「女を抱きたい」
性欲が爆発寸前だ。
「「「「はあ……」」」」
「その、では、不肖ながら私が……」
と、七元徳のラブが申し出る。
「ああ、いや、お前達は部下だしさ……。自由に恋愛して欲しいと思っているんだよな」
「それは……、ありがとうございます。ですが、我慢ができないようであれば遠慮なく仰ってくださいね」
聖母の微笑みを見せるラブ。
ありがてえなあ。
「えーとだな、とりあえず、適当な欠損奴隷を買ってきて、身体を治してやり恩を売り、可愛がってやり……、抱くぞ」
「なるほど……、素晴らしいお考えかと」
フェースも聖母の微笑みだ。
「お父さんのおもちゃになれるなんて、幸せなことだよね!」
ホープが可愛らしい笑みで言った。
「飽きたら言って欲しいのだ!その時はフォーが始末するのだ!」
フォーティチュードが太陽のような輝く笑顔で言った。
うーん、少々忠誠度を高めに設定しすぎちゃったかな?
忠誠心を高めたせいで、倫理観が低くなってるかも。
えー……。
ただいま十二歳。
女神との約束により、後二、三年くらいはバベルの攻略を控えることにした。
虚空錬金で飛空艇を増やしまくり、新たに手に入れた二つの都市、『闘技都市ヴェーロノーク』と『情報都市アンビエント』を整備して、人の住める環境を整えた俺は、何だかんだで性欲が爆発寸前だった。
娼館に行っても追い出されるだけなので、こうなったら自分で買った奴隷に色々仕込もうと思った。
と、その前に、ヴェーロノークとアンビエントについて話しておこう。
ヴェーロノークは、闘技都市の名の通りに、巨大なコロッセオのような闘技場が一つ、一回り小さい闘技場が、大きな闘技場を囲むように六つ、更に、四角くて小さな闘技場が無数存在する。
ここでは、あらゆる人々が、心ゆくまで『殺し合い』を楽しめる。
生身でのガチな殺し合いも可能ではあるが……、ここには、『アストラル抽出機』というものがついている。
これは、SFなガラス張りのポッドのようなもので、これに入って外部にあるボタンを押してもらうと、入った人のアストラル体……、幽霊のようなものが出てくる。
アストラル体は破壊されても死なないので、そのアストラル体で殺し合いをするって寸法だ。
要は、某世界の引き金みたいな方式。
一度アストラル体を登録すれば、データを読み取ってCPUとしても使えるらしい。
このヴェーロノークは、俺の運営によって賭けをする闘技場として使うことにした。
それと、七元徳を駐在させて、道場を作り、錬金武術(アルケミックアーツ)を広めることにした。
他にも、世界各国から武芸者を集めて、武術の発展を促すつもりだ。
そして、アンビエント。
ここは……、つまり、簡単に言えば、ネットワークだった。
円柱の塔で、内部には馬鹿みたいな量の魔導書があるのだが、これらはどうやら、一つ一つがCPUのような扱いらしい。
そして、人々の脳内に情報を転送できる『アカシックレコード』システムの運営権を得た。
ついでに、情報を魔導書に転写する技術……、つまりは、USBの販売も可能になった。
その他にも、所有する貨幣をアカシックレコード上で管理する、いわゆる電子マネーも使えるようだ。この世界の貨幣は神々が鋳造したもので、魔法的な加工が施されているので、電子化も簡単らしい。
しかし……、ネットリテラシーのないこの世界の人間に、いきなり書き込みの権利を与えるとろくなことにならないと思う。
しばらくは、俺がホムンクルスを使って、ニュースや芝居、楽器演奏や広告などを垂れ流す、一方通行な……、要するにテレビのようなものになるだろう。
ヴェーロノークとアンビエントはこんな感じだ。
半年かけて、ヴェーロノークとアンビエントの安定化作業を行った。もう疲れた。
「もー、疲れた。当分は女に溺れたい」
「親父、ちょっといいか?」
んー?
「どうした、テンパランス」
「実は……」
何でも、テンパランスが言うには、マイブリスの地価が下がりつつあるそうだ。
「何でだ?」
「俺達と八神将以外、誰も百階層に到達できてないからじゃねえのか?」
ふむふむ。
そう来ると……。
「しゃーねーな、面倒だが、仕事だ」
俺は大人だから、性欲よりも仕事を優先するのだ。
えーと、じゃあ……、どうするかな。
そうだ、確か……。
マイブリスに移動して、マイブリスのコンソロールを弄る。
《ダンジョン設定》
「これだ」
何故、ダンジョンが攻略されないのかと言うと、一番大きな理由は、戦力不足ではなく、兵站不足である。
百階層に到達するまでに、最短でも一ヶ月かかる道のり。
片道で、だ。
つまり、往復すると最短二ヶ月。
二ヶ月間保存できる食料を持ち込み、交代して寝れるほどの人数を引き連れる……、そんなことは八神将くらいにしかできない。
じゃあ、どうするか?
俺は、転移装置を提案しよう。
ダンジョンには、十階層ごとに中ボスがいて、百階層には大ボスがいる。
で、あれば。
三十階層くらいごとに転移装置を設置するのはどうだろうか。
そうすれば、三十階層までクリアしたパーティは、次からは三十階層からチャレンジできる、みたいな。また、それだけじゃなく、十階層ごとに安全地帯も用意するとか。
そして、冒険に役立つアイテムの大安売り。
保存食、アイテムボックス、脱出のスクロール。
百階層まで最短一ヶ月であるならば、三日で十階層進めるはずだ。
それならば……、どうにかなる冒険者も多いだろう。
さあ、試してみようか。
Q:地名ふざけてんの?
A:アーマードコアは最高。