ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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さて、そろそろ一章の山場かな。


24話 叩き直す

戦場の花形は騎士である。しかし、戦場の主役は歩兵である。

 

確かに、基本的にこの世界の戦争での主な勝利パターンは、騎士が騎士同士の戦いで勝つことだ。

 

つまりだな、こう……、陣があるだろ?

 

侵攻方向を前として、一番前に歩兵、歩兵の後ろに弓兵、魔法兵。そして、両脇に騎士がいるんだ。相手も同じ陣だな。

 

そして、陣と陣がぶつかり合った時、最もよくある勝利パターンは、両脇の騎士が、相手の騎士を倒して、相手の弓兵や魔法兵に横から突撃して陣を崩すパターンだ。これをフランキングと言う。

 

だからまあ、言ってしまえば、騎士が相手の騎士に勝てば、フランキングが成立して勝てるって訳だな。

 

それ以外の勝利パターンで多いのは、なんか強い戦闘スキルを持った勇者や英雄が大打撃を与えて怯んだところを突破。

 

あとは、単純な力押しで押し潰すか、指揮官を殺すか……、ってところか。

 

だが、何をやるにも必要なのは数。

 

戦いは数だ。

 

敵兵全体を押し留める歩兵がいなければ、いくら騎兵が強くても無駄だ。

 

逆に、たくさんの歩兵がいれば、力押しで相手の歩兵を踏み潰して勝てる。

 

だが、この世界は原始的な接近戦が基本。ランチェスターの法則的にも、兵数を増やすのと同じくらい武器効率も重視される。

 

となると、こうだな。

 

「レクノア」

 

「『茜の朝焼け』は、団長のモスがオフィサー、十人がメジャー、二十人がベテラン、七十五人がメンバー、二十五人がアプレンティスだよ」

 

次。

 

「『輝く星』は、団長のグレンがオフィサー、十三人がメジャー、三十人がベテラン、四十七人がメンバー、七人がアプレンティスだよ」

 

次。

 

「『跳ねる雷』は、団長のダンバがオフィサー、十六人がメジャー、二十人がベテラン、三十二人がメンバー、八人がアプレンティスだよ」

 

次。

 

「『銀の静寂』は、団長のエルガと副団長のディザーがオフィサー、三十八人がメジャー、五十一人がベテラン、十七人がメジャー、二人がアプレンティスだよ」

 

次。

 

「『遙かな轟』は、団長のデオンと副団長のソロがオフィサー、二十人がメジャー、三十二人がベテラン、四十三人がメンバー、十三人がアプレンティスだよ」

 

「よし、全員前に出ろ」

 

すると、傭兵達はノロノロと前に出ようとしている。

 

「遅い!キビキビ動け!」

 

「「「「は、はいっ!」」」」

 

こんなん、軍隊どころか学生以下だぞ。傭兵の弱点は統率が取れていないところか。

 

「一列に並べ!」

 

バタバタと動く傭兵達。しかし、ぶつかり合ったりなど、無駄が多い。

 

「チッ、グズ共が!貴様らにはこれからみっちり訓練してもらうぞ!全く、この程度の練度でよくもまあ傭兵などと言えたもんだ……」

 

俺は呆れた。

 

「「「「……うう」」」」

 

「まあいい、とりあえず、装備の強化からだ!」

 

俺は、並ばせたメジャー級以上に、レア相当の魔具を与えた。

 

「気をつけ!清聴しろ!……良いか?軍の強さは、兵士の数と装備の質をかけたものと言える。だが、兵士は畑からとれる訳じゃない。急に人員は増やせないだろう」

 

俺は周りを見回した。

 

「今、貴様らに渡したのは、魔具というものだ。少なくとも、さっきまで貴様らが手にしていたなまくらとは格が違う。鋼の剣や木製の盾くらいなら簡単に斬り裂ける」

 

「ほ、本当かよ……?!」「こ、これ全部魔具なのか?!」「魔具っつったら、最低でも金貨五十枚は……!!」

 

あぁ?

 

「おい、そこの三人」

 

「「「は、はいっ?!」」」

 

「俺は清聴と言ったよな?」

 

「「「はい、言いました……」」」

 

「全員、腕立て伏せ百回!連帯責任だ!」

 

「「「「ひ、ひい……!」」」」

 

 

 

「良いか、今度こそ無駄口を叩かずに話を聞け。……戦力とは、強い装備と兵士の数だ。だが、だからと言って、練度が低くて良いという話ではない。練度は大前提だ」

 

今度こそ、傭兵達は黙って話を聞く。

 

「上官の命令を聞く!素早く整列し、隊列を組む!そんなものは大前提だ!しかし、貴様らはその大前提すらできていない!」

 

「「「「ひっ」」」」

 

「……だから、鍛えてやる。これから、全員で近隣の森にしばらく篭り、モンスターを殺しながら野営する。実地訓練だ」

 

「お、おいっ!」

 

モスが声を上げた。

 

「実地訓練なんて無理だ!森の中で野営なんて危険過ぎる!」

 

ふむ。

 

「モス、お前はオフィサーなんだよな?」

 

「あ、ああ、そうだ」

 

「オフィサーと言えば、兵士で例えればどれくらいだ?少なくとも一般兵ではあるまい」

 

「そりゃまあ、近衛騎士並みとは言われてるが……」

 

「良いかモス。俺はつい最近まで、遠い国の特殊部隊にいた。要するに、特務騎士だ」

 

「お、おう」

 

「その時、特務騎士になるための試験では、たった一人で、四日間、不眠不休で森や山の中を駆けずり回り、冷や飯を食い、水もろくに飲まず、おまけに女一人分くらいの荷物を背負って、作戦行動をとった」

 

「……は、ははは、バケモンかよ」

 

「お前らも特殊部隊相当の実力があるなどと言っておきながら、俺と同じことができねえなんてこたぁ言わせねぇぞ……?」

 

「い、いや、だが、新入りだっているんだ!」

 

「何も、新入りにまで俺と同じことをやれなどとは言ってねえ。飯と水を買う金は出してやる。武器も鎧も最高のものをくれてやった。おまけに五百人もいる、協力すれば生き延びられるはずだ」

 

「ぐ……、それは、そうだが」

 

「分かったなら、野営のための道具やら何やらを買い込んでこい。予算は、一部隊につき金貨十五枚だ!考えて使え!任務開始!!!」

 

俺は、隊長である、モス、グレン、ダンバ、エルガ、デオンに金を渡した。

 

手持ちの金貨がほぼ無くなるが、先行投資と割り切ろう。

 

「お、俺は金の計算が苦手なんだ!」

 

「ワシもじゃ!」

 

「オレも……」

 

モス、グレン、ダンバが言った。

 

「そうか、これから覚えろ。おら、任務は既に始まってんだぞ?!明日の朝には出発するんだ、急げ!」

 

「だ、だけど、計算なんて!」

 

「馬鹿なら馬鹿なりに頭を使ったらどうだ?!仲間を頼れ!」

 

俺は、エルガとデオンを指差した。

 

「す、すまねえ!エルガ、デオン!何を買えば良いのか教えてくれ!」

 

「ワ、ワシからも頼む!」

 

「お願い、すル!」

 

すると、エルガとデオンは。

 

「ああ、良いだろう」

 

「時間がないわ、ついてきて!」

 

と、迅速に行動を始めた。

 

 




Vtuberに投げ銭できるのにss作者に投げ銭できないのはおかしいダルルォ?!!!

やる夫スレ作者にもだ!!!


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