傭兵ギルドに登録した。
移動の疲れを癒すために、今日は早めに休むことにする。
レクノアに魔眼を使わせて案内してもらい、一番良い宿に泊まる。
値段は一晩銀貨一枚で朝晩食事付きと良心的だったが、この世界の食事に良心はない。
美味しいと評判の宿の食事!!
紫ニンジン(ってかビーツっぽい何か)とやたら硬いキャベツとカブのシチュー(味付けは塩のみ)。
それと、低級小麦のパン(茶色い)。
そして、カマンベールチーズ。まあ、この世界にカマンベールという土地はないのだろうが、白カビのチーズが基本らしい。味は薄い。
こんなもんである。
ぶっちゃけ、舌が肥えた現代人にはキツい。
レクノアは、うまいうまいと喜んで食っているが、俺には合わない。
何より、好物の肉がないのが辛過ぎる。
タンパク質、脂質、炭水化物を大量に摂取しなければ、兵士なんて無理だ。
確かに、俺は、サバイバル的な観点から食事量を抑えることも可能ではあるのだが、190cmを超える日本人離れした身長、広い肩幅に鍛え抜かれた筋肉、そしてそれによる高い代謝機能……。それを考えると、少量の食事ではとてもじゃないが足りない。
アスリート並みの食事量を必要とするのだ。
因みに、豆知識だが、旧日本軍は米麦だけで一日六合食っていたらしい。おかずを含めると、一日で一キログラム以上の食事をとっていたことになるはずだ。
確かに、この宿の食事は量は多いのだが、味と質が悪い。これで一番まともな宿だと言うのだから恐れ入る。
ベッドには布が敷いてあるだけで、ふかふかではなく硬い。マットレスなどという軟弱なものはない。ただ、年季が入りすぎてぺしゃんこになった綿が詰まっているだけだ。
布団も布が一枚。枕は硬い布の塊。
これでもマシと聞くが、普通の宿はどうなのかと聞いてみると、安宿はゴザ、普通の宿には南京虫がいるんだとか。この世界にもいるのか、南京虫。
俺は、窓と入口に鳴子を仕掛けると、久々に夜に眠った。
八時間ぐっすり眠り、体調を万全にした俺。
レクノアと、部屋で朝食をとることに。
その為にガチャを引こうとすると……。
《ログインボーナス!》
《一日目:10000GP》
《二日目以降のログインボーナスはこちらです》
ログインボーナスがもらえた。
確認すると、一週間ごとに違うものがもらえるみたいだ。
一日目は10000GPで固定。
二日目はミネラルウォーター2000ml六本入り一箱。
三日目はカロリーメイドダンボール一箱分(四本入を一箱として、五種類のフレーバーを五箱ずつ)。
四日目はウェットティッシュをダンボール一箱。
五日目は洗剤をダンボール一箱。
六日目は週刊雑誌詰め合わせボックス。
七日目は、四つ集めるとレジェンドレア確定ガチャチケットになる、ガチャチケのかけら。
これが毎週届くらしい。
さて……。
《スキル:ガチャを使用しますか?》
《GP:220010000》
《はい/いいえ》
三回はい。
ノーマル×72
レア×22
スーパーレア×6
レジェンドレア×0
ノーマル×70
レア×26
スーパーレア×4
レジェンドレア×0
ノーマル×75
レア×22
スーパーレア×3
レジェンドレア×0
そう言えば、ガチャのレパートリーが増えたらしいが、どれどれ……?
おおっ!本当にガチャのレパートリーが強化されてる!
ノーマルだが、最大でスーパーカブくらいの複雑さ、大きさのものしか出なかったのだが、今回は高機動車……、自衛隊のジープみたいなのな。高機が出た!
その他にも、工事現場とかで使われる仮設トイレに、仮設シャワーも!
それと、ノーマルでは、銃器の類も出るようになった。
小銃、迫撃砲(アメリカのM252だ)、擲弾、対空砲、重機関銃……。
火器色々だ。
流石に、船や飛行機は出ないみたいだな。
食事については、ガチャ:Sでは、駅弁や、有名店のテイクアウトメニューなどが出ていたが、ガチャ:SSでは、出来立てのメニューが定食形式で出たり、丸ごとの松坂牛や伊勢海老、マグロ一尾などが生きたまま出てきた。
驚いたが、収納スキルで収納できた。普通、収納スキルでは、生物は収納できないのだが、ガチャ産の動物は大丈夫みたいだ。
牛なんて捌いたことないんだけど俺……。
と、思ったら、ガチャ産の動物を収納すると、コンソロールが出てきて、《収納内の◯◯を解体しますか?》と出てきた。
やってみると、部位ごとに解体されたみたいだ。クソ便利で笑えるな。
俺は朝から山盛りご飯の鮭定食を食う。帝都ホテルの朝食セットのやつで、めちゃくちゃうまい。
レクノアには、同じく、帝都ホテルのモーニングセットを食わせた。
「ぱん、ふわ、ふわ、しろ、まっしろ……」
あまりの美味さで語彙力が消失していたようだが、そこまでか?とは思うな。
「そ、その、お兄さん、良ければ私を抱いたりとかする?」
「は?いや、まあ、別に良いけど何で急に?」
「いや、だって、こんな美味しいもの食べさせてもらって、スキル使うだけで良いとか、良くないよね、良くないよ」
「どうでも良いけど……、そんなくだらねー理由で抱かれたりしたら多分後悔すんじゃね?俺もさー、初体験は中坊の頃で……」
などと、軽い会話をしつつ、食事を済ませた。
さあ、傭兵ギルドに行って仕事を探そう。
面白い小説が書きたい。