砂漠バーベキューの後、目覚めた貴族令嬢のフィアに飯を食わせた。
美味い美味いと喜んで飯を食っていたが……、侯爵様のガキなら、普段もっと良いもんを食ってるんじゃあないのかね?
実際、そう訊ねてみると……。
「ええ、まあ、確かに、普段から良いものを食べているってことは否定しないわ。それでも、この料理は本当に美味しいわよ?見たこともない食材に、スパイスをふんだんに使った料理ですもの」
「いやいや……、技法とかだよ。ほら、本当の食通なら、シンプルな料理を食べた時に『むむっ!これは!味に迷いがあるっ!』とか言うだろ?」
「もうっ、そんなのは偏見よ!」
「じゃあ、お嬢さんは味覚音痴なのかね?」
「そう言う訳でもないわよ!失礼しちゃうわ!」
うーん、でも、その辺は大事だぞ?
貴族相手に食品などを売るとしたら、何が売れるのかとか、そういう市場調査もしておきたい。
「フィア、まだ食えそうか?」
「え?ええ、まあ、後少しなら」
「よし」
俺は、目の前にガスコンロを出して、手早くプレーンオムレツを作る。
材料は、特別効果じゃない、普通の卵と牛乳、バター、塩胡椒に砂糖。
ちょちょいの、ちょいっと!
「食べて、味を見てくれるか?」
「まあ!美味しそう!……うん、美味しいわ!」
「えー?本当かー?」
「何で自信ないのよ?!本当に美味しいわよ?できるならば、うちの専属料理人にしたいくらいよ!」
そんなにか?
「いやいや、俺は素人だぞ?確かに、仕事上、大量の料理を手早く作った経験は多いが」
大量の料理を手早く作るのは得意だが、特別に美味い料理を作るのはできないぞ?
「そうなの?でも、本当に美味しいわよ?」
うーん……、そうなのか?
「でも、そうね、王宮で出すには華やかさが足りないわね」
「華やかさ?」
「ええ。例えば鶏肉料理なら、その鳥が生きていた頃の姿を模ったものにする、とか」
「……それって、美味いのか?」
「……正直、美味しくはないわ。でも、貴族の食事は見た目の方が大事なのよ」
なるほどなあ、大変そうだ。
「正直な話、私は、貴方が作ったこの温かくて美味しい料理の方が好きね」
「ふーん。あ、デザートあるぞ、食うか?」
「あら、何かしら?」
「アイスクリームだ」
「何かしら、それは?アイス……、クリーム?」
「そのまんまだよ、クリームを砂糖と香料で味と香りをつけて、凍らせた料理だ」
「凍らせた?!貴方、ひょっとして魔導師?!」
「いや、俺は魔導師ではないが、まあ、色々とやって凍らせたんだよ」
「死の砂漠のど真ん中で氷の菓子?……なんで傭兵団が貴族より贅沢してるのかしら……?」
「まあまあ、食え食え」
「ええ……、まあっ?!お、美味しいわ!これ、レシピとか教えてくれないかしら?!」
「ん?あー、俺は傭兵以外にも商人をやっててな。有料でいいならレシピを教えてやるぞ」
「絶対買うわ!」
「じゃあ、まとめておくわ」
そうして、食後。
「じゃあほら、家に入れ」
「ええ、お邪魔します」
「とりあえず、シャワーを浴びておけ」
「シャワー?」
「あー、水浴びだ」
「水浴び?!!死の砂漠のど真ん中だと何回言わせるの?!!」
「良いから、ほら。ここがお湯で、ここが水。それでこれが身体用の石鹸で、こっちが髪用の石鹸だ」
「ほ、本当に大丈夫なの?!貴重な水を無駄遣いして!!」
「水なんて無限にあるから安心して良いぞ」
と、シャワーを浴びさせる。
世話については、プリムに任せた。
プリムは貴族の応接ができるくらいに作法もしっかりしてるから本当楽だな。ありがてえ。
「ライン!凄いわ!何よあれ!良い香りの石鹸に、髪を乾かす魔具!」
「はいはい、すごいすごい」
適当にあしらって、俺は外に出る。
「待ってライン!どこ行くの!」
あ、なんかついてきた。
「いや、召喚獣に餌やりだ」
「まあ!召喚獣も持っているのね!珍しいわ、遺跡で見つけたの?それともテイムした?」
「秘密だ。……おおい、クーリエ、アッシュ、ジャック!餌だぞ!これを食って今晩の警備をよろしく頼む!」
『『『ガァッ!!!』』』
俺は、『収納』から、オーストラリア産牛を数十頭出して、召喚獣達に投げつけた。
「「「「モーっ!ブモーッ!」」」」
ああ、無情……。
牛さんが頭から骨ごとバリバリ食われてる……。
まあ、この世は弱肉強食だから仕方ないね。
ん?
「……何やってんだお前?」
「こ、腰が抜けちゃった」
「はあ?」
「だ、だってあれ、あんなの、伝説のモンスターを三体も!!!」
「あー?まあ、可愛いしもべだろ?」
「あ、貴方、本当に何者なの?!」
「俺か?まあ、その辺りの詳しい話はあんまり話したくないな」
「本当にこの世界の人間なのかしら……?」
お、鋭いな。
「予想するのは勝手だが、適当な噂を流して触れ回ったりしちゃならんことは分かってるよな?」
「え、ええ、もちろんよ。貴方の損になることはしないわ」
そして、次の日。
朝食を摂ってから、車で移動する。
「速いわね!これ、いくら?」
「あー?七百万円くらいっつったっけかな?だから、ええと、金貨七十枚くらいだ」
「……金貨七十枚の魔具を団員全員に与えてるの?」
「問題あるか?」
「いや、その、まあ……、良いわ、分かったから。怖いから考えないようにするわ」
と、その時。
「モンスターの群れだよ!ワーム!おっきいの!」
とレクノアが言った。
「数は?」
「四十二体!」
「大きさは?」
「えーと……、頭から尻尾まで、私二十人分くらいかな」
なるほど。
「ギ、ギガントワームじゃない!それも、群れでなんて!に、逃げなきゃ!」
フィアが慌てている。
「何だそれ?」
「ギガントワームよ!一匹出るだけで村一つ食い尽くすモンスター!魔導師を含む百人くらいの軍隊で、やっと一体倒せるかどうかの化け物よ!」
「なるほど……。全隊停止!モンスターの群れだ!俺が相手をするから、お前らは引っ込んでろ!」
『『『『了解』』』』
さて、どんなんだ?
『『『キシャアアアア!!!』』』』
「うわっ、キメェ!」
俺は、三体の召喚獣を呼び出して、傭兵団を守らせる。
「レクノア!魔法!」
「うん……、『マギカブラスト』……!!!」
レクノアの極太破壊光線がじっくり十秒かけて前列のギガントワームを撫で回した。
いや、撫で回すなんて優しい表現ではない。
溶かした。
前方にいたギガントワームは溶かされた。
「良くやった」
俺が地面を蹴り付けて飛ぶ。
サイコキネシスを自分にかけているのだ。
そして、剣に力場を纏わせる。
力場を纏った剣は、重量は変わらないが、剣の長さは数百メートルまで伸びた。
圧縮するように力場を集中させると、光が歪んで黒い闇の雷を纏うように見える。
それを、伝説のモンスター級と言える筋力Aで思い切り振り抜いた!
『『『『ギョオオオオオッ?!!!』』』』
ギガントワームは、俺の超パワーにより宙を舞い、引き千切れる!
そして、全滅したところで……。
「よーし、お前ら!解体に入れ!」
「「「「はいっ!」」」」
解体を始めた。
「おっと……、なあ、フィア」
「む、無茶苦茶よ……、有り得ない……!」
「おい!」
「はっ?!な、何かしら?!」
「ギガントワームって、どこが売れるんだ?」
巻き込まれ転移おっさん、読みたい人がいるそうなので、ガチャJの書き溜めを全て吐いた後に投下を開始します。