ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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肉まん……、何と卑猥な響きなのだろうか。


18話 肉まん

「……って感じかな、分かった?」

 

「ん、大体分かった」

 

レクノアから文字と言葉を習ったが、ほぼ英語であることが分かった。

 

ただ、発音が大分違うらしく、一部のものの名称なんかも違うみたいだ。

 

俺が話すアメリカ式の英語は、ものすごく南の方の出身のような訛りに聞こえるらしい。

 

レクノアが言うには、俺の世界で例えるなら、俺の発音は鹿児島弁みたいに聞こえるみたいだ。えっ、やだ俺、おいどんとかごわすとか言ってるのかな?怖……。

 

文字は、ルーン文字みたいなのだけど、アルファベットと大差はないから、慣れればすぐに覚えられるはずだ。

 

「うう……、難しいよ……」

 

トライにも、最低限の読み書きと二桁の足し引きくらいは覚えさせようとしているところだ。

 

どうやら、獣人は知能が低いらしく、中々覚えられないみたいだ。

 

いや、知能が低いと言うのは間違いかな?こうして話すことはちゃんとできてるからな。

 

単純に、文字や数字とか、そう言う文化がないだけだろう。

 

教えると、まあ、覚えは悪いがそこそこに覚えたしな。

 

例えば、人間の平均ステータスが全部Gクラスだとしたら、獣人は、体力、筋力、耐久がFで、その代わりに精神、学習、魔力がHクラスって感じだな。

 

さて、飯にするか。

 

あ、そういや……。

 

「おい、トライ」

 

「ん?何だい?」

 

「食べられないものとかあるか?」

 

「んー……、特にないよ。選り好みしてたら森じゃ生きていけないからね」

 

「いや、そうじゃなくって、えーと……、宗教的に駄目なものとか、体質的に駄目なものとかさ」

 

「は?よく分からないけど、ないんじゃない?」

 

「……レクノア」

 

しょうがないからヘルプ。

 

「えっと……、玉ねぎ、イカ、スパイス、チョコレート、全部大丈夫だよ」

 

「ん」

 

それなら大丈夫だな。

 

晩飯は、横浜の人気中華店、蘭々軒の肉まんと春巻きにする。

 

「えっ……、今、どこから出したんだい?!」

 

「ほら、ここの鞄からだよ」

 

「アイテムボックスかい?!はえー、すごいねえ……」

 

「毎月月末に銀貨三枚を食費としてもらうからな」

 

「三枚……、えーと、いち、にー、さん、三枚ね!」

 

「そうだ、三枚だ。この宿は銀貨一枚で一晩泊まれるよな?」

 

「えーと、えーと、いち、にー、さんだから、宿三日分!」

 

「そうだ!偉いぞ、よく覚えたな!」

 

頭を撫でてやる。

 

「えへへ……。って、宿三日分で一月の食事がもらえるのかい?!それって、安くない?!」

 

「安いぞ、だがサービスだ」

 

格安の社食は大事だよな。経営者とかやったことねーし、大体にして俺は公務員だったんだが。

 

「旦那は優しいね!獣人なんかに安く飯をくれるなんて!」

 

「いや、あらかじめ言っておくが、これは慈悲でも何でもないぞ。レクノアからも金は取ってるしな」

 

「え?そうなのかい?」

 

「そうだ。レクノアは奴隷だしな」

 

「うーん、そんなに金を集めてどうするのかね?金なんて、飯と、酒と、武器くらいにしかならないだろ?」

 

「俺には色々と使い道があるんでね。さあ、飯を済ませよう」

 

「ま、良いや。ところでこれはなんだい?パン?肉の匂いがするけど……?それと、こっちの棒もパン?」

 

「食ってみろ」

 

俺は、肉まんをかじる。

 

おお、皮は甘めで肉はニンニクの軽い風味と豚肉とタケノコのジューシーでコリコリ。うめーわ、さすが人気店。

 

春巻きもパリパリで、中の野菜が甘くて最高。あ、ってか、野菜春巻きなのねこれ。

 

「「………………!!!」」

 

ん?

 

なんか、レクノアとトライがフリーズしてる。

 

「「こんなうまいものが、この世界にあったなんて……」」

 

なんか言ってる。

 

「まあそりゃ、良い店のだからな」

 

「美味しい、美味しい……」

 

「えっ……、こ、こんなうまいもの、今日の稼ぎを全部渡したって釣り合わないよ……?」

 

俺は、更に肉まんを出す。

 

「お代わりして良いぞ」

 

「「食べる!!!」」

 

「酒は?」

 

「いっ、良いのかい?!」

 

「良いよ別に」

 

俺は、よく冷えた瓶ビールを出して、ジョッキに注ぐ。

 

「レクノアは?」

 

「欲しいっ!」

 

まあ、未成年とか、この世界じゃどうでも良いか。

 

「「「乾杯!」」」

 

軽く一杯。

 

「「……さ、酒も美味い!」」

 

「何これ?!」

 

「酸っぱくないよ!それにしゅわしゅわで、キレがあって、ほんのり苦くて……!」

 

んー?

 

「普通のビールだろ」

 

「これが普通?!旦那は天国から来たのかい?!」

 

「お兄さん……、あのね、普通の店は色々な混ぜ物を入れてるんだよ。こんな美味しいエールは、普通は飲めないんだよ」

 

なるほど……、なんか俺も、ファンタジー系のゲームとかで、「馬の小便みたいなエール」がどうこうって聞いたけど、そう言うことなのか。そういや、この国に来るまでに寄った宿場町のエールもクソマズかったな。

 

「うまい!うまいよ!」

 

「よかったな」

 

まあ、量が多いからな。

 

今のガチャスキルだと、旅館で出されるような量の料理が一食分として出るからな。つまりは、お櫃いっぱいのご飯。

 

ビールとか、安めの酒は箱で出る。ほら、見たことあるだろ、プラスチックのカゴに入ってるやつ。アレごと出るんだ。流石に、高い酒はひと瓶ずつしか出ないみたいだが。高級なウイスキーとかな。ウォッカとか安物コンビニワインとかは箱で出る。

 

だから、既に『収納』の中には、何千何万食分もの食い物がある。

 

酒なんかは売れそうだから、溜まってきたら売っても良いかもしれない。

 

 

 

そんなこんなで、今日は寝る。

 




こういう、感想を言いづらいような閑話挟む癖良くないよなー。

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