ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ラーメン食いてえ。


26話 聖天王の出陣

勇者アイリンは、聖天王ダルバの下で、着々と成長していた。

 

そのレベルはなんと、六十を超える。

 

通常、一年で十レベルも上がれば良い方だというのに、六十も。

 

二年間でそこまで上がるのだから、驚きだ。

 

ダルバを始めとする八神将でも、このようなハイペースでレベルが上がったケースは、少なくともダルバの知る限りでは存在しない。

 

やはり、勇者とは特別な存在であるのだろうと察することは当然だった。

 

そんなある日のことである。

 

『あーあー、聞こえてますか、人の子の皆さん!女神ヒューラです!私は今、あなた方の脳内に直接語りかけています!』

 

『ただ今、バベル百階層がクリアされました!初クリア者は、錬金王アレックスと、錬金術師のテンパランス、フォーティチュード、フェース、ジャスティス、ホープ、プルーデンス、ラブの八人です!初クリア者であるこの八人には、西にある、《空中都市マイブリス》の所有権と、百階層までのダンジョンの改変権をプレゼントします!』

 

『ごめんねー、そういう決まりなのよ!はい、アレックスさん達のパーティには、レベルキャップ解放をしておきます!レベルの上限が200になるってことね。今後も、百階層をクリアした人にはレベルキャップの解放はしますよー!みんな頑張ってねー!以上、女神ヒューラからのお知らせでしたー!』

 

脳内に響く女神ヒューラの声。

 

それを聞いたダルバは即座に動いた。

 

玉座の間に向かい、聖王騎士団の幹部を集める。

 

聖王騎士団は、四つの師団があり、四騎士と呼ばれる四人の師団長に指揮される。

 

そして、双璧と呼ばれる二人の宮廷魔導師に、一人の総主教。教皇はダルバが兼任している。

 

ここ、玉座の間に、このアルカディアの支配者八人が一堂に会したのだ。

 

「それで……、かの錬金王とは何者なのでしょうか?」

 

総主教が口火を切った。

 

続いて、双子の宮廷魔導師が口を開く。

 

「「知らないね」」

 

「一応、知ってるだろうけどさ、僕と」「僕は」「「この国の情報機関の管理もやっている」」「そんな僕と」「僕が」「知らないってことは、無名だったってことさ」

 

「バベル百階層を攻略するほどの者が無名?しかも、錬金王なる謎のJOBと、錬金術師風情がどうやって……?」

 

総主教が首を傾げる。

 

「少なくとも」「錬金王アレックスは」「「確実にレベル百を超えているだろうね」」

 

「ダルバ様に続き、『到達者』が更に一人、もしかしたら八人もいるかもしれない、のか……」

 

「こうなったら」「ダルバ様には」「「早急にレベルを上げてもらうしかないね」」

 

「ふむ……、ダルバ様、どういたしましょうか?」

 

総主教がダルバに尋ねた。

 

「私は、しばらく待とうと思う」

 

ダルバが宣言する。

 

すると、四騎士は声を上げる。

 

「しかし!東の蛮人、『バサラ』共は確実に百階層に挑みますぞ?!」

 

「東の『無双剣シューラ』めが図に乗るのは許せんことだ!そして、シューラめが動けば、隷下たる『天下五剣』も、『陰陽寮』も、『鬼部衆』も、『忍』も……、全てが同時に動く!」

 

「そんなことになれば、世界の均衡が崩れてしまいます!」

 

「大人しい北の『氷雪姫デーヴァ』ならまだしも、東の『無双剣シューラ』や、北西の『獣王ミナ』が力をつければ、何をするか分からねェぞ!」

 

四騎士達は、武力を預かるものとして、他国が力をつけることを恐れているようだった。

 

ダルバは、そんな四騎士達の訴えを一通り聞いた後に口を開く。

 

「だからこそ、ですよ」

 

「……と、言いますと?」

 

「君達は、北西や東の蛮人を警戒しているようですね」

 

「それはもちろん……」

 

「ですが……、蛮人ならば、我々が国を空ければ、その隙に攻め入る可能性もありますね」

 

「そ、それは……!!!」

 

「今、各地の隠密に手紙を出しました。北西や東の蛮人が確実に動いたと分かれば、すぐにでもバベルへ向かうつもりです」

 

「で、ですがそれでは手遅れに!」

 

「『マッハバード』で手紙を送りました。明後日には、各地の隠密からの情報が届くでしょう。一日二日の遅れならば取り返せます。君達は、出撃に備えて人員の厳選をよろしくお願いします」

 

「「「「……ははっ!」」」」

 

 

 

そして、二日後。

 

マッハバードの手紙が届いた。

 

「ふむ……、北西と東は、二日前の段階で即座に動きましたか。これは、予想通りですね」

 

別の手紙を読む。

 

「北と南も軍を集めていて、この調子だと出撃は来週。北東、南東、南西は今出撃したところ、ですか」

 

よし、と一言。

 

「では、出陣します。人員の選定は終わってますね?」

 

「はい!しかし……」

 

「どうかしましたか?」

 

「本当に、あの勇者を連れて行くのですか?まだ十二ですよ?」

 

「確かに幼いですが……、史上最年少の冒険者は六歳と言われています。危険があれば退がらせますし……、そして何より」

 

ダルバは、昨日、玉座の間に現れて直談判してきた勇者の言葉を思い出す。

 

『アレクです……!百階層を攻略したのは、アレクです!私も、アレクと同じところに行きたい……!!!』

 

「何より……、あの調子では、駄目だと言ってもついて来ますよ」

 

 

 

そして……。

 

「では、出陣します!」

 

アルカディア軍は旅立った……。

 




ちんぽにゃ!
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