ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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中だるみだなあ!


16話 アイテム創造

次の日の朝。

 

五時くらいに早起きする。

 

まだ、空は薄暗い。

 

俺は、宿屋からチェックアウトして、人気のない裏路地に入る。

 

「『虚空錬金』」

 

そこで、ラーメン屋の屋台みたいな、側面に大きな車輪のついた屋台を創り出し、いくつかの武具や道具を入れる。

 

十歳の子供には重いと思われる大型屋台だが、STR50を超える腕力では、散歩を嫌がるチワワを引きずっているくらいの抵抗しか感じない。

 

すまん、今意味不明な例えを出した、許してくれ。

 

昨日のうちに銀行に行って、手数料を払って小銭を崩してお釣りを確保していた。

 

朝はゼリー飲料で軽く済ませた。バザーではトイレとか行けなそうだし。

 

 

 

「おお、もう既に人がちらほらと」

 

バベルの西にあるバザー通りでは、バザーが開かれている。

 

それは、インドや中東のように、道端にゴザのようなものを敷いて物を売るスタイルだ。

 

このバザーというものは南西の文化らしいが、中央のエクスシアは各国から様々な人種が集まっているので、外国の文化のごった煮のようになっているらしい。

 

俺は、ここで屋台を止めて、人が来るのを待つ。

 

商品は四種類。

 

通常300mlほどあるポーションを100mlまで濃縮し、コンパクトで四角いプラスチックボトルに納めた『濃縮ポーションジェル』。

 

一本食べるだけで1000kcalと、ビタミン、ミネラル、糖分、脂質、たんぱく質の必須栄養素を摂取できるエネルギーバー、『カロリーチャージャー』。

 

全ステータスを+10する腕輪、『万能の腕輪』。

 

雷属性の魔剣、『稲妻の剣』。

 

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濃縮ポーションジェル

Lv:30

CREATOR:アレックス

ジェル状のポーション。通常のポーションの倍以上の回復力を誇る。液体ポーションとは違い、傷口に塗布する時に無駄に流れ落ちないので経済的。

 

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カロリーチャージャー

Lv:28

CREATOR:アレックス

ひとつ食べるだけで常人の半日分の食事に相当するエネルギーと栄養が得られる完全食。その上、濡らさなければ三年間保存可能で、非常食としても完璧。味は錬金術師アレックスの好みにより甘いメープル味である。

 

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万能の腕輪

Lv:45

CREATOR:アレックス

全てのステータスを+10

非常に貴重な全ステータスをアップさせるアクセサリー。金色のモナン鋼にアラベスク調の紋様。

 

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稲妻の剣

Lv:80

CREATOR:アレックス

攻撃力100

雷属性攻撃追加

非常に貴重な雷属性を持つ剣。物理的な破壊力もさることながら、雷属性による追加ダメージが期待できる。黄色い雷鋼製。

 

×××××××××××××××

 

鑑定してみるとこんな結果が出た。

 

「んあーっ!何だよこれ!アイテムって作成者の名前も鑑定で分かるのかよ!」

 

知らなかった!

 

じゃあ、今まで質屋に売り払った道具も……?

 

ええい、仕方ない。

 

こうなったら、アレックスと言う名前は捨てよう。別に愛着はないからな。

 

アレックスには、錬金術師としてそこそこ名の知れた人物となってもらうこととしよう。

 

そして俺は、新米冒険者で、錬金術師アレックスの丁稚、エイハブだ。

 

今後はエイハブ君として生きるからよろしくね。

 

 

 

俺は、パイプ椅子に腰掛け、この世界の文学本を読み漁る。

 

ふーむ、多少はシナリオを書いてきた俺からすると、ヒューラ教的なものばかりで、あまり面白くはないな。

 

官能小説なんかは低俗と思われているらしい。

 

芝居なんかもあるらしいが、それも、ヒューラ教のありがたい教えが前面に出されており、面白くない。

 

だが、つまらなくても教養を得るためだ。

 

勉強は大事、そんなことは誰でも知っているんだが、大抵はみんな、若い頃にもっと勉強しておけば良かったと後悔するものだ。

 

若いうちは記憶力もいい。

 

しっかりと、この世界について覚えよう。

 

「……おーい、少年!」

 

「あ、はい」

 

本に夢中で気がつかなかったが、人が来ていたらしい。

 

相手は……、どうやら、女冒険者のようだ。

 

因みに、エクスシアに貴族はいない。

 

エクスシアは冒険者ギルドによる合議制で統治されている。

 

いや、統治されていないな。あくまでも、冒険者ギルドが中心に発展した街で、貴族の代わりに冒険者ギルド員、兵士の巡回の代わりに雇われ冒険者の巡回がある。

 

つまり、エクスシアは自由な自治の街だ。

 

だからこそ、街のバザーでわがまま貴族にただで品物を奪われた……、なんてことは起きない。

 

さて、女冒険者だが。

 

色味が強いブラウンのショートカット。細目で、背丈の小さな女だ。

 

どうやら、獣人らしく、猫の耳と尻尾が生えている。

 

武器はハチェット。

 

察するところ、斥候だろう。

 

ダンジョンにはトラップや宝箱があるからな。サポーターとして斥候を連れて行くのはよくある話だ。

 

見たところ、冒険者にしては身綺麗にしており、金は持ってそうに見える。

 

さあ、商売をしよう。




でも、説明回とかそういうの挟まないで疾走するのはよくないですな。

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