属性に耐性があるモンスターとかも湧くんだが、錬金耐性があるモンスターは一匹もいない。
もう、百種類以上のモンスターを倒していると言うのにだ。
光魔法によるレーザー照射か、掌に刻まれた錬金紋の刺青に触るかさえすれば、半径百メートル以内のものは全て、同時に複数でも、錬金をかけることができる。
「あれ?これ、強いんじゃないか?」
アイリンはしばらく出てきません(ネタバレ)。