グラブルなんで会話文多めになっちゃう。
「えっ、次の目的地ってガロンゾ島なのかい?」
「はい〜。言ってませんでしたか〜?」
聞いてなかったな。
まあどこに行っても何とかなるだろくらいにしか思ってないから……。
「シェロとデートできるならどこでも良いさ」
「デート気分なのも問題……、いや、本気を出される方が不味いですからね〜。じゃあ、デートで良いですよ〜」
わーい!!
「それじゃあ手でも繋いで行こうか」
「はいはい〜」
シェロもそろそろ慣れてきたみたいだ。
「じゃあ行こうか、騎空艇に乗り込むんだろう?」
「はい〜、こっちです〜」
シェロに手を引かれて、港へ。
「荷物は全部積みましたし〜、護衛の騎空士さんも雇いました〜」
「護衛?私だけで十分じゃないかな?」
「何言ってるんですか〜、一人だけじゃ休む暇がないですよ〜?」
「俺は睡眠も排泄も必要ないからなぁ」
ちょっと肉体を弄った。
「いよいよもって人外ですね〜」
シェロが言うには、幾ら何でも、護衛が一人では悪目立ちするとのこと。
「折角のデートなのにな」
「あー、あれですよ〜、騎空士さんの中にも女の方がいらっしゃいましたよ〜」
「ならOK!」
「……全くも〜」
呆れたような表情のシェロ。
なんだよ、女の子だぞ、女騎空士だぞ。
「って言うか、移動したいなら俺が空を飛んで行ってあげようか?」
「島から島の間までですか〜?魔力も底なしなんですね〜。でも、仮にその場合、荷物はどうするんですか〜?」
手元にあるマジスティックを四次元ポケットにしまう。
「四次元ポケットの魔法」
「ああ、はい……」
「俺の飛行速度なら、一時間もしないうちに島と島の間を移動できると思うよ。やろうか?」
「いえ〜。それは、何というか、流通という言葉を壊してしまいますから〜」
ズルはしない、と。
偉いな、シェロ。
「こんにちは、シェロカルテさんですね?こちら、今回ガロンゾ島まで護衛させていただく、翼の白馬団です!」
「よろしくな!」
「よろしく!」
「よろしくお願いします!」
順に、男ヒューマン、男ドラフ、女エルーン、女ハーヴィン。
うんうん、良し、可愛い!
流石はお空の世界。美少女揃いだな。モブでこれとは。
男?興味ないね。
俺は態と色とりどりの星マークを出しながら、光舞い散るマジスティックを振るって薔薇の花束を二つ出した。
そしてその花束を女性二人にプレゼント。
「わっ!」
「うわあ!」
「こんにちは、可愛らしいお嬢さん方」
女エルーンが聞いてくる。
「あの、貴方は?」
「シェロの友人の、大魔導師マリンさ。君達のような美しい人と知り合えて嬉しく思うよ」
「そ、そんな、美しいだなんて……」
「照れちゃいますねー」
「名前を教えてくれるかな?」
「セイラです!」
「ミライだよ!」
「うんうん、君達にぴったりの可愛らしい名前だね」
「「えへへ……」」
櫻井ボイスのイケメンに話しかけられて嬉しかったのか、顔を赤くしている騎空士さん達。可愛らしいなぁ、一晩お相手できないかなぁ。
「ああ、僕も名乗ろうか。カイだ。この騎空団の団長で、剣士なんだ。得意なのは風属性さ」
「俺はリュウ、戦士だ。土属性の技の使い手だ」
「あ、別にお前らには聞いてないから」
「なっ?!」
「テメエ!」
だから、興味ないって。
「二人は何が得意なのかな?」
「はい、私は火属性の魔法を少し……」
「銃を使います、水属性です」
「成る程!私も魔法なら全空一だし、銃も嗜む程度ならできるんだ。向こうで少し話をしないかい?」
「「はい!」」
「チッ、おいテメエ、うちの団員に色目使ってんじゃ」
と、男ドラフ。
『ベタン』
重力魔法を軽くかける。
「ぐあっ?!!」
「すまないがお前に興味はないんだ、退がってろ」
念力魔法で転ばせる。
「痛え?!」
「ちょっと、貴方!」
文句を言ってくる男ヒューマン。
「文句でもあるのか?」
「マリンさん〜?波風立てるのはやめて下さいね〜?」
シェロに怒られた。
「ああ、分かったよ、君がそう言うなら」
「魔物だー!魔物が出たぞー!」
騎空艇で空の旅の最中。
俺は、シェロからもらったこの世界の魔法の研究書を読んでいた。
その時、船の外から、声がした。この声は、見張りをしていた男ヒューマンの声だな。
んー、俺が行く必要はないよなこれ。
あ、でも、女の子達に良いとこ見せたいわ。
行こう。
船の外に転移、と。
「さて、諸君。一つ講義をしよう」
「あれ、マリンさん?!どこから?!」
女エルーン、セイラが驚く。
「この世界の魔法は、基本的には、魔力に思念を乗せて自然現象として出力する、程度のものだ」
「おい、退がってろ!」
男ドラフの声には耳を貸さない。
「しかし、口語に術式を込めて放てば、同じ魔力でも起こせる現象は大きくなる、つまり……」
『マハラギオン』
空が、赤く染まる。
紅蓮の焔が敵を飲み込み、焼き尽くす。
さて、どうだろうか。
一般大魔導師程の実力と認知されただろうか。
「す」
「す?」
「凄いです!!」
良し。
「どう言う魔法なんですか?!教えて下さい!」
女エルーンに賞賛された。
「凄ーい!」
女ハーヴィンにも賞賛された。
「ああ、良いとも、教えるさ」
「凄いなんてもんじゃない、星晶獣並だぞ……?!」
「馬鹿な、ありえねえ……!!」
男には若干引かれたが。
『マハジオンガ』
「「キャーカッコいいー!!」」
『エアロガ』
「「キャーカッコいいー!!」」
『ヒャダルコ』
「「キャーカッコいいー!!」」
ふっふっふっ、モテモテだな俺。
いやまあ、顔もイケメンだし、その上性格も(可愛い女の子に対しては)紳士だし、更に強い。大魔導師なので知能も高い。
……何でイケメンなんだろうな俺。俺もお空の世界に転生という事で修正パッチ入ったんだろうか。世界から。その上櫻井ボイス。
そしてこの世界はファンタジー。強さと言うのは、現代社会における学歴のようなものだろう。つまり今の俺はモテる要素の塊みたいなもん。
モテてしまうのもしょうがない。
いやー、モテようとは思ってなかったんだけどなー!モテちゃうからなー!仕方ないなー!
「やり過ぎないように注意して下さいね〜?」
と、シェロ。
「分かっているとも」
何百何千分の一くらいが適量の魔法力だと見極めてあるので、最早手加減を間違えることはないだろう。
「これ、僕達要らないよね」
「ああ……」
男性陣は目に見えてテンションが下がっている。
だが知らん。
「成る程、これがアギの術式なんですね?これを一小節の口語にして放つ、と」
「えー!私の銃にエンチャントをかけてくれるんですか!嬉しいです!」
女エルーンにはアギ系の術式を教え、女ハーヴィンには武器にエンチャントをかけてあげた。
「え、術式を書いたメモをくれるんですか?そんな、悪いですよ!」
「エンチャントで弾薬数が無限に?!す、凄い、大魔導師って凄い!」
アギ系の術式や使用法、諸注意を書いたメモ、羊皮紙で数枚程度。これがあるだけで魔法には困らないだろう。弾薬無限化、耐久力自動回復、威力上昇のエンチャント。これなら一生この武器を使えるだろう。
いやー、良いことしたなー。
「ガロンゾ島に到着、と」
ついた。
「では、僕達はこれで……。あまり護衛として活躍できず、申し訳なかったです……」
「いえいえ〜、うちの大魔導師さんが悪いので、そちらに過失はありませんから〜」
「「マリンさん、ありがとうございました!」」
「良いさ、困ったことがあったらまたおいで」
騎空士達と別れる。
「シェロ」
「はい〜?」
「二人っきりになれたね」
「はいはい〜」
と、軽く流されて。
「さて、冗談はさておき、俺はこれから占星術の結果で出た、この世界を左右する人物の仲間になる予定の少年に会ってくるけど」
「あ〜、なんか言ってましたね〜。この世界を左右する人物の仲間がここにいるとか〜」
「ああ。まあ、会ったとしても顔を覚えられることはないだろうから、適当に挨拶でもしてくるさ」
「それじゃあ、いってらっしゃい〜」
「っと、その前にこれを渡しておこう」
「これは〜?宝石が埋め込まれた羊皮紙みたいですけど〜?」
「これは魔法の羊皮紙さ。これに書いた文字は数秒で消えて、俺の脳裏に転送される」
いわばメールみたいなもんだが、ファンタジー世界の住人に現代技術用語を伝えるのは難しいしな。
「成る程〜、即座に届く手紙のようなものですか〜」
シェロが納得したところで。
『千里眼』
するとぉ、前髪が特徴的な少年が。
白髪の美少年もいる。
はいはいはいはい。
「やあ、ラカム君」
「ん、なんだあんた」
「何、通りすがりの大魔導師さ。将来、全空を股にかける騎空士になる君に挨拶を、と思ってね」
「ラカムっ!!」
「ノ、ノア?!どうしたんだよ?」
ノアは焦ったような雰囲気で、ラカムを庇うように前に立つ。
「その圧倒的な力……、星晶獣かな?」
俺に尋ねるノア。
「違う、私は大魔導師だ」
「僕もそれなりに長く生きてるつもりだけど、こんなにも大きな力の波動を感じることはなかった……。君は何者だい?」
あー、そっか、隠蔽術式が足りなかったか。
それ、隠蔽。
「?、力の波動が弱まった……?」
「魔法で少し、な」
「成る程、つまり未知数の力ってことかな……!」
より一層警戒を強めるノア。
「ああ、安心するといい。お前達に危害を加えるつもりはない」
「信用できないね……」
「殺したいならとっくに殺してるさ」
するとノアは少し悩んで。
「……そう、だね。分かった。それで何の用かな」
と、問いかけてきた。
「私の占星術によると、そこのラカム君は、将来大きな冒険をするらしくてね。顔を見ておきたくなったんだ」
「へえ、そうなのかい?」
「ああ、全空を股にかけて、時に戦い、癒され、空を駆けるのさ」
「……君は、大魔導師なんだよね?それが、占いを?」
「ああ、占いもできるのでね」
「……まあ、ラカムに危害を加えないなら、良いとも」
「おい、兄ちゃん。つまり俺は、将来は凄い人になれるってことか?」
ラカム少年が尋ねる。
「まあ、概ねそうだね」
「へー!そりゃ良い!グランサイファーと旅ができるってことだな!」
「ああ。しかし、途中で困難に突き当たることもあるだろう。諦めるなよ」
原作通り進めてくれよ、の意。
やだぞ、原作組がリタイアして俺のゴリ押しで解決を図るとか。チートキャラは前に出ないからこそ輝くんだよ。
酒場にて。
「おいおい、どうしたんだよカイ!浮かねえ顔しやがってよ!」
シェロの護衛を担当した騎空団が、なんと、オイゲンに絡まれていた。
ほー、予期せず原作キャラに出会えるとは。俺の運も捨てたもんじゃないな。
「ああ、オイゲンさん……。ちょっと、騎空士としての自信を失っていて……」
「どうしたんだよ?」
「オイゲンさんは、大魔導師マリンって名前に聞き覚えはありますか?」
「んー?聞かねえ名だな」
「今回護衛した、駆け出し商人のシェロカルテさんって方の友人らしいんですが……、兎に角、圧倒的に強くて」
「ほう?お前がそれ程までに言うならば相当なんだろうな」
「相当、なんてもんじゃないです!空を埋め尽くすほどの炎を一息で出したり、それと同じくらいの規模の風、雷、冷気を操り、セイラには魔法の秘伝書をポンと渡して、ミライには、銃に、威力上昇、弾薬無限化、再生のエンチャントをかけてもらったんですよ?!」
「お、おう」
詰め寄られてちょっと引き、考えるように顎鬚をさするオイゲン。
「しっかし、おかしいな。そんな奴が本当にいるなら、噂くらいにはなっていると思うんだがな……」
うーん、これは。
「社会に出たのは最近ですからね」
盗み聞きをやめて出て行ってみるか。
「あっ、マ、マリンさん!」
「ってこたぁ、こいつが……?」
「ああ、大魔導師マリンさ」
「ほう……、若いな」
「見てくれはね」
「いくつなんだ?」
「さあ?百から先は数えてないね。今は二十代をキープしているけど」
「ふむ……、大魔導師なのか?」
「ああ、そうだとも。時間や生命、世界の全てを思うがままに操り、創造する。大魔導師マリンとは私のことだ」
「ほお、大きく出たな」
ニヤリと笑うオイゲン。
ははーん、侮られてるなこれ。嘘だと、大言壮語だと思われてる。
はっはっは、ムカつく。
俺は大魔導師だ。
この世界の誰よりも魔術に長けていると言う自信がある。
だから。
『ストプガ』『上位道具創造』
「……おいおい」
時間を止め、白の玉座を創造し、座る。
真剣な顔に変わったオイゲンは、警戒して、腰の銃に手を当てている。
「さて、私の話を聞く準備はできたかな?」
「どうやら、若造の戯言とは言えねえらしいな……」
さて。
「君はこれから、十年から二十年くらい後に、とある子供……、少年なのか少女なのかはまだ確認してないが、兎に角、子供と出会う」
「そりゃ何だ、予言か?」
「そんなところだ。……そして君は、全空を股にかける大冒険をするのさ」
「成る程な、そりゃ面白そうだ。で?あんたは俺に何を望んでいやがる?この力で、何をするつもりだ?」
「別に何も?私は、君達の冒険を見物させてもらうとするよ」
「はっ、神様気取りってことかよ……」
「神?冗談じゃない、私は神よりも偉大な大魔導師だ。……さて、私が望むことはただ一つ。冒険の最中、その子供をしっかりと支えてくれ、と言うことだ」
「その予言のガキを守れってことか?」
「ああ、そうしてくれ。予言の子供は、蒼き少女を伴って現れるはずだ」
「……何でだ?何で俺なんだ?そして、何でそのガキを守る必要が?」
「ああ、この世界はそう言うストーリーなのさ。だがね、もしも、もしも万が一、何かが間違って予言の子供が死んでしまったり、物語の歯車が狂ってしまっては困るんだよ」
「困る?」
「その予言の子供はね、各地で星晶獣や帝国の暴走を止め、人々を救うのさ。それがいなくなると非常に困るだろう?」
「成る程な……」
「まあ、一番の理由は、私の退屈凌ぎが減るってことなんだが」
「チッ、そんな理由かよ」
「ふむ、こんなところか。では、私は帰るとするよ。何かあればよろず屋のシェロカルテの元に来い。彼女は私の友人だ。……ああ、そうそう、シェロカルテも全空を股にかける大商人になるぞ。渡りをつけておくといい」
「分かった……」
「では、また。さらばだ」
さて、転移、と。
ノア君とかホモでしょ?