そのまま、傭兵ギルドに来た。
「すみませーん、会議室を借りてもよろしいでしょうかー?」
「はいー、小人数でしたら、会議室12番なら半日で銅貨三枚で借りれますよー」
「お願いします」
「承りましたー」
俺は金を払って、会議室を借りる。
「入れ」
「はい……」
俺は、小会議室の円卓に、適当に料理を置く。
「「「「ごくり……」」」」
生唾を飲み込む奴隷一家に対して一言。
「食え」
「え……?いや、しかし」
「食え。話はそれからだ」
「わ、分かりました、ありがとうございます……」
泣きながら飯を食った奴隷一家。
その最中も、ラリーは、ぶつぶつと食品の評論を続けていた。
そして、食事が終わったところで俺が口を開く。
「清聴」
「「「「はいっ!」」」」
「よろしい。まず、諸君らを買った理由だ。俺は、メジャー級傭兵で、傭兵団『神秘の力』の大団長として、五百人の傭兵を率いている」
「五百人……!!」
「その他にも、ここ最近、リクルート級の行商人もやるようになった。だが思いの外、人気が出てしまって、人手が足りなくなった。だから、計算ができて、客を相手にできて、その上で商売のノウハウがあり……、何よりも金をごまかさない奴隷が欲しかった」
「なるほど……」
「質問は?」
「では私から……」
ラリーが手を挙げた。
「リクルート級の行商人では、伝手もなく、仕入れもできませんし、信用もなく、殆ど売れないと思いますが、なぜ人手が不足しているのですか?」
「仕入れについては話すつもりはないが、全く問題はないと言っておこう。商人ギルドを介さない仕入先があるとだけ。売れた理由は商品が良いものだったからと、実演販売をしたからだ」
「実演販売とは?」
「実際に商品をお試しで使わせてみたり、試食させてみたりして、商品の良さを知ってもらうことだ」
「なるほど……!その手がありましたか。素晴らしい方法ですね。実際にサンプルを使わせてみるとは……、全く新しい宣伝の方法です」
「他に質問は?」
ベルが手を挙げる。
「あの……、私達は結局、店の手伝いをすれば良いのですね?」
「そうだ」
「なら、普通に、適当な商人を雇えばよろしいのでは……?」
「そうもいかねえよ。動く額も額だからな。ちょろまかしそうな信用できない奴には任せられない」
「因みに、おいくらほどで……?」
「昨日の売り上げが、金貨四十枚くらいだったな」
「そ、そんなに……?!」
「他には?」
「あ、あの、質問じゃないんですけど……」
長女のプリムが手を挙げた。
「何だ?」
「その、高価な薬をくださってありがとうございました!」
「そうか。まあ、あんなものは簡単に手に入るからな」
「メガポーションが、簡単に……?」
二、三質問に答えて……。
「さて、早速、明日売る商品を選んでいくぞ」
俺は宣言した。
『収納』から、売り物をいくつか出した。
最も売れている業務用ウイスキーとマッチ、その次に売れている石鹸、結構売れている手鏡とステンレス包丁、それと菓子類。
「とりあえず、これが今売っている道具だ。これは銀貨六枚で……」
などと、値段の説明をする。
「なるほど……、詳しく拝見しても?」
「むしろちゃんと見て意見を言え」
と、紙コップを渡す。
すると、ラリーは、念入りに鑑定をかけた後に、酒を一口飲み、菓子類を一口食べた。
その度に、「ほう……!これは……!」とか「なるほど……!」とか言っている。なんかまあ、俺には分からない商人的なアレコレがあるんだろう。
「……まず、こちらの酒ですが、銀貨四枚ですか?」
「そうだ」
「何故その値段に?どう考えてもこのレベルの酒であれば、金貨をとれるはずですよね。銀貨四枚の根拠は?」
「何となくだが?」
「値上げしてください。このような額でこのレベルの酒を売っては、他の商人に目をつけられます」
「それがどうした?」
「それがどうしたって……、そんなことをすれば仕入れが」
「仕入れは独自ルート、その酒の卸値は銅貨一枚だ」
「なっ……?!!!そんな馬鹿な!!!そんな値段で卸していたら破産してしまう!!!」
「さあな……?まあ、良心的な人が卸してくれてるんだろうよ」
「……こちらの菓子も、少々甘さは足りませんが、上質な麦や乳の味を存分に活かした新しい形式の菓子ですね。特にこの、黄色のカスタードなる餡……。これは革命です」
「そうか」
「これを、一つで銅貨一枚ですか?」
「そうだ」
「値上げしてください。菓子職人に殺されますよ」
「二十個で銅貨一枚で買った菓子を一個で銅貨一枚で売っているだけだが?」
「仕入先まで滅ぼされますからねそれ……。そしてこれ、マッチ。これは、供給できるものがいない道具なので、これを主力にすべきでは?」
「マッチは百箱で銅貨一枚で買ってるんだぞ?一箱銅貨一枚で売っているが、主力にはならんだろう」
「そうなのですか……。まだ問題はあります。この鏡……、銀貨六枚はまずいですよ」
「何故だ?」
「鏡は、マッケイン領でのみ作られる特産品で、その値段は、この手鏡の鏡の部分だけでも金貨二枚はします」
「そうか。で?」
「マッケイン領に喧嘩を売るつもりですか?!」
「銅貨一枚で仕入れたんだから、それより高く売れば利益は出るだろう?」
「そ、そんな馬鹿な!マッケイン領がこの質の鏡を銅貨一枚なんて捨て値で売るはずが……」
「じゃあ、マッケイン領以外から仕入れたんじゃねーのかな」
「そんな……!マッケイン領以外に、鏡を作れるところがあると……?」
「さあな?どう思う?」
俺はトライをわしゃわしゃと撫でながら適当に言った。気分はペルシャ猫を撫でる悪の大幹部だ。
「詮索は無用、と……。分かりました。そしてこの石鹸ですが……」
「百二十個入りで銅貨一枚で買って、一つ銅貨六枚で売るってところかなー」
「そんな馬鹿な……。固形の石鹸という時点でまずおかしいのに、この甘くかぐわしい香りがする石鹸が、一つ銅貨六枚ですって?貴族はみんな欲しがりますよ……。それに、私達に使わせてくださったあの身体を洗うための石鹸も最高でしたしね」
「あ、その……、石鹸だけど、あの、シャンプーって言うのは本当に凄いわ。髪がサラサラになったの」
とベル。
「おお……!本当じゃないか!髪は女性の命と言われていますからね、それを手入れするための高級な臭わない石鹸……、貴族に売りつければ一体どれだけ搾れるか……」
妻であるベルの髪を撫でるラリー。
「まあ、こんな感じだな。何か売れそうなもののアイデアはないか?珍しい酒とか、便利な道具とか」
俺が訊ねる。
するとラリーは、神妙そうな顔をして口を開いた……。
巻き込まれ転移者おじさん、書いてて楽しいわ。
年収一億越えライダー俳優おじさんが母校のクラス一つ丸ごと転生に巻き込まれる話。
おじさんは、ネットスーパースキルと、地球で稼いだ金をネットスーパー用のポイント化してもらって転移。
ネットスーパースキルは、金を使えば使うほどテナントが増えていく感じで。ネットスーパースキルは、使うと現実世界の時間が止まって、異次元空間にあるスーパーマーケットに行くことができる感じ。テナントは、本屋や酒屋から、銃砲店、魔導具屋、病院などなど。ネットスーパースキルのレベルが上がれば、レーザー銃とか売ってる超未来技術品店とか、禁断魔法の魔導書が手に入る超古代魔法文明雑貨屋、日本のネットとつながるネカフェなどがテナントに追加される。
テンプレ通りに、陽キャ生徒が調子に乗って「魔王を倒して日本に帰るぞ!」などと音頭を取り始める。なお、帰る方法はない模様。
ヒロインのオタク系女子高生は、それを「アチャー」って顔しながら横目で見てる。
厳しい訓練、王国の管理下にあるダンジョンでのレベル上げ!なお、主人公は演技力全開で「できませへぇーん!!!」とか言って泣き喚いて株を下げまくる。
オタク系女子高生のヒロインちゃん、「嘘くせぇ……」と思いながらも、何かと主人公を気にかける。
ある日、オタク系女子高生ヒロインちゃんの親友の一人であるボインちゃん、スキルがレベルアップ。ボインちゃんは『地図作成』的なスキルがあり、リアルタイムで更新されるグーグルマップ的なものだった。それを使って、おじさん主人公を観察すると、リクライニングシートに座り、ドーナツを食べながら、映画を見ていたことが発覚!
オタク系女子高生ヒロインちゃん、それを知って、おじさん主人公が何らかのスキルで現代の物資を手に入れられると知る。ぶっちゃけ、飯はまずいわトイレは汚いわ風呂はないわ生理用品はないわでもう限界でした。なので、全力で媚び売り!!!
一年後旅立つ予定ではあるが、おじさん主人公はあんまりにも使えないクズだとして、追い出された。ラッキー!主人公はスキップしながら逃亡。
女子高生ヒロインちゃんとその親友三人、おじさん放逐の知らせを受けて、即座に城を脱走。超スピードでおじさんに追いつく。
追い詰められたおじさん、なんとか誤魔化そうとするが、ヒロインちゃんは一言。「俳優の◯◯さんですよね?何でもするので養ってください!!!!」やりました!
って感じ。