タイヤに踏みしめられた砂の粒子が宙を舞う。
大量の砂塵をまき上げながら、この世界の基準からすれば奇怪な『自動車』に乗り移動するその姿はまさに変態集団……。
さて、そろそろ日が落ちてきた。
車載の無線機で全体に連絡。
「全軍停止!野営準備開始!」
『茜の朝焼け隊、了解だ』
『輝く星隊、了解』
『跳ねる雷隊、了解ダ』
『銀の静寂隊、了解しました』
『遙かな轟隊、了解』
部隊が後ろ側から停車する。
先頭がいきなり停まったらカマ掘るからな。
先頭の俺は、全車が停止したのをバックミラーで見たところで、停車する。
そして、車を降りる。
今の時間帯は、夕暮れに差し掛かるより少し前くらい。
まだ結構、気温は高いのだが、五百の部下と二千ほどの部下の家族全てに食料を配布するとなると、早い時間から動かなきゃならない。
「小隊ごとに点呼をとれ!」
「「「「了解!」」」」
点呼をとって、欠員がいないことを確認した後、食事の準備を始める。
「ガキは一ヶ所に集めて、遠くへ行かないように面倒を見ておけ!男は、テントの設営急げ!女共は料理の手伝い!茜の朝焼け隊は周辺を巡回し警備しろ!」
「「「「了解!」」」」
全員に指示を出したら、兵員とその家族はテキパキと動き始めた。
移動を始めて一週間だから、そこそこに慣れてきたところだろう。
そして俺は、野外炊具1号を数台出す。野外炊具1号とは、自衛隊で使っている、野外で使える調理器だ。災害の時の炊き出しなんかで使われる。
野外炊具1号は、かまど×6、野菜調理器×1、球根皮剥器×2、発電機×2がついていて、使用燃料は灯油とガソリン。
一台で、四十五分でおよそ二百人分の食事が作れる優れモノだ。
俺も、野外演習の時はお世話になったなあ。
災害救助の時?そんときゃ一般市民様に食わせて、俺達は乾パンだよ。でも、その辺は仕事だから割り切るけどな。
しかしまあ、俺は給養員じゃあないんで、特別料理は上手くない。
陸自だし。そもそも、料理専門の兵士がいることがおかしい。お前のことだぞ海自。海軍は戦前からブルジョワ軍だからな。許せん。
陸自は、誰もが料理をある程度できる方が好ましいとされているんで、俺もそこそこにはできるし、災害救助の時に派遣されて、派遣先で調理をやった経験もある。
さあ、野外炊具1号に給油して、調理開始だ。
野外炊具1号は、火力は高いが調節が苦手で、焼き物炒め物は作れると言えば作れるのだが、効率が悪くなる。特に、灯油バーナーなので、灯油の匂いがうつるから焼き物はやらない。
だから、野外炊具1号での料理は、煮物、ご飯を炊く、ボイルなどになる。
まあ、揚げ物もできるっちゃできるかな?
という訳なので、今晩のメニューはパンとトマトスープ、それとソーセージとしよう。
パンは、ガチャのノーマル一つで数百キロの業務用ロールパンが出るので、それを食べてもらう。
トマトスープは、調理器で細かく切ったにんじん玉ねぎセロリキャベツそしてベーコンをにんにくペーストとオリーブオイルで炒めてから、トマト缶と水で煮込み、コンソメを使って味付けする。
ソーセージは、業務用のハーブ入りソーセージをボイルする。
ついでに、デザートに焼き菓子でもつけておくか。ガキを味方にするのは大事だ。ここにいるガキは将来、傭兵団員として俺の部下になる可能性が高いのだから。
飲み物は水とワイン、ビールを用意しておく。
「よし、と」
完成した。
「料理完成!並べ!」
「「「「はいっ!」」」」
「お代わりはいくらでもあるから、落ち着いて並べよー!」
「「「「はいっ!」」」」
そうして、家族単位で食事を摂らせる。
見張りの部隊と交代して、全員が腹一杯食った頃にはもう夕暮れだ。夕暮れとなると、家の設置をして、野営を始める。
砂漠の夜は冷えるからな。
「家の設置を始めろ!」
「「「「了解!」」」」
我々はブルジョワ軍なので、家を持ち歩いている。
ふむ。
まあ、尋常ではない話だ。
だが……、ガチャスキルは最早、地球に存在した『製品』ならば何でも出せる。
『製品』の中には、メーカー希望小売価格にして一千万円を超える、アメリカの最新式の『持ち運びができる家』もあった。
そして、一度引けば、ノーマルは1000GPでショップから買える。
また、この砂漠に来るにあたり、GPショップでレア相当の《アイテムボックス》というマジックアイテムを大量に購入した。レアなら10000GPだ。
アイテムボックスは、スキル《収納》とほぼ同じ機能を持つ魔具のことだな。
これを、各部隊の全員に持たせて、更に水と塩を持たせた。万が一の時のために必要だ。その他にも物資を色々持たせてある。
そして……、まあ、この世界の基準で言えば、家を丸ごと入れられるサイズのアイテムボックスは国宝級の価値があるとだけ言っておこうか。
そうして、部下達は、各家庭で家を展開する。
「では、茜の朝焼け隊は現在からマルマルマルマルまで夜間警備だ!」
「「「「了解!」」」」
「マルマルマルマルからマルフタマルマルまで輝く星隊、マルフタマルマルからマルヨンマルマルまで跳ねる雷隊、マルヨンマルマルから朝の周辺警戒を銀の静寂隊、本日は遙かな轟隊は総員しっかり休むこと!」
「「「「了解!」」」」
え?寝坊した奴?
そいつが所属する小隊全員、連帯責任で腕立て伏せ百回だ。
そして次の日の朝……。
またもや、野外炊具1号で食事を作る。
朝は洋風炊き込みご飯とマカロニとキノコの豆乳スープだ。
俺は、朝五時に起きて、一時間ほど軽く運動してから、朝食を調理する。
そして、全員の食事が終わったのは八時頃。
「よーし、出発だ!」
「「「「了解!」」」」
最近、ツイッターで魔物娘のゲームが出てたので、我も魔物娘ものを書きたい欲が高まってますねえ。
ラブのないラブコメ、そこそこ書けてます。
ヒロインを解剖したりするやつ、酔って自分の師匠を嬲り殺しにした話をする奴など、最悪の極悪人ばっかりで楽しいなー。
基本的に相手のやって欲しくないことをやるのが大好きな性格をしてるので、自分のことを好きになる奴は徹底的に追い詰めてやりたいと思いますね!それが俺の愛情表現です。
モン娘の類、ビジュアル的には大好きなんですけど、人間様に対して頭が高いのが嫌いなんですよね。畜生風情がこの俺様と同じ位置に立つ気か?って思ってます。
俺は、愛情や友情が邪悪を打ち破る話は腐るほど見てきたからもう飽きてんすよね。だから、邪悪が、力のみを追い求めて、愛情友情夢勇気、キレーなもん全部打ち破って、純粋な力と邪悪なる漆黒の意思で全てを蹂躙する話が見てーんですよ。
だからこそ、ラブのないラブコメを書いた訳ですわ。
愛情友情逆レイプ!とか舐めたこと言ってくる魔物娘を足蹴にして、自らの野望のために利用する、圧倒的な力を持った邪悪が世界を好きにする話。最高だぜぇ。