セイカ・ヤサカ……。
弥栄星歌なる女。
レクノアの話によると、年齢十六歳の女だとか。
そして、教国の聖女にして、俺と同郷の日本人……。
日本人故に、強力なスキルである『回復魔法:S』と『精神:S』『魔力:S』を持ち、条件さえ整えば死者蘇生すらも可能である、と……。
その力から、教国の総本山であるイクワイア大聖堂で厳重な警護……、という名目で幽閉、飼い殺しにされているそうだ。
へー、カワイソー。
俺には関係ないし、幽閉されてるなら出てこないし、回復魔法なら攻撃力はないだろうし、何も怖くねーや。
そのまま捕まってろ。
え?自衛隊員が日本国民を助けなくて良いのか?
いや……、それはあくまで仕事じゃん。
仕事なら命がけで民間人を守るけど、今はフリーだし。
警察官が休日も悪人を捕まえなきゃいけない訳でもないし、スポーツ選手が休日にもスポーツしなきゃならない訳でもないじゃん。
うーん、それを考えると、元の世界に戻る方法も探さなきゃならないのか……。
でも、レクノアが言うには、勇者が元の世界に戻ったケースはなく、方法もないとか。
世界を渡ること自体は可能だけど、無限大に存在する世界線の座標の中で、俺がいた世界の俺がいた時間軸に戻ることは、サハラ砂漠の中でゴマを一粒見つけることよりもずっとずっと難しいらしい。
つまりは無理だそうだ。
割り切ってこの世界で生きた方が良いのかもしれない。
さて、勇者も何も怖くねーんで、傭兵活動を続けて実績をちょこちょこ積み上げながら、商人をやることにする。
商人ギルドに入らないで商売をすれば、闇市扱いになるらしい。
俺は、傭兵活動している最中に色々と移動すると思う。
その最中、出先などでちょっと金が欲しいなーって時に、商人ギルドの許可を得ておけば、ちょろっと行商人の真似事とかできるだろ?それは便利だ。
という訳で、参謀レクノアと雑用トライを連れて商人ギルドに乗り込む。
「ひいっ!い、いらっしゃいませ……?」
っと、怖がらせちまったか。
まあ、俺は、体格の良い獣人より更にでかい男だ。
平均身長150cmくらいの世界で198cmある訳だから、大人と子供くらいの差がある。
巨人が来たと思われても仕方がないな。
俺は、丁寧な物腰を心がけて、受付嬢に話しかける。その胸はそこそこであった。
「商人ギルドに登録したいのですが、よろしいですか?」
「はっ、はい、登録ですね」
登録自体は無事にできた。
ランク制度などのシステム面は傭兵ギルドと変わらない。
「リクルートからとなりますと、どこかの商店の丁稚や行商人からとなりますが……」
「行商人をやります」
「その場合、年に一回、金貨一枚の上納金が……」
俺は即座に払う。
「はい、確かに確認しました。リクルートの場合ですと、ギルド側からの補助は特にないのですが……、それでもよろしいでしょうか?」
商人ギルドでは、ランクが上がれば上がるほど、ギルド側からの補助が出るそうだ。
補助とは何か?ギルドを通して他ギルドとの仲介をやってくれたり、ギルドの持つパイプを使わせてもらったりなんかができるそうだ。そして何より大きいのは、高いクラスであればあるほど信用が得られるってところだ。
そうだな、例えば、他にもギルドが色々とあってだな。製靴、染物、紡績、鍛治、肉屋、漁師、酒造……、色々なギルドが存在するが、これらは全て商人ギルドと繋がっている。
普通、リクルートの行商人程度では、個人で他のギルドと交渉して、品物を卸してもらうことなんてできないんだが、商人ギルドの一員として実績を積み上げていけば、窓口を作ってもらえる。
また、ギルド自身も大きな販路を持っているので、クラスを上げればそれを使わせてもらえるだろう。
そして、信用。
これが、この中世ナーロッパ世界においては中々の曲者である。
闇市などでは、馬の小便をエールと偽り、ゴブリンの肉を穴熊の肉と偽るのが当然のレベルだ。
リクルート級行商人も、闇市よりかはマシな程度としか見られない。
日本では、クソ田舎の、放置されてる貯金箱に百円入れたらお野菜を一つ持って帰って良いよ的な無人販売所でも、品質は保証されているだろうが、この世界はそうではないのだ。
商人ギルドのマスター級グランドマスター級ともなれば、王侯貴族にすら信用されるが、リクルート級行商人では一般市民にすら信用されない。
だが、その代わりに、リクルート級行商人の上納金は年に金貨一枚で良いのだ。
俺が持っている商品は売れることが分かっているのだから、あとはどうやって信用を稼ぐか、だな。
セックス! セックス! みんなセックスし続けろ!!