ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今ポストアポカリプスものを書いてるから、参考にするために色々と漁ってるんですが、ポストアポカリプスものってそもそも少ないなこれ。


12話 汚いは褒め言葉だ

ここは、トルニス帝国、パリス辺境伯領の街、リードルフ。

 

リードルフ周辺は、起伏の激しい岩場、いくつかに分かれた小川、鬱蒼とした森林と、自然に溢れている。基本的にはファンタジー系オープンワールドゲームみたいな土地と思ってもらって結構だ。

 

そんな自然を南に抜けると、大きな砦が一つ。ノイマイン砦だ。

 

帝国側と王国側の間は、「どうぞ戦争してください」と言わんばかりの平原である。シュタート平原と言うらしい。

 

実際に、数年に一度のペースでここで戦争が起きているそうだ。

 

ノイマイン砦は、その王国との定期的な戦争の時に使われる拠点である。

 

だから、この地には傭兵がかなり多いみたいだ。

 

……そうでなくても、自然の中に潜むモンスター達がいるからして、このリードルフには傭兵の需要は大きい。モンスター退治も傭兵の仕事だ。

 

俺は、しばらくここで金と実績を稼いだら、また別の土地に行こうかと思う。

 

 

 

さて、仕事だ。

 

内容は、ゴブリン退治。

 

害獣であるゴブリンの間引きとのこと。

 

ゴブリンの生態は、陸で生きる邪悪な猿ってところか。

 

武器を持っていることもあるが、能力的には人間の子供並み。知能は猿並み。

 

しかし、別種のメスを孕ませ、ほんの一月もしないうちに赤子が成体になる特性があり、積極的に間引きをするべき存在だ。

 

タイマンなら、大抵の傭兵が勝てる存在だが、ゴブリンは群れたり、道具や、簡単な罠を使ったりすることもあるので油断はしてはいけない。

 

「レクノア」

 

ゴブリンに奇襲をかけるぞ、先手を取れる位置に案内しろ。

 

「分かった、こっちだよ」

 

話が早くて大変結構。

 

「いた、あそこ」

 

森に入って一時間と少し。

 

早速ゴブリンを見つけた。

 

俺は、腰からサバイバルナイフを抜き放ち、音もなくゴブリンに駆け寄った。

 

「シィッ!」

 

『ギャッ!』

 

首筋にナイフを突き立てて、ゴブリンを殺害した俺は、そのゴブリンの鼻を切り取る。

 

ゴブリンの鼻は、ゴブリンを討伐した証になるそうだ。秀吉の朝鮮征伐みたいだな。

 

「次、あそこ」

 

「おう」

 

あ、二体いる。

 

「俺は左をやる。お前は右をやれ。できるか?」

 

「できる……、と思う」

 

「分かった、信用するぞ。三、二、一……、やれ!」

 

「『マナボルト』!」

 

『ギャッ!』

 

俺は、三、と口に出した瞬間から駆け出し、レクノアのマナボルトが着弾すると同時くらいに、左のゴブリンの間合いに入っていた。

 

「死ね」

 

『ギッ?ギャッ!ギャッ!ギ、ア……!!』

 

革手袋の掌でゴブリンの口を押さえてから、ゴブリンの腹に数回ナイフを突き立てた。

 

右のゴブリンは、マナボルト……、つまりは、魔力の光線にて破壊された。

 

触ってみたが、高熱って感じではなく、銃創のように穴も空いていない。

 

例えるなら、電気ショックのような何かのようだ。

 

左のゴブリンは、ナイフで滅多刺しにされて絶命している。

 

「次」

 

「次は……、洞窟にいる」

 

「洞窟?……ああ、本当だな」

 

洞窟にゴブリンが入っていった。

 

ふむ……。

 

「む?これは……」

 

鑑定。

 

《夾竹桃》

 

ふむふむ。

 

「レクノア」

 

「えっと、洞窟の中にはゴブリンしかいないよ」

 

それを聞いた俺は、近くにある植物を鋼のロングソードで斬り倒し、紐でまとめた。

 

それに着火すると、俺は、その植物の束をゴブリンの洞窟に投げ入れた!

 

そして、十分もすると……。

 

『ガァッ!カハッ!ゴハッ!』『ゴホッ!ゴホッ!』『オェッ、ゴホッ!』

 

多くのゴブリンがよろめきながら洞窟から出てきた。

 

それもそのはず、先程投げ込んだ植物には毒があるのだ。

 

毒ガスを洞窟に流し込んだ訳だな。

 

毒をたっぷり吸い込んだゴブリンは、吐瀉物を撒き散らしながら、洞窟から出てきた。

 

俺は、這いずるゴブリンの背中に刃を突き立てるだけ。

 

ん?何匹か、デカいゴブリンや赤いゴブリンがいるが、これは何だろうか?レアキャラ?

 

「大きいのがホブ、赤いのがレッドキャップ、人より大きいのが……、キングだね」

 

「ほーん、レアキャラか」

 

鼻を削ぐ。

 

「あ、それと、洞窟の中には生き残りのゴブリンはいないみたい」

 

「おけ、帰るぞ」

 

 

 

「こ、これは……!ギルドマスターを呼んでください!!!」

 

おおっと〜?

 

なんか大事の予感。

 

傭兵ギルドに帰還して、ゴブリンの鼻を百個くらい納品したところ、大騒ぎになってしまった。

 

いや、俺も、これは多分かなり多いんだろうなとは思っていたのだが。

 

それでも、ガチャを回す為に少しでも金が欲しい。

 

難しいところだが、俺は、より金が得られる方を選んだ。

 

レッドキャップや、ボブゴブリンなどのレアキャラも、倒せばたくさん金がもらえそうだと思ったからだ。

 

俺は公務員として安定した生活を送っていたが、この世界での俺は非正規雇用。

 

非正規雇用は……、と言うより、この世界では保険もクソもない。

 

自営業は会社員の倍稼がないとキツいなどとはよく聞く話。

 

何においても金!金!金!

 

まずはとにかく金!金!金!

 

自衛官として恥ずかしくないのか?黙れ、異世界転移者以外の発言は認めない。

 

やがて、ギルドの建物の奥から、「えっバイキングの方ですか?」みたいな、筋骨隆々な髭面のハゲが出てくる。こいつがギルドマスターらしい。

 

「こいつは……!オメエら、ホブに、レッドキャップ、キングまでやったのか?!」

 

「そうらしいですねえ」

 

「オイ!アンネマリー!」

 

「はーい!」

 

アンネマリー……、受付の女だな。平坦な胸の。

 

「こいつらは?!」

 

「はいー、えーと……、昨日登録したばかりのリクルートのお二人ですねー」

 

「ふむ……。どうやって殺した?」

 

「洞窟に巣食っていたので、毒草を集めて焼き、毒煙を洞窟に流し込んで、出てきたところを斬り伏せた……、ってところですね」

 

「ほう……、なるほどな」

 

ギルドマスターは、禿頭をペチペチと叩く。

 

考え事をしているようだ。

 

「おう、坊主。良いか?お前は良くやった」

 

「はあ」

 

「このゴブリンってのは雑魚ばかりで、ガキでも殺せるんだが、五十匹くらいの群れを作ると話は変わってくる」

 

ふむ。

 

「ある程度デカい群れになると、ゴブリンは、統率者である『ゴブリンキング』を生むんだ。ゴブリンキングは、ゴブリンを指揮して、組織的な行動をとる。それは、スタンピードっつう大規模なモンスターの侵攻だ」

 

「つまり、そのスタンピードとやらを未然に防いだ、と?」

 

「ああ、そうだ。しかも、これは……、ゴブリンの変異種であるホブゴブリン、上位種であるレッドキャップだ。もし、こいつらがスタンピードを起こしていたら、相当な被害を出していたと見える」

 

なるほど、で?

 

「異例の事態だが……、こいつは昇級もんだ!だが……」

 

「何ですか?」

 

「毒で殺したとなると、お前らの実力が証明された訳じゃあねえんだよな。もし、真正面から戦って倒していたんなら、一気にメンバー級まで上がってもおかしくなかったんだが……」

 

「なるほど、賢しいだけで力はないのではと、実力が疑問視されている、と」

 

「言っちまえば、そんな感じだ。俺が見たところだと、メンバー級にしてやっても構わないくらいの腕はあると思えるがな……」

 

「それでは、周りは納得しないと」

 

「そうだ」

 

「では、どうしろと?」

 

「適当なアプレンティス級と模擬戦をしてくれ。もし勝てたら、その場でアプレンティス級に昇格。負けてもトレイニーは確約しよう」

 

なるほど、な。

 

「分かりました、何人潰せば良いですか?」

 

 




やる夫がスカベンジャーになるやつ、メガテン4、フォールアウト、メトロ辺りを参考にするしかねえ……!

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